さっそく、桜並木の広がる正門前に立っている朝比奈を発見した ああ、オープニングが今始まったのか・・・ ゲームは、校門をOPソングが流れる中主人公が登校するところから始まる。 クラスは当然、朝比奈と一緒 幼馴染の青桐は、確か隣のクラスで・・・ もう一人の攻略対象の黄瀬は確か、体育祭の頃に出会う あれ？ 掲示板のクラス表を確認すると、隣のクラスのはずの青桐が同クラで、朝比奈と黄瀬が隣のクラス・・・？？？ 「あれ？・・・オレの記憶違いかな？」 確か、入試の成績順でクラス分けがされていて、オレと朝比奈は同じクラスなはずだったけど・・・。 「どーした？　名前みつけらんねーのか？」 「え？」 掲示板の前で、棒立ちのままいた翼に、自分のクラスが見つけられない様に見えたのか、後ろから新たなイケボに声をかけられた。 「お前、名前は？？　あ、オレ黄瀬　涼（きせ　りょう）3組　よろしくな！」 「え！　あ、オレは　佐々木翼。　よろしく。」 ッく！これまたイケボイケメン！！！　ああ、八重歯が！！！ 「おー、佐々木翼かー！　あ、お前は1組みたいだな！！クラス違うけどよろしくな！！」 右手が差し出され、思わず握ってしまう。 「おお・・・」 さすがコミュ力お化け！ けど、入学初日で新しい攻略キャラ？？黄瀬の出番は体育祭の時じゃ・・・？？サポート役だから朝比奈が誰を攻略するにも情報を知るために攻略キャラと会うのか？？？　 「おはよ、もう友達出来たんだね。」 また、後ろから声を掛けられたが、このイケボには聞き覚えはあった。 朝比奈と青桐の二人だ！！ってか、オレが推し様の声わからない訳がない！ 「あ、朝比奈おはよう。　こないだは水サンキュ」 「具合はよさそうだな。」 「お、おかげさまです。」 「ちょ！　なんで、相馬には敬語！？」 「えっと・・・なんとなく？」 いや、イケボ過ぎてつい。しかも、膝枕されてなんか照れ臭いというか・・・ 「ひゃー！翼！　有名人と知り合いかー！！すげー！！」 「えっ？」呼び捨て！？さすが、コミュ力お化け！ 「いやいや、一般人だよ！」 満更でもない顔の朝比奈と、明らかに迷惑そうな顔の青桐。ああ、そんな顔も絵になる！さすがはイケメンだ！ 「翼、知らねーの？　こいつら中等部の時から色々伝説があってうちの学校じゃ有名人なんだぜ」 ああ、確か公式キャラブックで確かそんな事が書いてあったなぁ 朝比奈は、陸上部で中学の記録保持な上に、ジュニアモデルとしても活動してたんだっけ。 青桐は、弓道で全国優勝。全国一斉模試でも1位。だったか・・・。公式の情報よりも先に、ねぇちゃんの腐情報が鮮明に思い出してしまったのは、ねぇちゃんの泣き顔を思い出してしまったからかもなぁ・・・。 ちょっとセンチになっていると、あざとイケメン朝比奈が首をかしげながら 「佐々木君は、外部入学だもんね。ってか、僕も翼って呼んでいい？」 思考が少し遠くへ行きかけてた所に、朝比奈に不意に聞かれてびっくりした。「もちろん、かまわないよ。　あ、青桐も名前で呼んでくれる？」　 ってか、さっきからイケメンイケボがオレの名前を呼ぶとかヤバイ～にやける むしろ、推し様はそのイケボでオレを呼んでください！！ダメかな？？ ん？ 三人が固まったぞ？ オレなんか変な事言ったか？？ 『誠って、ホント可愛いわー。無自覚なとこがホントポイント高い！』 硬直から先に動いたのは、青桐だった。そしてそのまま流れる様に、翼の肩に手を乗せて、顔を覗き込まれた。いやーイケメンは何をしてもイケメンだなぁ・・・なんて思いながら、どこか他人事の様に翼は見てた。 「そろそろ、式が始まるから、一旦教室に行くぞ。・・・翼。」 「「！！！！」」 「アッ！　そうだな！　青桐、同じクラスかよろしくな！」 「翼。俺も、相馬で良い。」 「お、おう！！　よろしくな、相馬！」 耳が、孕む！！　顔がにやけてしまう！！ああああああ、叫びてーーーーーー 顔には出てないが、ミニ翼がさっきからゴロゴロと転がっては落ち着きなく暴れている。 肩に乗せられた相馬の手を払いのけられ今度は両サイドから掴まれた。 「つ、翼君！！　僕も、ハルでいいから！」 「お、オレも！リョウで良いぞ！」 「？　おう！？？　ふ、二人ともよろしくな！」 急に、凄い圧を感じて引き戻されたけど、推し様の破壊力の前では二人のイケボ名前呼びはちょっと色あせてしまった。ああ、なんて贅沢！ 「・・・急ぐぞ、翼。」 「お、おう！！」 ひぃー！！　ダメ押しですか！？　推し様、オレの心臓持たないよ！！ 冷静にならなきゃ、これから一年は同じクラスなんだし！！慣れろ、オレ！ クラスへと向かって歩き出した翼の背後では、三人が互いに鋭い視線を交わしていた。 翼本人以外の周囲はそれに気が付いていたが、優秀なモブたちは出番以外は騒がないのだった。 そして新入生代表は、青桐相馬が行い、式の司会をねぇちゃん一推しエロボの紫苑様だった。やばっ・・・萌え死ぬ・・・