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第43話「ハルとユキのセックス」
(またご褒美あげないといけなくなった)
クス、と笑って、晴也は視線を細めて彼を見つめる。
「ユキ」
「?」
「ユキに身体を触られるの、嫌じゃないよ。まあ、気分が乗らないときはあるけどさ。こないだの、友梨とお前がヤったりしたときとか。そう言うときは嫌だけど、そうじゃないときは嫌じゃないよ」
「、、何、で?」
「ユキは、俺が光瑠くんとセックスしたあとにユキのとこきて身体触るのはいいの?」
「嫌だ。ヒカルとユキがセックスするのも嫌だ」
「それは、逆だと俺が嫌なんだって分かる?」
わしゃわしゃと頭が撫でられるのが心地よくて、智幸は少しとろんとした顔をしながら晴也の話を聞く。
「、、彼女を取られて嫌だったんじゃないの?」
智幸の質問に、あはは、と笑いが漏れた。
パタパタと濡れた髪から雫が垂れて浴室の床に落ち、排水溝の口まで流れていく。
溢れた湯気が脱衣所の洗面台についている鏡を曇らせている。
「それより、ユキが誰かとセックスする方が嫌なんだよ」
その答えに、智幸はまた頭がふわふわした。
(俺はちゃんと、ハルの特別だったんだ)
やっとそこまでは理解できた。
「ユキ、寒いからもう一回シャワー浴びてくるね。上がったら、飯作るから」
「ハル」
「ん?」
立ち上がろうとした彼を呼び止め、智幸は未だに落ち着かない股間を押さえながら、ズイ、と智幸に顔を近づけた。
「飯食ったら、話したい」
「うん、、?」
「ハルと、俺のこと」
きっとまだ、「好き」までは届いていない。
そんな彼なりに何かを分かろうと努力している。
智幸を見て、晴也もやっと少し力が抜けて、やんわりと笑いながら頷いて返した。
「いいよ。そうしよう」
「っ、、は、ハル、」
「ん?」
「ちゅーだけ、させて」
自分の頭に触れていた手を握り、晴也を逃すまいと力を込める。
一瞬キョトンとしてから、晴也はクックッと笑った。
あまりにも必死な智幸が可愛らしく、毒気を抜かれたような純粋さが愛しく思えたのだ。
「チューでいいの?」
濡れた浴室の床に手をつき、下から覗き込むように智幸を見上げる。
「ッ、!」
絶妙な角度で、智幸からはあの美味しそうな乳首が見えた。
「あ、、ハル、」
「こっちじゃなくていい?」
「ッ、吸、いたい、、でも、チューもしたい」
ドクドクと智幸の耳の後ろで激しい血流の音がしている。
濡れた身体はあまりにもいやらしく見えて、昨日から晴也とするそう言う行為しか考えられなくなっている智幸は苦しそうに呻きながら言った。
途端に、晴也は意地の悪い笑みを浮かべる。
「へんたい」
その言葉にすら、痛い程、智幸の脚の間のそれは反応してしまうのだ。
「ハル、ハルッ」
服を着たまま浴室に入り、晴也を組み敷いて覆い被さる。
「ユキ、携帯」
尻ポケットからはみ出ていたそれを見つけ、晴也は智幸に「置いてこい」と目配せした。
「服も脱げ」
晴也に言われると智幸は何でも従う。
早くあの白い身体に触れたくて、智幸はコクコクと頷いて一旦浴室から出ると、携帯電話を洗濯機のフタの上に起き、バサバサと雑に服を脱ぎ捨てて再び浴室に足を踏み入れた。
押し倒されていた晴也は起き上がり、蛇口をシャワー使用の方へ回す。
バシャーッと勢いよくお湯が出た。
「、、あの日みたいだ」
後ろから晴也を抱きしめた智幸に、彼はポツリと囁く。
小さなその声は密着していた智幸の耳にも聞こえ、彼は「うん」とその声に似合った小さな声で返した。
「ハル」
あのときは無言だった。
あのときはこんなにお互いが大きくなかった。
「ユキ」
腰に絡みついた腕を掴み、身体のラインをなぞらせながら、晴也は智幸のゴツゴツした大きな手を段々と自分の胸に近づけて行く。
