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3㎝差

ふぁぁ・・・。 風も有って気持ちが良いな。 昨日、遅かったしなぁ・・・。あ、相馬の声が聞こえる。やっぱり、イケボだ。 顔に何かが触れてる? ふふ。くすぐったい。 「・・・!!」 心地の良い浮遊感を感じた気がする。 「つーーーーばーさーーー君!!」 目の前には、見覚えのある赤。  「? ハル??」 あ、アレ??ここ・・保健室??  さっきまで、弓道場裏に居たはずなのに・・・ 目覚めたのは保健室のベットの上だった。 「おはよ~。 さすがに、あんな所で寝てるのはどうかと思うよ~??」 「え!? あ!! そうだ、オレ!!相馬の弓の音聞いてて・・・。」 「気を付けなよ~。これからの時期、虫にも刺されちゃうよ?」 そう言って、頭を撫でられた。 「そろそろ、授業始まるから・・・起きれる?」 「ああ。サンキュ。」 保険医にも挨拶をして、教室まで朝比奈と戻った。 隣に並んだ朝比奈に少し違和感を覚えた。 「あれ? ハルが保健室まで運んでくれたのか?」 「? なんで?」 「え・・・いや、オレよりそのハルの方が・・・運べるのかなぁ・・・って・・・・」 「なにそれ? 僕が翼君より小さいから無理って?」 「え!? いや・・・そんな事は・・・」 ちょっと思った・・・けど・・・ 朝日奈の纏ってる空気が一瞬ピリ付いた。 「わ、悪い!! そんなつもりじゃ・・・」 ぷっ!!  思わず吹き出したハルにびっくりしたが、つられて翼も笑顔になった。 「まぁ、次からはあんな所で寝ない事だよ!」 「ああ、気を付けるよ。」 廊下で、ハルと別れお互いの教室へ入ると、すでに相馬が座っていた。 いつもの様に、相馬の席に近寄った。 「相馬。久しぶり。」 「ああ。」 「「・・・・・・・・・・」」 あ、アレ??? 会話が・・・。相馬が休む前って、あれ・・・。 「はぁ・・・。翼、そろそろ、先生来るぞ。」 「え? あ、うん・・・。」 促されるようにして、翼は自分の席に着いた。 さっき、相馬、溜息付いた?? 担任が出席を取る中、翼は久々に学校に登校した相馬を眺めていた。 出席確認が終わったあと、期末テストの返却が行われた。 どうやら、相馬は欠席中でも期末テストだけは受けに時間外に来ていたらしく、今回もクラス1位は相馬だった。 次々とクラスメイトが答案を返却され、翼の番になった。 答案を返却する担任の顔が一瞬険しくなった。 「・・・佐々木、後で生物の黒井先生の所へ行く様に。」 「・・・ハイ。」 答案を返却された時に、担任にそう告げられ。 受け取った答案の点数に、目を背けた。その先で、相馬と思いがけず目が合った。 お互い一瞬びっくりした顔になったが、翼は気まずさから先に目をそらしてしまった。 目を逸らされた相馬が、一瞬傷ついた様な表情を見せたのに翼は気が付く事は無かった。 ・・・28点って・・・。 解答欄がずれていた割には、選択問題が多かったおかげで思ったよりは点が取れていたが・・・。 やっぱり、生物はクラス最下位。それも、30点以上も悪い。 ただ、あの二人が言ってた様に全体の成績はそこまで悪くは無かった。 前回よりクラス順位は落ちたが、それでも上位にはまだまだ居られる位だった。 そんなテスト結果に気を取られていて、自分があの先生に呼び出されていた事に気が付いたのは少ししてからだった。

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