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明日から夏休み(2)
「ただいま!!」
ガチャン!!
「おかえり~! おにぃ、ご飯の準備出来てるよ~!!」
バン!!!!!!
「・・・お、おにぃ??」
玄関のドア、部屋のドア・・・すべてのドアを力任せにしめて
そのまま部屋に籠ってしまった翼の様子に、咲紀は戸惑いつつ
翼の部屋の扉をノックした。
「・・・おにぃ?」
返事が無かったが、咲紀はドアを開け中に入った
カバンが無造作に放られ
翼はベットの上でひたすらボスボスと怒りをぶつけていた
「オレは、悪くない!!」
何度か、枕を殴って枕に染みが出来てる事に気が付いた
それが、感情が高ぶった自分の涙だと気が付いたのは、染みの大きさがピンポン玉サイズになった頃だった。
なんで、涙・・・。
・・・オレ、悲しかったのか?? 相馬に、尻軽っぽく思われたから?
なんで・・・?
ぼふっつ
さっきまで、部屋で暴れている気配だったのが静かになったので心配になり
咲紀はこっそりと翼の部屋を覗いた。
珍しく乱暴に放られたカバン
制服のままベットに横になってる翼を見て、慌ててベットの傍まで近寄った
規則正しい寝息が聞こえて咲紀はホッとした。
「・・・おにぃ・・・。風邪ひくよ。」
そう言いながら、掛布団を掛けようとして翼の顔に涙の痕が付いてるのを見つけた
「・・・おにぃ。」
そっと部屋を出た咲紀は、メールを一通送信したのだった。
「うーーー、目がパンパンだ。」
夕方、空腹で目が覚めた翼を見た咲紀に、洗面所へ行く様うながされ
洗面台に映った自分の顔にびっくりしたのだった。
けど、散々怒りをぶつけ、泣いて寝たら頭も気持ちをすっきりしていた。
目は腫れぼったいけど。
顔を洗って、リビングへ向かうと咲紀が夕食の用意をしてくれていた。
「おにぃ、食べれそう?」
「うん。腹ペコです。」
昼食に用意してくれていたのと、夕食用に作ってくれたおかずとでちょっと豪華な食卓だった。
「もう、大丈夫?」
正面に座った咲紀が聞いてきた。
「大丈夫。」
「そっか! じゃ、食べよう!!!」
夕食を食べながら、咲紀を夏休みの予定を確認しあった。
黄瀬の試合の日程や、相馬の試合の日程、それから両親の元へ行く日程・・・・
けど、今日の事は一切咲紀は聞いてこなかった。
ホント、出来た妹だと思う・・・。
聞かれた所で、自分でも良く分かっていないのだから・・・。
なんで、あんなにイラついたのか。なにがそんなに悲しかったのか。
相馬が一体何にイラついてたのかもわからないし・・・。
その日の夜、相馬から
「ごめん、あんな事言うつもりは無かった。」
とだけメールが着ていたが
それに返信できないまま夏休みは過ぎていった。
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