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ふわふわ
「そしたら、なにかやらやる?」
「オレ、数学がヤバイ!」
「あー、僕も数学は苦手かなぁ・・・」
買ってきたジュースとお菓子、教科書とノート
やっぱり、育ちが良いのか基本的にまじめだよなぁ・・・。
数学、英語の二教科の復習と予習をしたところで、黄瀬の腹がなったところで、勉強会は終了となった。
「よし! そしたら、晩飯にしよっか!」
「「え?」」
「卵たくさんあるから、オムライスでもいいか?」
「・・・翼君が作るの?」
「おー、そんな手の込んだ物はできないけどな。用意してくるよ」
空になった、お菓子の皿を片手に台所へ行った翼を見届けると同時に、朝比奈と黄瀬の視線が涼しげな顔してる男に刺さる。続いてダイニングテーブルの下で一発・・・二発・・・
「・・・おい。」
「一人で来るつもりだったのかなぁ」
「カートもずっと押してましたよね」
「・・・。」
「あ! なんかこいつ笑ってやがる!」
「え!? ハル!これ今笑ったの!??」
「こう、口の橋が上がっただろ!!」
「えええ?? いや、わかんないから!!」
「・・・。」
「あ、ほら!戻った」
「えええええええええええええ????」
「トイレ行ってくる。」
さすが、幼馴染。確かに、ちょっと思いだし笑いをしてしまった。
その少しの変化に気が付くとはな・・・。
二人に声をかけて、その場を離れた。そのままキッチンに向かう。
「翼、何か手伝う事あるか?」
「おー、そしたら後ろの棚から皿出してもらっていいか?」
何か切ってる最中だったのか、視線はまな板に向けたままの翼の後から、皿を出す。
「これで良いか?」
「あ、あとこれ洗って」
ミニトマトが入ったパックを渡される。
「わかった。」
ふと、横を見ると真剣な顔でミニトマトを洗ってる相馬。イケメンだ!
翼はそのままフライパンに、みじん切りにした玉ねぎとピーマンを入れ軽く炒め始める。
ファミリーサイズのキッチンなので、並んで作業ができるのはいいけど・・・
なんか、これはちょっと恥ずかしいかも??
って、こら!
「つまみ食いすんなよ」
「ん。」
口元に差し出された、ミニトマト
これは、その食べろという事ですか? ああ、はい。目が早くしろと言ってますね・・・。一回意識してしまうと恥ずかしさが上回ってしまうのだが、相手は最推し!願ってもいない事だけど・・・
「・・・・・・・・・。」
「共犯な。」
!!
ハイ!! 口からミニトマト出るかと思った!!
ああ、今の顔 スチルで欲しかった!! ボイスは?!!!
推し様自ら食べさせてくれるとか、なんというご褒美。ああ、なんで第三者目線で見れないんだ・・・。
あー、指先ペロって・・・あああ、セクシーです。
「・・・翼、焦げる。」
「え?あ、やば!!」
危うく香ばしくなりかけたチキンライスを先に形を整えて皿に盛りつける。
その上から、ふわふわのオムレツを乗せ真ん中に切り込みを入れると半熟気味のふわふわトロトロの黄色がチキンライスを覆った。
「うまそうだ。」
「だろ! あっちで切ってもいいけど、どうする?」
「・・・多分、あいつらもみたがる。」
「わかった、そしたらそれはオレので」
「いや、オレので構わない。」
「そっか?まぁ、もう出来るからスプーンとサラダ運んでよ。」
「わかった。」
ダイニングにサラダを運ぶと、二人の冷たい視線が・・・
「だからさー、相馬」
「・・・もう出来るぞ。手伝え。」
「オレ、手伝ってくる!!」
「え!ちょっとリョウ君!ずるい!」
キッチンの方が賑やかになったのを聞きながら、テーブルにサラダとカトラリーをそろえる。
ふと、指先に触れた柔らかい感触を思い出してしまい。
窓に、ミニトマトと同じ色になった顔が映った。
無表情・無感情でも無い。ただ、人前では表情を出さない様に今までいただけの事だった。そうで有ることが周りからも求められていた。そんな中、幼馴染のハルは気が付いていた。きっと、今の気持ちもあいつにはわかってるのかもな・・・。
「相馬どーかした?」
「いや?」
「相馬!超うまそうなんだけど!!」
「卵がふわーって!!」
結局、キッチンで出来た傍から切って見せたらしい。
二人の手にはデミグラスソースとトマトソースが乗ったオムライスがあった。
「相馬はデミとトマトどっちがいい?」
「・・・デミで。」
「了解!今持ってく。」
しかし、ゲーム主要キャラのイケメン達が自分の手料理を食べてるとか・・・、ねぇちゃんがこの場に居たら喜びそうだ。相馬のオムライスにデミグラスソースをのせ、自分のにはトマトソースをのせた。
「ソースは簡単に作ったから、ちょっと自信ないけど食えるはずだから・・・。」
「いや!!翼君!!おいしいよ!」
「こっちのトマトソースもうまっ!」
「ハルのも一口くれ!」
「じゃー、リョウ君のも一口もらう~」
「ああ、良かった。」
な、なんだ!!この図はなんだ? ご褒美スチルなのか?!
新規スチルが多すぎる!! イケメンが、オムライスを食べてるだけなのに絵になるのもすごいけど・・・。
「あ、相馬もこっち一口いる?」
翼が自分の皿を相馬の前に寄せる。
スプーンで一口すくったのを見届けると、相馬の口の端が上がった。
どうやら、口に合ったみたいで良かった。
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