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死んでも治らない
初めてこの目に映してから・・・
一つも変わることが無かった事があった。
それは、相馬に対する想いだった。
朝比奈がこのゲームの主人公。自分はサポートするキャラクターだと解っていても、相馬の傍に居たい。相馬を見ていたい。この気持ちは変わらなかった。それが、自分の好きだったキャラクターだからだと思っていた。
だけど、この世界はキャラクターだと思っていた人物達にはリアルな世界。
そして自分は、主人公の恋を応援しなければいけない。
もし、主人公が相馬を選んだら・・・。
自分は友人だから、傍で見る事も難しい場面が出てくる。
それは、嫌だと思った。
二次元の頃も、何度か妄想する事はあった。
もし、実際に相馬の様な人が現れたら、自分は同性愛に目覚めるのか、それとも目覚めないのか・・・。けれど、所詮は二次元。そんなバカげた妄想と真剣には考えていなかった。漠然と、彼女を作って、結婚して子供が出来て・・・そんな人生を送るんだろうと。
けれど、こうして転生前の記憶と共に、手の届かなかった存在が手の届く所にいて、社会的にも何も問題が無いなら・・・
翼の気持ちは、否応なしにも自覚してしまった。
主人公がいくらこの人が好きだと言っても、自分はサポートできない。サポートしたくないと想ってしまった。常に傍にいるのは自分で在りたいと。
自分がこのゲームの主人公だったら良かったのに・・・。
「オレは、相馬が好きだ・・・。」
けれど、このゲームの主人公は朝比奈。
朝比奈が、相馬を選んだらオレはサポートするよ。それが役目だから・・・
けど、ごめん。最後まで悪あがきはさせて貰うからね。
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