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茂みの中
最後の一冊を読み返し終わった所で、結構な時間が過ぎている事に気が付いた。
「やば!! もう、寝ないと!!」
急いでベットに入ったけど、変に頭が冴えて眠れなかった。
最後の一冊は、殆ど相馬の事だった。
最推しの相馬様の部活の様子やら、カッコイイポイントだの・・・。
恥ずかしいほど、相馬の事ばかり。ゲームの中の相馬様はクールで大人っぽいけど、実物は結構子供っぽい所が有っただの・・・。ゲームで知ってる相馬様と実物との違いを発見した時は、ノートに書いてあった。
朝日奈は「相馬を信じてあげて」と言っていた。
信じる・・・って何をだろう?
裏切られたと思う程、相馬の事をオレは知ってるのかな?
目を閉じると、弓道場での相馬の姿が浮かんだ。
相馬の弓が見たいなぁ・・・・。
気が付くとそのまま翼は眠っていた。
ふぁぁ・・・・
習慣とは恐ろしい。
昨日、いつの間にか眠りについていたのに、いつもの時間に目が覚めてしまった。
それなら・・・と、弓道場に来てみたけど・・・。
「あ、朝練やって・・・。」
弓道場の中を覗くと、例の黒髪の子が椅子に座って相馬の後ろにで見学していたのが見えた。
胸の奥が一瞬痛んだ気がして、なんとなく、中に入る気にはななかった・・・。
そのまま翼は、弓道場から少し離れた場所移動した。
この場所は、相馬の弓を邪魔せずに写真を撮れるスポット。
今日はカメラを持っていないから、写真は撮らないけど・・・
風に乗って相馬の射る矢の音が聞こえる。
「・・・調子いいみたいだな・・・。」
規則正しく空気を切る音が響く。
目を閉じれば、そこに相馬の姿が浮かんだ。的に矢の当たる音が心地いい。
睡眠不足のせいか、規則正しい音が翼を眠りに誘った・・・。
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