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田中さんは大変 (青桐&朝比奈)

ハルに、送れと言われ 今日は、翼達より先に下校する事になった。翼はリョウと今日は帰ると言っていたが・・・ ふと、自分の携帯を確認しようとポケットへと手を伸ばしかけたその時・・・ ハルが車内で叫んだ 「あーーーーー、もう!!! 今日の何?! 相馬、何した訳!?」 「・・・ハル、うるさい。 車の中で騒ぐな。」 思わず、耳を押さえ隣に座ってるハルの大声に、窓の方へ顔を相馬は向けた。 「はぁ?! 騒ぐなってさー!相馬が昼にあんな空気にするからじゃんか!!!」 「・・・。」 昼の事を言っているのだろう。相馬も思い出してはまた黒いモノを背中に纏い始めた バシ!! 隣り合っている方の肩を叩かれる。 「そもそも、相馬はむっつりなんだよ! 何なの?急に手とか握ってたりしてさ!!」 バンバン!!! もう一度・・・ 地味に痛い。 窓に向けていた顔を、ハルの方へ向けると目が合った。 「・・・・。」 別に手ぐらい・・・むっつりじゃない! フン また、窓の方に視線を戻す 「あ!僕に、隠そうとしてもダメだからね!!」 「・・・別に何も隠してないけど?」 「ふーん。なら、今日何があった?」 「・・・別に・・・」 「はぁ?! 何も無いであんなクラスが凍るかよ!!」 フン!!!! 相馬は、胸ポケットから携帯を取り出し何も言わずに、携帯をいじりだした。 「おい! 相馬、こっち見ろって!!」 肩を掴んでこっちに向かせようとしたと同時に、舌打ちした相馬が運転手に指示を出した。 ッチ!! 「田中、駅前の喫茶店が見える位置で止まれ。」 「相馬!なんなんだよ? ・・・それ・・・。」 相馬の手に握られていた携帯の画面に、緑のアイコンと黄色のアイコンが地図らしき物の上で点滅していた。 「別に、何もしてない!」 「だから、何もないなら、そんな態度・・・・・・・・・・・・?!?」 フン!! 相馬の態度に、何か思い当たったのか朝比奈は質問を替えて聞いていた。 「・・・朝練は・・・?」 「問題無く2時間」 あ、あれ??いつもは生徒会で勉強してからの練習1時間だよね?? 「・・・教室では・・・?」 「さぁ? トイレか、職員室か・・・」 あれ、授業のおさらいは?? 「・・・昼・・は、あれか・・・。」 「で、今は喫茶店で楽しく・・・ねぇ・・・。フーン」 相馬の背中から・・・黒いモノがまた出て来た。 あ、これ・・・。僕、とばっちり来るやつ!? 「・・・ハル?僕もさぁ・・・知りたいんだけど??君が翼に何か言ったんじゃないの?」 「え!? いやいや・・・、オ、オレは何も・・・」 ひぃー、相馬の口調が「僕」になってんじゃん!! もー、僕まで口調戻っちゃったじゃないか!  もう!! って・・・僕、本当に何も言って・・・な・・・・ん???? ふと、最後に翼と会話した時の事を思い出してみる。 確か・・・、翼君とは保健室で・・・ 『もう、相馬とした?』 って、オレ聞いたな・・・。 あ、これか?? まさか?? あれ、そしたらこれオレヤバくない?? えーー、うそーん!!翼君まさか、嫌だったとか?? 避けちゃうほど嫌だったのか?? えー、そんな事ある?? あんな相馬しか見えません!!って、感じなのに?? ってか、避けられたとしてもそれって相馬が手握ったりとか急にするからじゃ・・・!!!?! んーん?? 思わず腕を組んで考えてしまったその様子に、相馬が踏ん反り返って聞いてきた。 「・・・なんだ?なんか思い当たったのか?」 「いや、別に。もし、僕が翼君に聞いたことが原因でそんな態度なら・・・やっぱさー、相馬に問題有ると思うけど~?」 プイ!!  今度は、ハルがそう言って窓の方に顔を背けた。 「な!! ぼ、僕は、ちゃんと翼が慣れるまでは・・・」 「!!! な、慣れるって!!相馬お前!やっぱ!!」 