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見慣れない生徒
弓道場から下駄箱へ続く渡り廊下を歩いてると、中庭に見慣れない生徒を見かけた。制服の色で中等部の生徒と分かったが、中等部に知り合いがいる訳でも無い翼がこの生徒を知っている訳が無かった。
綺麗なピンク・・・。桜の花みたいだ。
風に飛ばされたのか、その生徒は枝に引っ掛かったタオルを取ろうとしていた。その事に気が付いた翼は、上履きのまま駆け寄って、枝に引っかかったタオルを取ってあげた。
「はい、これ。」
「・・・あ、ありがとう・・・ございます・・・。」
「君、中等部? 綺麗な髪の色だね!」
それに、アーモンドのような瞳の形に、ピンクゴールドの瞳の色。
ピンクの猫みたい。つい不躾に、顔を見つめてしまった。
「・・・・!!」
「え!?」
翼の手から、タオルを奪ってその生徒は走って行ってしまった。
・・・な、なんだ??ホント、猫みたいな子・・・って、あんなじっくり見たら、逃げるか。今度、会う機会が有ったら謝ろう・・・。
「最悪!!! よりにもよって!!アイツなんかに!! しかも!!
あーーーーー!!! もう、最悪!! 折角、相馬くんに持って行こうと思ったのに!!!もう!!なんで、お前ら居ないんだよ!!」
「ごめんて〜! ちょっと目を離した隙に飛んでったんだって」
「申し訳ございません・・・。」
「ホント最悪! しかも、こんな髪・・・」
長身の二人を従えて、ピンクの髪をした生徒は迎えに来た車に乗って行った。
「翼、そんなとこで何してるんだ?」
着替え終わった相馬が渡り廊下から、声をかけてきた。
「あ、相馬! 今、中等部の子がいたんだけどさ・・・。」
「・・・こんな所にか?」
「なんか、タオルが木に引っ掛かったみたいだった・・けど・・・」
確かに、こんな所に 中等部の生徒が何の用だったんだろう?こっちには、弓道場位しか建物は無いけど・・・。もしかして、あのタオルは相馬に・・・?
さっきの生徒の顔を思い出して見るが、やはり翼には面識がなかった。
「翼、遅くなるぞ。 送ってく。」
「え? ああ、ありがとう・・・。」
治ったはずの胸のモヤモヤがまた振り返した・・・。
なんだろ?帰ったら、薬でも飲むかなぁ・・・って・・・
無意識に、鳩尾に手を当てていた所に、相馬の手が重ねられた。
「・・・どうかしたのか?」
「・・え・・と、食べ過ぎ的な・・・?」
「・・・的なって、自分の身体なのに? 変なの。」
「え・・・あ、そうま?」
流れる様に手を握られ、そのまま歩いて行く相馬に思考と体が付いて行かない。えええ???なんで??
「・・・手・・・。」
「門で車待ってるし・・・ダメか?」
「え・・いや・・・ダ・・ダメじゃ・・・。」
「なら、待たせてるし行こ!」
「あ、う・・・ん。」
下駄箱で、靴を履き替えた後もなぜか繋がれた手。
「・・・相馬??」
えええええええ???まだ繋ぐのか!?
「ダメじゃないんだろ?」
「まぁ・・・。」
あれ?これは、繋ぐもんなのか??あれ????
この流れは・・・相馬が良いならいいのか?
繋がれた先を見ると相馬に微笑まれた。
うう・・・だからさ・・・。ホント、オレの心臓ドキドキしすぎて破裂しちゃうんですけど???!
けど、さっき相馬に申し訳ない事したし・・・。
車まで、数メートル!! オレ、頑張るよ!!!!!!
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