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事件は現場で起きている

明日は朝比奈とジムに行くし、今日はいつも通りに走るつもりで家を出ようとしたタイミングで、咲紀からメールが来た。 「最近、家の周りで変質者でるらしいから気を付けてね。」 ・・・変質者???そういえば、マンションのエントランスに先月末位から貼って有った様な気もするなぁ・・・。まぁ、男のオレには関係無いかな?むしろ咲紀が寮で良かったかも知れないな。 「ありがとう。気を付けるよ。 咲紀も気をつけろよ。」っと、送信♪  いつもの白Tシャツと、短パン・・・と、薄手の上着。黄瀬に、ばったり会った日に、上着は有った方が良いと真剣な顔で言われてから行きは腰に巻いて、帰りは羽織る様になった。まぁ、最初は邪魔だなぁ・・・って思ったけど、汗が冷たりした時に一枚あるとやっぱり違うし、スポーツマンが勧めるならそれが良いんだろう。次の日に上着を持ってきたのを見て、あからさまにホッとされたし・・・。 「わりー、遅くなった!!」 公園の入り口で、リフティングしながら待っていた黄瀬に声を掛けながら、いつもより少し遅れて合流した。 「おー、なんかあった?」 「出る時に妹からメールが着て、返事返してたら遅れた~。」 「そっか、なら良かった。」 いつものコースを走りながら明日の事を黄瀬にも話した。 「あー、あそこのジムならオレも会員だよ。 っても、ジムじゃボール蹴れないからさ。」 なるほど。だからいつもボール持ってるのか。ボールは友達だもんな。 今も、ドリブルしながら走ってるし。たまに、フェイントを入れながら走ってるし・・・。さすが、全国レベル!  そして、何故かジムの設備が如何に素晴らしいか、招待券の有効期限があるんだから使わないと損だと黄瀬にまで説得されてしまった。 「まぁ、相馬なら何枚でも招待券くれると思うけど~。」 「あー、それもなんか嫌なんだよね。」 なんか、金や財力目当てで友達してる訳じゃないし・・・。 ジムも良いと思ったら、入会したいとは思うからと、ちょっと照れながら言うと黄瀬のボールを蹴っていた足が止まる。つられて、翼も足が止まる。 「リョウ? どうかした?」 「・・・翼、伏せて!!」 いきなり、黄瀬はフルパワーでボールを蹴り上げた。言われるがまま伏せた翼の頭上を猛スピードで通り過ぎたボールは、何かに当たって跳ね返ってきた。 「ちょ!! リョウ!!危ないじゃんか!!」 「わりー!! あんまりにも翼が良い子過ぎて思わず、力が入っちゃたわ」 跳ね返ってきたボールをまた上手に操りながら黄瀬は走りだしたので、置いて行かれない様に急いで翼も着いて行った。 「なぁ、さっきのあんま深く考えなくてもいいんじゃないか?」 先に走りだした黄瀬に並ぶと、そう言って八重歯を見せて笑ってくれた。 その笑顔に、見惚れてなんの事を言われたのか一瞬解らなかった。 --------------------------------------------------------------- ドガッ!!!!!!!!!!!!!!! 「うわ!!」 パシャ!!パシャ!! 「おまわりさーん!!! こっちです!!こっち!!」 翌朝、新聞の地元事件の所にお手柄高校生、悪質変質者撃退!の記事が載っていた。写真提供:きらめき学園 新聞部:部長 木津根

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