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部活動一日目(1)

「ふふ、佐々木君は凄いな~。」 渡されたデジカメの中身をパソコンで見ながら、部長がチェシャ猫のような笑みを浮かべてた。この顔は、ねぇちゃんがよからぬ事を考えてる時の顔に似てる・・・ 「あ、その写真は使わないっすよ。」 部長の後ろから、マウスを動かすと軽く非難の声を上げた。 「なんで?あの青桐相馬のこんな顔滅多に見れないよ?」 (いつも、ポーカーフェイスだし。本当、珍しいのになぁ。) 「ダメです。」 delete  「えー、じゃあこっちの黄瀬リョウ君は?」 ドリブルから、シュートを決めるシーンの連射写真を指差して、部長が聞いてきた。 我ながらきれいに撮れてるなぁ・・・。 「あー、それはいいんじゃないんですか? いつもの顔と違って真剣なの珍しいし」 「ふーん 真剣な顔ね・・・」 (これ、佐々木君に気が付いてるよねぇ・・・。) 画面を見てにやにやしてる部長には後ろにいた翼は気づかなかった。 「で、密着取材って何するんですか?」 「簡単に言うと、デートかな?」 「へー。場所とかテーマとかあるんっすか??」 「どこがいいと思う? あの朝比奈ハルと行くデート特集!!中等部の時からオファーしてたんだけど、中々OKしてもらえなくてね!!」 「・・・そんなに前からっすか。」 朝比奈ハルと青桐相馬は小学校からの幼馴染で、中等部の頃にジュニアモデルとして働いてた朝比奈とその頃から文武両方で有名だった青桐には、周囲から暗黙のルールがあったらしい。 本人達が友人と認識してる者以外の、過度な接触は禁止。 告白は、直接本人につたえず手紙で伝えること。 卒業時に限り、直接アポを取ることを認められていた。 なんだ、これ??こんな設定あったんだ。 部長から、初めて聞かせられる二人の話(設定)に若干戸惑いを覚え 初めて、二人に会った時のことを思い出した。 「あれ?? オレ、入学前に二人に学校裏の展望台で会ってますよ?」 「あー、あれ君か!」 どうやら、オレがいたことで誰かの告白の邪魔をしてしまったらしい・・・。 しかも、あの青桐相馬が膝枕をして、朝比奈が目覚めのキスをしていた・・・とか。なんだそれ?? 「いや、キスはされてませんよ?」 「なら、膝枕はされたのか!」 「・・・あれは、介抱です!!」 部長の変な圧にうんざりしつつ、あの時目の前にあった顔を思い出すと少し顔が熱くなった。 「・・・君は無自覚なのか。」 部長のどこかあきれた声は聞こえてなかった

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