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その想いと引き換えに⑤*
「…っ…せんせ、離してっ…もう…ッ」
悠斗は自身の限界を感じ、九条の肩を掴んで遠ざけようとした。
それでも行為は加速し、九条は最後まで悠斗を追い込んだ。
「このままイけ。命令だ」
「…やっ…!あ、あ、…ッッ!」
悠斗は九条の手によって絶頂した。
放たれた華液は九条の手を汚し、床を汚した。
「舐めとれ」
「…ん…っ」
九条は手を悠斗の口に押しあてた。
悠斗の頭を掴み、後ろに逃れられないように抑えられた。
「…ふ、ぁ…」
悠斗は舌を出して九条の手の甲に付いた自らの華液を舐めとった。
「床のものも、全部だ」
「…!?」
「自分で汚したものは自分で綺麗にしろ」
「そん、な…」
「青葉に見てもらおうか?青葉のユニフォームで自慰をして、お前が放った精液を」
「…っ…」
悠斗は拒否権がないことを思い知らされ、椅子から降りて腰を屈めた。
手でその華液をすくいとろうとすると、九条に制止された。
「舐めとれと言ったんだ。聞こえなかったか?」
「…ッッ」
悠斗は屈辱から唇を噛み締めたが、反論はできなかった。
今九条の機嫌を損ねれば悠斗の最大の秘密がハルに露呈される。
悠斗は観念して、膝をついて犬のような格好で床についた華液を舐めとった。
「いい格好だな、そのまま誓え。君は今から私の忠誠なイヌになると」
「…!?」
「青葉に君の姿を見てもらいたいなら別だがね。君が青葉をどんな目で見ていたのか、ナニをしていたのか…」
「…お願いですから…その写真を消してください…!」
「消しはしない。が、君の態度次第でこれを露見するのは控えてやる。君が私のイヌになると言うのなら」
「そんな…こと…っ」
「今決めろ、あと10秒だ」
九条はスマホの画面を悠斗に見せつけた。
そこにはサッカー部のグループラインの画面があった。
「やめ、なに、を」
「10…9…8…7…」
画面は画像の投稿画面に移り、先ほどの写真が選択される。
「6…5…4…」
「〜〜〜ッッ!!」
ゆっくりと投稿ボタンに指が近づいていく。
「3…2…」
「やめてください!なんでもします!!イヌでも…なんでも…なります、から…ッ!」
悠斗は恐怖から涙が溢れた。
ハルを失う恐怖。
ハルに軽蔑される、ハルが遠ざかる。
その姿が脳裏に浮かび必死に九条に懇願した。
「お願い…やめて…ください…っ」
九条の脅しに屈して悠斗はその条件を飲んだ。
「いい子だ。明日の夜、私の部屋に来なさい」
そうしてやっと悪夢は終わった。
部屋にそっと戻ると部屋のメンバーはぐっすり寝ていて、怪しまれずに戻ることができた。
隣を見るとハルはまだよく寝ている。
ハルの寝顔を見ながら、悠斗は自分の過ちを悔いた。
ハルに口づけをしてしまったこと。
ハルのユニフォームで自慰をしてしまったこと。
その結果…最悪の事態を招いてしまった。自業自得だ。
俺はどんな顔してハルに接すればいいんだろう
いままでどおり親友として接し続けられるだろうか
この関係が崩れるくらいなら、この気持ちを仕舞い込んでいたほうがいい
九条先生さえ秘密を隠し通してくれれば、俺はハルを失わずに済む
そのためなら-----なんだって犠牲にする。
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