「ハル、ん、、ハル」
興奮した智幸は勃起しっぱなしになっている肉棒を晴也の尻の割れ目にぴっちりとくっつけて、ゆるゆると腰を振る。
「ここに、入れたい」
耳元でそう呟かれると、晴也の腰の奥の方でズクンと甘い感触がした。
「ダメ」
胸まで誘導した智幸の手は、何も言われないでも晴也のもちもちした胸を優しく掴み、ゆっくりと揉みしだく。
「何で」
切ない声を耳たぶに噛みつきながら漏らすと、「ぁ、ンッ」と晴也が熱っぽい声を漏らした。
智幸は相変わらず割れ目を性器でなぞり、擦っている。
「まだダメ」
「ハル、お願い、ハル」
「ダメ」
乳輪をなぞっていた指が、くに、と乳首を押し潰すと、晴也の腰が跳ねて智幸のそれを刺激する。
「俺以外の男はここに入れた事あんの?」
「そんなのいないの分かってるだろ」
「んん、、でも、」
ぐずりながらも晴也の首筋に顔を埋め、べろりと舐め上げる。
「あっ、んっ」
乳首をキュッとつねると、晴也の腕が後ろ向きに智幸の首に絡み、うなじで指を絡めて固定された。
「でも、んっ、でも、なに?ぁんっ」
乳首を押し潰した指でそのままクルクルと円を描く。コリコリとこねられて刺激され、晴也の下半身には重だるい甘い痺れが連続して走っていた。
降ってくるお湯を2人で浴びながら、ずっとそうやって遊んでいる。
「でも、俺もだめ?」
「ダメだよ。ユキ、はんっ、、まだ、言ってくれないから」
それは昨日言った言葉と同じ意味だった。
「言えたらお尻に入れていい?」
智幸の先走った精液が晴也の尻の割れ目にまで垂れて潤滑油になり、擦り上げやすくなっている。
ぬるぬるとした感触がして、下手をしたら穴に何かが入ってしまいそうだった。
「言えたらね」
「頑張る、、ハルのお尻の穴に入れたいから」
不純な理由だな、と少し笑えた。
「俺の尻に入れるって、どう言うことか分かってる?」
「ん?、、ハルとセックスする」
「したいの?セックス。他の女でよくない?まんこの方が気持ちいいよ。おっぱいだって大きいし、いい匂いがして、体も柔らかい。赤ちゃんだって作れるよ」
少し意地悪に晴也が言った。
「ハルのおっぱいが良い。ハルのおっぱい吸えるなら女はいらない」
今、とんでもなくすごい事を自分が言っている事に、智幸はまったく気が付かない。
そうやって気が付かないからダメなんだけどなあ、と、晴也は少し呆れて智幸の方へ振り返った。
「馬鹿だなあ」
「馬鹿でいい。ハルが可愛がってくれるなら、ハルの馬鹿でいたい」
ゆっくり唇を重ねた。
どちらがと言うこともない。
キスをするべき瞬間のように思えたのだ。
「ん、、毎日吸いたい、ハル」
「ンッ、んふっ、、」
ぐちゃぐちゃに舌が絡み合って、解けて、また絡んでいく。
智幸は晴也の唾液が欲しくて深く口付け、ぢゅるっ、と音を立ててそれを吸った。
「ハルのこれ、毎日吸わせて」
クリクリと乳首をいじられ、晴也は身を捩る。
脳天までピリピリした電流が走っていく感覚は気持ちが良かった。
「何言っ、んむっ、、んっ、んっ」
「お尻の穴も毎日触らせて、ちんぽもしゃぶらせて、」
「ンッンッ、、んぅっんっ」
執拗に舌を吸い上げられ、晴也は苦しくて眩暈がした。
薄く目を開けると、苦しそうな必死な表情で自分にキスをしている男が視界にいる。
「お願い、お願いお願いお願い、ハル」
「っぷは、ぁ、え?」
酸素を奪われながらのキスは頭をぼーっとさせた。
自分で舌で歯列をなぞりながら、晴也はとろんととろけた顔で智幸を見上げ、彼の相変わらず苦しそうな顔を見つめた。
「ハルの乳首吸えるなら何でもする」
「んっ、、馬鹿、」
「ハルは俺に乳首吸われるのいや?」
面と向かってそう聞きながら左手で晴也の腰を抱き、右手は器用に晴也の乳首をいじりまわしている。
