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第39話「ユキの眠れない夜」

「ンッ、、!」 晴也はまだ眠い。 寝ると言う体勢に入ってしまっていたせいで、練習の疲れもあって何をされても意識がはっきりとは戻ってこなかった。 敏感だけれど鈍いその反応に、抵抗されないと踏んだ智幸は中指の腹で穴のヒダに解すように触れた。 「あ、、?」 「ハル」 「あ、っあ、なに?あ、んや、やっあ」 くすぐったいような妙な感覚が後ろの穴にある。 自分でもそんな風に触った事のない場所を、子供のように縋ってくる男にいじられている。 晴也は無意識に太ももで智幸の頭を挟み、ぎゅっと脚を閉じて抵抗しようとしたが、挟まれたまま、智幸がまた性器を口にずるずると入れ始めた快感で腰が揺れ、力が緩んでしまった。 「だめ、、ユキ、ん、、ぁあ、ん」 喘ぎ声でさえ眠たそうになってきた。 やたらと吐息たっぷりに呟かれて、智幸には扇情的に聞こえる。 「ハル、ハル」 「そこ、お尻の、穴なのに、、んぁ、あう、なん、で、、気持ち良く、しな、で、あ、ぅあ」 先程の、智幸の口の中に射精した精液と唾液が混ざったそれを後ろの穴に塗られ、くるくると円を描くようにヒダを解されていく。 トン、トン、時折り穴の中心を叩かれると、そのまま指を入れられるのではないかとまどろみながらも狼狽えた。 「ほじん、ないで、、ほじるの、だめ、ああん、、うあ、、だめ、ぇ」 身体に力が入らない。 これは現実だろうか?、と晴也は半分も開かない目をしばしばさせて、智幸の頭を撫でながらまた薄暗い部屋を眺めた。 (眠い、、気持ちいい、、眠い) 収まらない程、睡魔も強い。 そうこうしていると、グッ、グッ、と指が入ってしまいそうな程、強く穴の中心を押された。 (入る、、穴に、指、入れられる、、ユキ、中に入れたがってんだ、どうしよ、どう、) 「あ、、ん、ユキぃ?ユ、キ、、穴、入っちゃう、んぁ、あ」 智幸は興奮し切って声も出せず、ただ晴也の性器にしゃぶりついて咥え込み、口内で器用に舌を這わせて嬲り続ける。 そうしてとうとう、少しずつ開くようになってきた後ろの穴に、少し力を込めて指を食い込ませた。 「はあ、んっ、、だ、め、、やめよ、ユキ、そこはあ、、やめよおよ、、ぁあん、いやだ、取って、指、取って」 「ンッ、ふ、、ふっ」 じゅぽっじゅぽっと性器も激しく口内から出し入れされる。 「ぁあっ、ぁあっ、ゆ、ユキ、いやだあ、、ああっあうっあっ」 また高まってきた射精感に、ほんの少し意識がハッキリとし始めた。 「ユキぃ、やだあ、穴入れないで、お尻の穴はあ、ダメだ、あっ、寝たいのに、んあ、んあっ」 横向きに寝て絶え間なく喘いでいるせいで、晴也の口の端から枕の上にはダラダラと唾液が溢れている。 「ハル、、」 フーッ、フーッ、と熱い呼吸音がする。 性器はずっと口で扱かれ、後ろの穴は指で解されて、晴也は訳が分からなくなる程に性的な気持ち良さの中にいた。 (すごい、、気持ちいい) 眠気も重なった心地良さがあり、もう何もかもどうでも良くて、情けない喘ぎ声も平気で出せてしまう。 「ンッ!」 とうとう智幸が晴也の後ろの穴をいじっていた中指を、つぷぷ、と肉の壁を押し広げて中に入れてしまった。 「っあ、」 (何だ?お尻の中に、何か入った、何だこれ、なに、) 奥へ奥へとゆっくりと指が進む。 「ぁああっ?、っんれ、なに、あ、あ」 味わった事のない異物感と、出す事しかなかったその部分を逆流してくる気持ちの悪さ。 それからどうしても、腰が揺れるくらいの甘く痺れる感覚が晴也を襲ってくる。 「気持ちい、ユキ、やめろ、やめ、あ、やめ、や、っあ、あっ?あ、んっあっ」 何をされているのかがよく分からない。 何かよくない事なのは分かる。 ぢゅるるるっ 「んぁあっ、?」 後ろも気持ちいいのに、前まで気持ちいい。 晴也の性器の先端だけ口に含み、絞るように吸い上げる智幸。 その快感の強さに、ゲホッ、と一度大きく咳が出た。 (何だ?何、されてる?分かんない、分かりたくない、気持ちいい、気持ちよくて死にそう) ぢゅるるるっ 「やえへっ、やえ、あっ、ゆ、ゆっ、ん、やあ、あ、アッお尻、おひ、お尻、やめろ、や、ぁあっ」 後ろにハマっている中指が、今度は指の先端まで穴から引き抜かれ、またゆっくりと根元まで中に入れられる。 それを段々とペースを早めながら繰り返された。 「んあッ、ンッンッンッお、おしっり、やめ、ンッ!」 気持ちの良さで呼吸が早まり、開けた口が塞がらなくなった。 ハアハアと荒く、早く、胸を膨らませてはすぐに萎ませて足りない酸素を求める。 晴也は布に歯が引っかかり、枕を噛みながら喘ぐしかなかった。 