そう言いながら、ハルは窓の方に向けてた顔を相馬に勢いよく向けた・・・が相馬の続けた内容に 面食らってしまった。 「大体、顔が近づくだけで避けて驚かれるとか・・・、やっぱ??ハル? なんだよ?」 「え?? 顔が近づいただけで・・・?」驚かれる・・・???え?? そりゃ、僕も相馬もイケメンですけども? え?? 驚く?? ってか、え?避ける・・・って今言った?え??? この僕達によって来ようとする輩が多い中で・・・?え???  困惑する、ハルを見て相馬も思わずため息が漏れた。 はぁ・・・ 「そうだよな・・・。俺も最初はそうなった。」 「え?なんで?? この顔のどこに驚いて避ける要素が?!」 「恰好良すぎるからって・・・何?」 「・・・え?? 何、急に?? あれ??オレ、惚気られてる??!」 「いや、惚気ではない!!!」 口調が思わず強くなった相馬に若干引きはじめるハル。 そんな二人を運転手の田中さんは、ミラー越しに見守っていた。 相馬の気配に気圧されながらもちゃんと相槌を打つ 「・・・あ、はい。」 「良いか?僕達はこの顔のおかげで、人が寄って来ては面倒に巻き込まれたりもしたが!!!別に、この顔で居る事自体に不自由さを感じた事はない!・・・そうだろ?!」 「あ、ああ。」 段々とヒートアップする相馬 ひたすら頷くしかない朝比奈 「それがだ!! 一歩近づこうにも、気が付かれたら一歩どころか二歩後退され。やっと・・・やっと!!! 逃げなくなったと思ったら・・・なんだ?急に!?二歩どころか、近寄らなくなるって!!!!!」 「そ、相馬・・・。」 な、なんか・・・もう、相馬。頑張ったんだな。 「失礼します・・・。相馬様、そろそろ駅前に差し掛かりますが・・・」 田中がタイミングを見計って声を掛けてきた。 「・・・ああ。気づかれない程度に近くで。」 「畏まりました。」 「・・・ってか、僕達も行けば良くない??」 「・・・フン!」 あ・・・、そっか。またリョウが隣になるのも嫌なのか・・・。 車内から、翼とリョウの姿が確認できる位の距離に車が差しかかった辺りから、カーステレオから聞き覚えのある声が聞こえて来た。 え??これって・・・まさか、盗聴!? いや・・まぁ・・・うん。 相馬のその癖は知ってたけども・・・ 良いのか?これ聞いてもし・・・ 『・・・・・・ぶ・・・・・・か?』 『オレ・・・リョウとは出来る・・・相馬・・・むり・・・』 「!!!!!!!!!!!!!」 い、今、確かに!?聞こえましたよ!!!? ねぇ? 田中さん!!!? ミラー越しに、昔から相馬の送迎を担当している田中さんに思わず助けを視線で助けを求めてしまった。 ほら!ねぇ・・・ 横から、黒いの溢れ出てるって!! 「相馬様!もう少し近づきますので!」 「・・・」 さっきより、鮮明に声が聞こえて来た。 どうやら、リョウがさっきの爆弾発言の真相を聞いているようだった。 僕の隣では、今まさに爆心地になりそうな位黒いオーラが噴き出てるけど・・・ 『ちょ!! なんで、相馬には無理なんだよ?』 そう!そこ!!それ重要だよ!!リョウ!いい質問だ!! さぁ、翼君!!  『だって・・・相馬にだと恥ずかしい・・・』 はい!!  翼君、偉い! 君はぶれないね!!偉いよ!  「さ!! 田中さん車出して! さ、相馬!帰ろう!!」 「畏まりました。」 隣の黒いのも収まったらしく、車内の空気が一気にすがすがしさを感じたのも・・・ 束の間、また何か引っかかったのか、相馬が良いだしそうだった・・・ 「・・・恥ずかしいって・・・。」 「照れ屋なのかな!! 翼君は、ピュアでシャイなのかもね!!!!!」 「・・・ピュアでシャイ・・・。そ、そうか・・・。」 ご、ごめん翼君。 君はもう、ずっとピュアでシャイボーイで居て・・・ そう願わずには居られない、朝日奈だった・・・。

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