38 / 80

第38話 「これで最後にしよう」※

 これが、最後だ。 「は、ぁ……」 「っ、イオリ。イオリ……」  エルは泣き出しそうな声で俺の名前を何度も呼ぶ。  泣きたいなら泣けばいいのに。我慢なんかしなくていいのに。  俺はエルの体を押し倒し、その上に馬乗りになった。 「……イ、オリ?」 「いつも俺がやられっぱなしだと思うなよ」  なんて強気なこと言ってみたけど、俺の経験値はコイツとの一回だけ。どうやればいいのか正直分からないけど、今回だけは譲れない。俺がリードするんだ。  これで、終わりだし。最後くらい、俺がコイツを満足させたい。 「う、動くなよ」 「……ふふ。うん、いいよ」  笑いやがったな。さっきまで余裕ない顔してたくせに。  俺だって思春期の男子高校生だったんだ。経験はなくても知識はある。  見様見真似だけど、俺はエルにしてもらったみたいに首筋に唇を這わせた。こいつ、パッと見は細いけど、しっかり鍛えてるよな。さすが勇者。  肌に吸い付いてみたけど、うっすらとした痕にならなかった。難しいな。漫画とかで見るキスマークってどうやってるんだよ。 「……大丈夫?」 「うっせー……いいから黙ってろ」  俺はエルのズボンのベルトを外して、ゆっくり下げた。下着越しでも分かる大きさ。これが、俺の中に入ったのか。前回はやられっぱなしでしっかり見なかったけど、前世の俺より大きくないか。これ、マジで入ってたのかよ。  ここでビビったら駄目だ。決めたんだから。  俺は下着もズラして、エルのモノを露にする。 「……っ」  なんでもう勃ってんだよ。元気じゃないか。  臆するな。俺ならやれる。  ゆるく勃ちあがったそれに、そっと唇を当てた。熱いし、硬い。  舌で昂ったモノを舐める。男のそれなんか気持ち悪くて口にするなんて考えられないのに、エルのモノなら平気だと思えるのは何でだろう。  先を舌先で舐めると、エルの体がビクッと跳ねた。やっぱり先っぽは弱いんだな。 「っ、イオリの口、気持ちいいよ……」 「ん、んぅ……」  アイスを舐めるみたいに、俺は必死でそれを愛撫する。  口に咥えて、歯を当てないように気を付けながら顔を上下に動かした。喉が苦しいけど、エルが気持ちよさそうに小さく声を上げてる。  その声聞いてるだけで、俺も少しドキドキしてくる。  この前のことを体が思い出してるのか、触ってもいないのに俺のモノまでしっかり勃ってるのが分かる。  体の奥が熱い。疼いて仕方ない。  欲しい。  もう一度、この熱を体の奥で感じたい。 「……っは、ぁ。だらしない顔だな、勇者様」 「イオリこそ……凄い顔だよ」  ベタベタの口の周りを袖で拭い、俺は自分のズボンを下げた。  さすがに何もせずコイツのを挿れたらマズいか。俺はまたエルの上に馬乗りになって、唾液で指の濡らし、自分の後孔に触れた。  思い出せ。エルがどうやったか。ゆっくりナカに指を入れて、コイツのモノが入るように慣らす。俺の指じゃ、全然奥まで届かない。もどかしい。欲しいところに届かない。エルのが欲しい。そう思うだけで、俺のモノから先走りが溢れ出てくる。 「凄い眺めだね……見てるだけで興奮するよ」 「見世物じゃねーよ……」  もう我慢できない。  俺は自分の後孔にエルのモノを当てて、ゆっくりを腰を落としていった。 「……っ、ん!」 「っ、く!」  さすがにまだキツかった、けどゆっくりやれば大丈夫だ。てゆうか、コイツのがデカいのが悪い。  ゆっくりとナカを押し広げて、エルのモノを受け入れてく。  圧迫感も凄いけど、それ以上に満たされてる感覚の方が大きい。前に知った、気持ちいい場所にコイツのモノが当たって、背中がぞくぞくする。 「っ、あ、ぁんっ!」 「っ、きつ……痛くない?」 