「んはっ、んっ、あっ、乳首、こねないで、ユキっあんっ」
ボーッとした頭では、いじられるたびに腰や頭、つま先まで駆け回る快感を追う事しかできない。
「じゃあ毎日吸って良い?」
「ダメ、そんなのダメだ」
「何で、ハル。いやなの?」
「いやじゃなっ、あ"ッ、んん、んふっ、乳首、やめ、今ダメだから、今は、んふっ」
「今もダメ?いや?ハル、何で」
頭を混乱させる怒涛の質問と乳首攻めに、晴也の腰はビクンビクンとひっきりなしに揺れている。
性器はビンッと勃起していて、先端がたまに智幸の勃起した性器に擦れて気持ちが良い。
(ダメだ、こんなんじゃなくてもっと普通に、ちょっとだけ吸わせて終わりにしようとしてたのに、)
「ユキ、んっんっ、吸っていいから、吸ってえ、吸っていいからあ、おっ、んんっ、んっ」
ばくっと右の乳首に智幸がかぶりつく。
すぐにねっとりと舌が絡みつき、立ち上がってこりこりとした感触のそれをしつこく舐め回し始めた。
「んうっ、乳首、吸われ、てっ、ンッ、ダメ、どっちもは、んんっ」
右は舌で遊ばれ、左は指ではじかれてこねられる。
智幸のおっぱい星人としての覚醒はめざましく、晴也のそれを確実に敏感にしていっていた。
「ハル、もっと、」
「ん、ダメ。ここまで」
流石にこれ以上続けると、またフェラが始まるか尻の穴までいじられる。
そう思った晴也は快感に流されそうになる意識に抵抗し、パチンッと智幸の額にデコピンを決めた。
「いてッ」と言って智幸の顔が胸元から離れていく。
「もっと、ハル、、もう少しだけだから」
名残惜しいらしい彼は甘えて晴也に擦り寄ったが、晴也は晴也でこれ以上甘やかす気はなく、今度はバシッと彼の頭を叩いた。
「頭洗ってやるから、今は我慢」
「いいの?」
「いいよ、おいで」
晴也に構われるなら何でも嬉しいらしい。
智幸が少しだらしなく笑う顔を見て、晴也は呆れたように笑い返した。
半端に濡れていた髪にシャワーをかけ、少し強い質の髪にシャンプーを付けてワシャワシャと泡立てていく。
「ハルの乳首、ぷっくりしてる」
「見なくていい」
襟足まで馴染ませ、一度泡を流す。それからもう一度シャンプーを乗せてまた泡立てた。
先程よりももこもこの泡が出てくる。
頭を洗っている間、晴也は胸元に視線を感じていた。
智幸がずっと乳首を凝視しているのだ。
「ユキ、流すよ」
「ん」
ザアア、とシャワーをかけて泡を全て流すと出来る限り水を払って、リンスを手に取り手のひらで伸ばしてからまた智幸の頭に手を伸ばし、揉み込むように馴染ませていく。
キラ、キラ、と智幸の耳に付けられた金色の地に緑色の石がついた小さなピアスが、髪に指を通すたびに揺れて輝いている。
「ハル、身体も洗って」
甘えた声だった。
「ダメ」
「お願い」
「背中だけならいいよ」
リンスをつけた髪を置いている間、智幸の背中を自分の使っているボディタオルでぐしゃぐしゃと洗い、それが終わると自分の身体をさっさと洗って、智幸にタオルを渡して自分だけシャワーを浴びた。
「ユキ、流すから頭下げて」
「ん」
智幸はグッと頭を下げて、晴也の腰を両手で掴むと目を閉じる。
晴也はそれを見守ってからシャワーを智幸にかけていく。
とろとろしたリンスを丁寧に流してから、身体についた泡も溶かして流し、智幸の肩を触って身体が温まったのを確認すると、バシャバシャと顔にお湯をかけた。
「ん?」
「はい、いいよ」
「ん」
キュッ、と蛇口を捻ると、智幸の手を引いて浴室を後にする。
換気扇を回し、用意していたバスタオルを彼の頭にかけて、自分の分は棚から出して被った。
身体が温まったからか、お互いにホッとして力が抜けたようだった。
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