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妹side

久しぶりに帰って我が家。 っても、引っ越してからこの家で暮らした日数は数えられる位だけど、兄がいるだけそこが安心できる場所である事に間違いはなかった。 私には、親の海外転勤、自分自身の寮生活は小さい頃からわかっていた事だった。 まだ、幼かった自分がここがそれまでいた世界と違う事に気が付いた時は、怖くて仕方がなかった。泣きながら兄のいる学校迄行ってその存在を確かめても、それでも不安は消えなかった。 また、居なくなってしまうのでは無いかと・・・ そんなある日、兄の瞳の色が自分と違う事に気が付いたのだ。 それからは、注意して周りの情報を見る様にした。 そして、兄が高校に進級する時に全て把握したのだ・・・ ここは、私が作った世界だって事に・・・。 私は、坂本百合 腐女子歴・・・年の筋金入り。今度の春に大学生になる予定だった、弟がいた。その弟は大学受験の後に事故で亡くなってしまった。 私が、あの日に本屋によって欲しいって頼まなければ・・・もしかしたら、弟は死ななくて済んだかも知れない。そんな後悔の毎日だった。あの日受けた大学の合格通知も、私がすべて無駄にしてしまったんだと思った。何度、弟のあとを追って・・・と考えた事か・・・。 けれど、残された親の事を考えるとそれは出来なかった。 だけど、どうしても弟には幸せになってほしかった。 だから、自己満かもしれないけど弟に似たキャラクターで弟の好きだったキャラクター達に愛される同人ソフトを作った。 元は全年齢対象の乙女ゲームで軽いBL要素のモノだけど、弟はそれに出てくるパーフェクト攻め様が大好きだった。隠してるようだったけど、弟も十分腐男子になっていたのだ。だから、その攻め様に思う存分愛されて幸せになってほしいと願いを込めて、R指定で作ったよ!! 折角大学生になって、R指定も解禁になるはずだったのに・・・ ホント、ごめんめ。 そして、今そんな世界に、自分がいる。 今度は、弟ではなく兄がいる。それも、自分の作ったゲーム世界で一緒にいる。バットエンドは作っていないから、最悪な事にはならないと解っていても確かめずにはいられなかった。兄が高校に入る迄は側にいたい。ブラコンと言われてもいい。ずっと側に居たかった。けれどこの世界は、兄が愛される為の世界。 その日が来たら私はちゃんと自分の役目をこなすのだ。 それは自分の為でもあるから。 「しっかし、やっぱ相馬様なのね・・・。」 ホント、おにぃは弟にそっくりだわ。

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