「へ、ぇきだ……! お前は、動くなよ……!」  ゆっくり俺は腰を上下に動かした。  ヤバい。気持ちよくて、力が抜けそうだ。エルの胸に置いた腕が震える。  でもここで余裕ないところなんか見せたくない。俺は声が出ないように唇をぎゅっと噛んで、律動を繰り返した。 「っ、ふ! ぅんっ、ん!」 「……っ、イオリ。口、傷になっちゃうよ」 「うっせ、よ!」」 「それに、さっきから浅いところまでしか入ってないけど……それじゃあいつまで経ってもイケないよ?」 「う、うっせーって……!」  腰が引けてるのがバレたのか、エルが小さく笑った。  ムカつく。俺が主導権握りたいのに、上手くいかない。  もっと、もっと奥まで。俺だってもっと欲しいけど、怖くもある。 「仕方ないな」 「え……っ、あああ!」  エルの手が俺の腰を掴み、一気に奥まで貫いてきた。  最奥まで突かれ、体が大きく跳ねる。ヤバい、軽くイきかけた。意識飛ぶかと思った。 「お、まっ……!」 「ごめんごめん。でも、イオリだって好きだろ? 奥突かれるの」 「ん、なこと、な、いっ!」  エルに腕を掴まれ、支えをなくした俺はもう自分で動けなくなってしまった。  足も震えて、体を浮かせられない。エルのモノが奥まで届いたまま、ナカでビクビクしてる。それだけで俺の体は感じてる。気持ちいい。 「動かないの?」 「う、っひゃ、い……」 「ほら、そんなんじゃ俺、イけないよ」 「ひっ、ぅん! や、ぁ、うご、く、な、ぁあ!」  下から突かれ、俺はもう声を抑えることが出来なかった。  お前、体格差ってものを考えろよ。俺のナカ、エルのでいっぱいで、一番感じるポイントを狙って突いてくる。  もうダメ。おかしくなる。頭、変になる。 「ひ、あ、あぁああ、あっ!」 「っ、すご……」 「あぁぁあ、あ、おく、だめ、ぇ」 「でも、イオリの体は喜んでる」 「ああ! あぁ、ああ!」  もう主導権とか、そんなのどうでもよくなる。  エルの顔も、だらしない顔になってるし、俺の体で気持ちよくなってるのならいいや。 「お、おくっ、いい……い、いい! イ、っちゃ、う!」 「ああ……俺も、イく……!」 「ふ、あ、あぁあ!」 「っ!」  最奥で、エルの熱が弾けた。それに応えるように、俺も背を大きく反らして達した。  ドクンと脈打って、吐き出されるそれの熱さに俺の体も震える。  全身がまだ痺れる。震えが止まらない。  エルが呼吸を整えながら、俺の口元に手を伸ばしてきた。飲み込む余裕がなくて溢れ出た唾液を拭ってくれたようで、エルの濡れた手を見て恥ずかしくなった。  ああ。終わりだ。これが、最後だ。  最後。 「……ゃ」 「イオリ?」 「……っ」 「っ、な!?」  俺は再び、腰をゆっくり動かした。俺のナカでまだ硬いエルのそれは、すぐに元気になった。  まだ、終わりたくない。  俺から終わりにしに来たのに、矛盾してるかもしれないけど。  これが最後なら、もう少しお前を感じたい。 「まだ、できるだろ……」 「……そうだね。もっと、君が欲しいよ。イオリ」  それからもう一度、俺たちは熱を貪り合った。  このまま、この時間が永遠に続けばいいと願いながら。  体中の欲をすべて吐き出すほどに、何度も、何度も。 ーーーー 「……絶倫か、お前は……」  力の入らない体をどうにか浮かせて、エルのモノを抜いた。奥から吐き出されたものが零れるのが分かる。どれだけ出したんだってくらい、メチャクチャ溢れ出てくる。 「だって君が誘ってきたんだよ」 「……うっせぇ」  カッコ悪いな。今回は俺がしっかりリードするつもりだったのに。  でも、いいか。コイツを満足させるって目的は達成したんだ。  もうこれで、終わりに出来る。 「……エル」 「なに?」 「約束通り、これで最後だ」

ともだちにシェアしよう!