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主人の名を呼べ②*
九条は悠斗の蕾から欲を引き抜くと、悠斗を仰向けにさせ両腕を寝間着の浴衣帯で上に縛った。
「いいか、私の前でその名を口にすることは許さない」
「…っ…」
悠斗は九条を反抗的な目で睨みつけた。
イヌになろうが、抱かれようが、ハルに対する気持ちまで踏み込まれることは受け入れられなかった。
「君の主人は誰だ?」
「…九条、先生…です」
「君は今誰のモノで感じていた?」
「…っ…」
「私に抱かれながら、青葉のことを考えていたな?」
「…そんなこと…ッ」
「そんなことを考える余裕もないくらい感じさせてやる」
九条は鞄を枕元に持ってくると、そこから金属性のリングを取り出した。
射精寸前だった悠斗の欲にそれが取り付けられ、その解放を制された。
「痛…ッ…ぅ、う…」
「他の男の名を呼ぶその口も黙らせてやる」
鞄からボールギャグが取り出され、悠斗の口を塞いだ。
手も出せず、口も封じられ、九条を怒らせてしまったことに悠斗は恐怖を感じ始める。
「今夜は長くなるぞ。覚悟しておけ」
九条は小瓶を取り出し、中の透明な液体を悠斗の欲に塗りつけた。
「…!?…っ…っ…」
悠斗の身体はビクビクと震えるが、まだそれがなんなのかわかっていない。
九条の指はそのまま悠斗の蕾を広げ、小瓶の注ぎ口を蕾に挿入して中身を直接注ぎ込んだ。
「うぅ…っ…!?」
"冷たい何か"が注ぎ込まれ、悠斗は身を捩る。
「媚薬だ。わかるか?君の身体を敏感にするクスリだ」
欲と蕾に熱を感じ、刺激を求めて悠斗の腰が無意識に振れ始める。
「欲しくなってきたか?」
「…ぐぅう…っ!」
悠斗は首を振って否定する。
それとは裏腹に、蕾に触れる九条の指に身を捩じらせてそれを求めた。
「君は青葉以外の男に抱かれて感じている自分を認められない、そうだろう?」
悠斗は熱を帯びた瞳で九条を睨みつける。
それが威嚇になっていないことを悠斗はわかっていない。
感じたらいけない、俺はハルが好きなんだ…イヌに成り下がろうと、九条に屈しちゃいけない…
悠斗の心の奥底にその壁は厚く立ちはだかっていて、九条を受け入れることはできなかった。
「君はクスリで感じさせられているだけだ。私の命令に従っているだけだ」
蕾に挿入される九条の指が3本になり、ぐちゃぐちゃと悠斗の蕾の中をかき混ぜる。
「クスリのせいだ…本当の君はこんな淫乱なやつじゃない。わかっているよ」
「うぅうっ…うぐぅ…っ、う、う…っ」
九条の甘い言葉が、悠斗の壁の逃げ道を作る。
それが詭弁だということを頭ではわかっていても、クスリのせいで思考回路が朦朧としてそれ以上防御することができなくなってしまう。
指でぐちょぐちょに熟れた蕾に、九条の欲ではない"何か"が挿入された。
「んんっ…!?…うー…ッ!」
それは細身のバイブで、悠斗の中で振動を始めた。
九条は振動するバイブをゆっくりと蕾の奥まで挿入し、出し入れを繰り返す。
「んんん…っ!…ん、ん…っ」
媚薬によって強制的に熱を持たされた蕾はバイブをおいしそうに銜え込む。
悠斗の欲にも振動する小さなモノを押し当てられ、裏筋に固定された。
「うぅうう!?うー!!ぐぅうーッ!!」
悠斗は強すぎるその刺激に耐えられず身を捩って暴れた。
「玩具だよ。こんなものでも感じてしまうだろう?」
九条は悠斗の限界を察すると振動を弱め、小休止をして再び攻め立てた。
そのインターバルを何度も繰り返され、悠斗は汗がにじみ、その欲は限界まで充血していた。
「滝瀬、イきたいか?」
悠斗の目には涙が滲み、否定することも肯定することもできない。
九条はバイブを引き抜き、自らの欲を悠斗の蕾に擦り付けた。
「欲しくて仕方ないだろう?クスリのせいだ。本当は欲しくない、わかっているよ」
腰が震え、無意識に九条の欲を追いかける。
自分でもわかるくらいに淫猥に、身体は九条を欲しがっている。
「君は私の命令で仕方なく感じている。君が私のイヌだからだ」
…俺はこの人のイヌだから…従わなきゃ…
命令だから…従わないと…ハルを失う…
「命令だ。自分で挿れなさい」
悠斗は欲望の赴くままに九条の欲を受け入れた。
九条の欲はバイブでは届かなかった奥の奥まで届き、悠斗の前立腺を突き上げた。
「ぐぅうう…っ!!」
九条は悠斗の口を塞ぐボールギャグを外した。
「あぁあっ、あ、あ、あぁッッ!!」
「滝瀬、命令だ。私を見ろ、私の名を呼べ」
「…っくじょう…せんせ…っ…ぅああっ…っ…せんせぇ…ッ」
「そうだ。イクまで呼び続けろ。目をそらすな」
九条はピストンを早め、悠斗を追い込んでいった。
悠斗は何も考える余裕を与えられず、九条の言葉だけが悠斗の頭を占領していた。
「せんせ、…あ、あ、あぅ…っ…!」
「滝瀬、君は私のイヌだ。私だけを見ていろ」
九条は悠斗の欲の解放を制する銀のリングを外した。
ピストンを繰り返し、悠斗の欲を激しく愛撫した。
「あぁあっ!!くじょ…せんせ……ッ!!」
自分の名を呼ぶ悠斗を愛おしく思い、九条はその唇に口付けをした。
「んぅ!んんんーッ!!」
悠斗の華液がドクンと溢れ、全身がビクビクと痙攣した。
九条は悠斗を抱きしめてそれを受けとめた。
「ぅあ、あ、あ…っ…」
痙攣はやがて落ち着き、九条の欲が抜かれてもなお悠斗の欲は硬くなっていた。
「せんせ…うそだ、俺…まだ…っ」
「クスリのせいだ。今夜は長くなると言っただろう?」
九条の言葉に操られ、悠斗は自分の心に嘘をつきながらその身体を委ねていった。
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