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その3
黄瀬、朝比奈って続いたんだから、どうせならば相馬にも会ってみたいけど…………、普段相馬がこのモールを使ってるとは思えないな。使ってるとしても、さっき朝比奈に会った本屋位か?
「…おにぃ、また考え事??」
隣で何度か声を掛けたのに、と少し膨れっ面になってる咲紀が腕を掴んで、顔を覗き込んできた。
「んー。この流れだともう1人位、遭遇するかなぁ………って、思ってさ。」
「それは…………有り得そうだね。 まぁ、そしたら、また自己紹介するから笑」
さっきまでの流れを思い出した咲紀が、笑いながら言った。そして、咲紀がオススメするモール近くのレストランで食事をする事にした。
「カップルみたいに見えるかなー?」
「どーだろな?? 中学生の彼女とかオレやだな…笑 」
掴んでいた腕をそのまま組んでレストランまで向かう途中、同じように腕を組んでるカップルを見かけて、咲紀聞いてきた。内心自分も少し思ったけど……
咲紀は中学生になったばかりにしては大人っぽくは見えるけど。妹はやっぱり妹だし。それに、オレの好きなタイプはどちらかと言うと、頼れると言うか尊敬出来るら様な…………
「…おにぃが、幼く見えるから釣り合いは取れるよ!」
「!! オレかよ!」
「冗談だって笑 だっておにぃ、なんか失礼な事考えてたっぽいんだもん~。」
じゃれ合いながらも着いたレストランは、モール近くのホテル内の2階にあった。 宿泊客以外も利用出来るらしく、そこはドレスコードとかは無い店だった。ちょっと安心。まぁ、咲紀が連れて来たんだから、ドレスコードがあったら出かける前に一式用意してるか………。
運良く席が空いてたらしく、予約していなかったがすぐに案内された。案内されたのは、中庭が見渡せるテラス席だった。
中庭を見下ろすと、パーティーが行われていた。沢山の華やかな装いの人達が見えた。
「うわぁー! 綺麗だね!! 良いな~。私もドレス着てみたい~」
「馬子にも衣装だな。」
「なにそれ!おにぃ、酷い~!」
中庭から、メニューに目を向ける。 うーん。転生前の感覚だと、この価格は高級レストランなんだけどなぁ……。けど、咲紀が勧めてくるって事、この価格帯は普通なのかも知れない…………。とりあえず、咲紀と同じその日のオススメコースを頼む事にした。
中庭の方が、少し賑やかになった。
見ると、グレーシルバーのタキシードを着た男性が白のタキシードを着た男性と腕を組んで出てきた。その男性達にフラワーシャワーで周りの人達が出迎えていた。
「結婚式だったのかな? 幸せそーだね!!」
「え、あ………うん。 」
…って、両方男同士なんだけど………………?????そこは、普通に受け入れられちゃうのか?! 前に、同性同士の恋愛も普通にある世界だとは、咲紀に教えられたけど……。結婚式まで……。
その時、人集りの少しはずれた辺りに見慣れた顔を見つけた。けれど、その格好は制服でもなく、みんなと出かけた時の様なラフな物でも無かった。同い歳とは思えない様な、大人っぽさがあった。
その隣に、見慣れないツインテールの女の子?がやたらと腕にまとわりついていた。
うんざりした顔をしつつも、そのままにしている辺り親しいのかも知れない……………。
けど、なんか………なんだろ……。モヤモヤする。
「おにぃ?? どうかした?? 」
中庭に視線が釘付けになってしまった、オレと同じように咲紀も中庭へ視線を向ける。
「………あれって、青桐グループの?」
「!? 咲紀知ってるのか??」
「えっ?! あ、うん。 ほら……昨日写真で………」
「写真………って……………!!?!!」
写真って、あの写真か!!! 昨日、部長から送られてきた、お姫様抱っこのツーショット写真の事と気がついて顔が熱くなる。
「おにぃ、真っ赤だよ笑」
「なっ……」
ちょうどいい所に料理が運ばれ始めたので、そっちに集中する事にした。中庭からこっちを見てた視線があった事に気が付く事は無かった。
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