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一族(3)

結局、この式も一族へのお披露目会。 ここに彼らの友人等は一切いない・・・。 式の最中、給仕から一通の招待状を手渡された。 「そーま君、折角だから出席していこうか♪」 「・・・。」 招待状は、この後に行われる彼らの友人達を招いた披露宴のモノだった。 祖父からの言いつけは守ったし、このまま帰っても何も言われる事は無いだろう。けれど、このまま帰るのも・・・ 招待状を手渡してくれた給仕に、参加する事を伝えこの会場を一旦後にした。 それに続いて、リオも一緒に会場を出て来た。 「僕もお色直ししよーっと♪ あ! そーま君!! 時間まで隣のモールに行ってみよーよ。」 「・・・断る。」 「えー、いこーよ! ゆるキャラショーやってるらしいよー!!」 「・・・・。」 リオのスカートのポケットから出て来たチラシを見ると、4人でモールに来た時に見たゆるキャラのショーの案内だった。 「・・・。 少しなら付き合ってやる。」 「ホント!! 嬉し~♪」 イベントスペースへ行くと、前の方に今日何度と思い浮かべた姿が有った。 ・・・足はもう平気なのか? 声を掛け様かとも思ったが、連れが居たのを見て、声を掛けるのは辞めた。自分の隣では、リオがゆるキャラの登場にはしゃいでいたが、自分の視線は楽しそうにしているアイツに釘付けだった。 「ねぇ、そーま君! 次はあそこのお店~♪」 ゆるキャラを見た後、リオはお色直しすると言って行きつけのショップに連れていかれた。 「・・・勝手にしろ。」 「わかった~。 じゃ!行こ~♪」 腕を引っ張られ、ショップの中に連れて入られ、水色とピンクのワンピースのどっちが似合うか永遠と聞かれた。 「・・・ピンク。」 「えー、ホントに~?? ちょっと着てみる~」 試着室にリオが入ったのを見届け、ショップの外に出るとさっき見かけた人物がいた。 自分には気づいていないらしく、携帯でレストラン情報を見ていた。・・・、あの店は確か・・・。見えていた、画面の店に連絡を入れた。 「も~!! 先に出てるとか酷い!!」 文句を言いながら、リオが店から出て来た。 向こうも、待っていた相手が出て来たのかそっちへ走って行った。 リオはさっきまで着ていた服から、選んだ服に着替えたらしく。ピンクのワンピースに装いを替えていた。 「・・・ああ、ピンクやっぱり似合うじゃないか。」 紙袋を持ってやる。 「そっかな? 可愛い?? そろそろ時間だし行こ~」 機嫌が直ったリオが、嬉しそうに腕にまとわりつく。 ホテルの中庭で行われてガーデンパーティーは、アットホームな雰囲気の中行われた。二人の友人達が、フラワーシャワーをして出迎えてた。 「あの二人、幸せそ~!!」 確かに。友人達に見守られて、嬉しそうだ。 リオもこの二人の馴れ初めを知っているのか、二人を見る顔はさっきまでとは違いどこか憧れているようだった。 伝説に守られてる二人。 隣に居た友人がそう話してるのが聞こえた。 確かに、彼らは研究が祖父に認められる迄にも色々とあったらしい。 まぁ、一族に認められなければ・・・、研究の協力をしてくれる所なんて早々無かっただろう。その為、彼らは海外の企業に協力をして貰っていた。 そこで、成果が出てき始めた頃から祖父の態度も変わった。 同性婚に対して、祖父は否定はしない。 ただ、自分達に有益かどうか。それだけ。彼らの研究を援助する事を決めた時から、我が社の株価が上がった。ただ、それだけ。 けれど、今この目の前で幸せそうな二人を見るとそんな事は関係ないようだった。・・・羨ましい。 そう、思った時、ふと中庭から見えるレストランのテラス席が目に入った。あの席は、さっき連絡を入れ開けておいて貰った席。 そこに座ってるのは・・・。 一緒にいる相手に何か言われたのか・・・ ここから見ても、顔を赤く恥ずかしそうに笑ってる姿が見えた。 あの顔が悲しむのは見たくない。そう思った。

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