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後夜祭 (部長&田貫)
体育祭の余韻が残る中、この二人は部室に居た。
「部長、コーヒー淹れますね!」
いつもの様に、部室内に置いてあるコーヒーメーカーで手慣れた様子でコーヒーを淹れて部長へ手渡した。
コーヒーを受け取り、そのままPCの電源を入れる。
今日撮った写真のデーターを、取り込む。
ホント、今日は良い画が沢山撮れた!!
あの、青の王子の笑顔。それも、あんなサプライズな演出まで・・・。
あの構図は狙っても撮らせて貰えない。
ぐふふふふ・・・
「笑いが止まらないねぇ・・・。」
むふふふ・・・
「ホント、今年は潤いますね・・・」
隣のPCでは翼が一日使っていたカメラの画像を取り込んでいた。
足の捻挫で途中までしか撮影出来なかったが、かなりの枚数の容量が有った。
「うわぁ・・・・。」
思わず、コーヒーを飲む。
口の中がまだ甘いわぁ・・・。
「田貫・・・何か、良い写真有ったか??」
固まっている田貫に振り返って声を掛けた。何を見て固まって・・・・・・・
画面には糖度の高めな写真が・・・。
思わず、手に持っていたコーヒーを飲む。
「・・・それは、使えないから後で本人にデーター事持っていくよ。」
「ですね・・・。」
二人同時にコーヒーを口に運ぶ。
砂糖もミルクも淹れてないはずのに、口の中が甘い。
他の写真も、かなり糖度が高いな。
ってか、こいつこんな顔すんのなぁ・・・。
画面の中の人物のデフォルトを思い出すと、胃がキリキリしてきた。
糖度の高いデーターの処理は後にしてもらい、田貫自身の撮ったデーターを処理してもらう事にした・・・のだが・・・
今度は、さっきとは違う悲鳴に何事かともう一度振り返る。
ひぃぃぃぃ!!!!!!!!!
「ぶ、部長!! こ、これは・・・・!!」
ゴフッ
こ、コーヒーが鼻から出そうだったよ?!
「田貫君。その画像は、消去で!!」
そんな呪いの写真なんか残しちゃ駄目だ!!即delete!!
ああ、夢に出そうだ。これなら、まだ糖度高い方が胃には優しいなぁ・・・。
「しっかし、部長。彼も人間だったんですね・・・。」
思わず、口から零れた。
自分の撮った写真と、彼の撮った写真。明らかに表情が違う。
目線が合う事自体珍しいのだけど・・・。彼の写真には、意識して視線を向けているのもある。彼の指示で視線を向いけたのか・・・。それとも無意識なのか・・・
まぁ、僕は部長とこうやって作業出来ればどうでも良いんだけどね。
「・・・僕も、それには同意。けど、発言には気を付けて。」
「・・・はい。」
部長の忠告と共に、さっきの写真が脳裏を過った。
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