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好きなのに side.ハル②

その夜と次の日はユウトが笑ってくれるようにたくさん話をした。 ユウトと話せるようになって嬉しかったけど、なんだかユウトは上の空。 笑ったかと思うと唇をぎゅっと結んで、申し訳なさそうな顔をする。 あの夢の話をしたら、ユウトはどんな反応をするかな。 夢じゃなくてほんとだったとか、だからこんな態度になっちゃうとか? だって昨日の今日でこんなに態度が違うなんてそれしか考えられない。 ユウトに好きって告白したら受け入れてくれるのかな。そうすればユウトも気持ちが楽になる? なぁ、ユウトそんな顔するなよ。 合宿最終日の朝、ユウトに置いてかれまいと早起きしたのに、ユウトはもう部屋にはいなかった。 「ユウト…」 どこにいったんだろう。まだ朝食会場は開いてないはずだ。 散歩?朝練? 合宿寮のまわりを歩いてみてもユウトの姿はなかった。 探しても探してもいなくて、だんだん不安が込み上げてくる。 結局部屋で待ってることしかできなくて、朝食の時間が過ぎてもユウトは戻ってこなかった。 時計の音がやけに大きく感じる。 誰もいなくなった部屋でユウトが来るのをずっと待ってた。 やっと部屋のドアが開いたときハルは思わず大きな声を出してしまった。 「ユウト!」 「…ハル…」 ユウトは一瞬顔を綻ばせたけど、またすぐにしょんぼりと肩を落として唇を結んだ。 「大丈夫?オレ早く起きたのにもうユウトがいなくて、朝メシんとこ行ってもいなくて…」 「ごめん…」 「ユウトなんかヘンだ。元気ない。どうしたの?」 「…なにも…なんでもないよ」 ユウトはそう言ったけど、その声は精一杯で震えてた。それをごまかすように手にぎゅっと力が入って、オレから顔を背けた。 また、その悲しい顔。 「何かあっただろ?なんか困ってる?なぁ、オレなんでもするから…ユウト…そんな顔すんなよぉ…」 オレはユウトの寝間着をつかんで引き寄せて、ユウトの肩に顔を埋めて抱きついた。 ユウトの体温を感じる。弱々しい震えを感じる。 なにをそんなに悲しんでるの?オレが悲しませているの? 「ハル…ほら、俺らもう5年生だしさ、…こーゆーの、恥ずかしいっていうか…抱きついたり手繋いだり…やめようぜ」 ユウトはまたオレを遠ざけようとする。 オレの気持ちも知らないくせに。 こんなにユウトのこと好きだって、ユウトに知ってほしい。 ユウトの不安や悲しみを少しでもわけてほしい。 ちゃんと伝えなきゃ。 「オレはユウトが好きだよ。抱きついたり手つないだりしたい」 「…すき…って…」 心臓の鼓動が早くなって耳が熱くなるのを感じた。 とうとうはっきりと言ってしまった。 いままで冗談ぽく誤魔化してきたオレの気持ち。 ユウトは受け入れてくれるだろうか。 「----ッ!」 ユウトはオレを両手で押し退けて距離を取った。 手をぎゅっと握りしめて、下を向いて、肩を荒げて怒鳴った。 「だから、そーゆーのもうやめろよ!!」 その声はオレの中にドスンと響いた。 完全なる拒絶。 全部オレの妄想でしかなかった。 ユウトはオレに馴れ馴れしくされるのが嫌だったんだ。 ぐわんぐわんと拒絶の言葉が響いて、何も言葉がでなくなった。 「…ごめん、…朝メシいこ」 「…ん」 それからのことは全然覚えてない。 いままでオレはユウトに甘えて、馴れ馴れしく触れて、冗談ぽく笑って… それはユウトにとっては嫌なことだったんだ。 ごめん。ユウトにそんな顔させて。 オレはユウトに触れたらいけないんだ。

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