「ユキ、えっ、やえろ、ンンッんぁう、あっ」 つぷぷ にゅる、 つぷぷ、 にゅる 穴からゆっくりと指が出し入れされている。 生々しい尻の感覚に晴也は抗えない程に感じていた。 何とも言えない気持ちの良さで、馬鹿みたいな声が漏れ、呂律が回らない。 (気持ちいい、ずっとされたい、これ、気持ちいい) 「ん、」 「あ、、?」 穴から引き抜いた指を智幸がまた口元に持ってきて性器から唇を離すと、晴也の我慢汁と自分の唾液が混ざったそれを再び指に絡める。 たっぷり粘ついた液体を乗せた指を割れ目に這わせると、穴に暖かいぬるっとしたものを塗りたくった。 「ぁあ、あっ、やめろ、、ぁあんッ!」 ずぷっ、と中指が穴に埋まる。 滑りが良くなった今度は、一気に根本までハメられた。 「あっ、んぁあ、ユキぃ、ユキいっ」 「ハル、可愛い」 また指先まで引き抜くと、次は薬指も一緒に広がった穴のフチに沿わせ、更にグリグリと広げて中に押し入れてきた。 「ああっ、や、あっ」 「ハル、指、入れてあげて」 「ンッ、だめえ、穴ほじんのだめえ、ぁあっ」 ずず、と指が2本、奥へと進み始める。 「広がっちゃう、ひろ、がっ、あ、き、きも、ち、、気持ぢいっ、あ、!」 2本とも根本まで埋めると、お腹の裏を引っ掻くようにその指を曲げた。 途端にビクビクッと晴也の腰が跳ねる。 (ここが良いんだ) 晴也のすべすべした太ももを舐めながら、智幸はその反応を見て規則的に指を曲げて、伸ばして、曲げて、と繰り返した。 「やだあ、あっんあ、あっ」 「ハル」 「やめろ、やめろ、やめろよおっ、気持ちいい、やめろ、やめ、ぅああ、あっ」 ぎゅうぎゅうと智幸の頭は晴也の太ももで挟み込まれた。 力の入りっぱなしになった手で頭や髪を掴まれている。 「ハル」 「んあ、アッ、何で、何でえっ、ああんっ」 時折りまた穴から指を引き抜いて、ヒダをなぞってから奥まで入れ直す。 閉じられた脚の間で頭を動かして、我慢汁を垂らしている晴也のそれに再び舌を這わせた。 「何で、こん、な、、なん、っ」 「ん、、?」 そそり立ったそれの裏筋を舐めていると、切なげな声が仕切りに「何で」と智幸に問いかけて来た。 (ハル、、、?) 見上げると、何とも美しい光景が広がっていた。 月明かりに照らされながら、晴也が泣いている。 緑色の瞳から宝石のようにキラキラ輝く涙をこぼして、半開きの口からダラダラと唾液を垂らして、顔は快感で歪んで。 「ッ、、」 智幸の下半身がまた一層熱くなる。 「ユキ、ユキぃ、」 「ハル、ごめん、、ごめんね、ハル」 どうして泣いているのだろう。 泣いている晴也を見て綺麗だと思ってしまって、それがまた申し訳なくて、性器からちゅぱ、と口を離して晴也を見つめた。 長い睫毛が濡れている。 「ユキ、何れ、な、何で、ぁあっ、なんでだよお、あっ」 後ろの穴を刺激するたび、びくんっびくんっと肩まで揺らしている。 「何で、お、俺に、はんっ、んあっ」 「ハル、?なに、ちゃんと、」 「何で、ちゃんと、あんんっ、ちゃんと、言わないの、」 それは眠気と、快感のせいでトンだ頭で必死に考えて絞り出した台詞だった。 「何で言ってくれないの、んあ、あっ聞きたい、だけ、なのにっあっ」 晴也がグスッ、と目を閉じると、ぼろぼろと溢れた涙が枕に落ちていった。 「え、、、」 「ユキの、口から、あっ、い、言ってよお、はあんっ、う、お尻、もう取って、いやだ、イけないから、ぁんん」 「ハル、な、何を?何言ったら許してくれるの、ハル」 「んやあっ、指、抜けぇ、ッ、ああっ」 「ハル教えて、ハル」 ちゅぽん、と後ろの穴から指が抜けると、圧迫感やら刺激やらが止んで、ドッと疲れが増した。 「はあ、、はあ、、はあ、んっ、はあ」 「ハル、教えて、何言ったら許してくれる?ハル、待って、ハル」 急いで彼に覆い被さったが、だいぶ長く寝るのを我慢して刺激に耐え続けたせいか、晴也はその問いに答える気力もなく目を閉じ始める。 「ハル、お願い寝ないで、ハル、教えてよ」 「ん、、ユキ、」 「ハル、許して、お願いだから許して、ごめんなさい、ごめんなさい」 自分はまだ晴也に許されていないのだと分かって、智幸は慌てて彼の体を揺すった。 けれど力尽きた晴也はゆっくりと目を閉じてしまった。 「な、何、言ったら、、ハル、許してくれるの」 舞い上がっていた気持ちが嘘のように萎んでいく。 「ハル、、、」 まだ許されていない。 晴也が待ち続けている何かが自分にはできていない。 智幸は、やっと彼の事を考えようと思った。 「ハル」 例えば、晴也はどうして1人になりたくないのか。 どうして自分に「いらない」と言ったのか。 晴也にとっての自分が、何なのか。

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