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相馬side
体育祭で、莉緒の姿を見かけた時いつか向き合わないといけない日が来ると思っていた。
だが、思っていた時期より早かった事に気持ちは焦った
やっと、翼自身が自分に対して意識し始めて来たというのに・・・このタイミングで莉緒に時間を取られる事に苛立ちも覚えた。
ただ、莉緒の事は自分の未熟さが招いた所ある事は重々承知。
今回で、ケリをつけるつもりでいた。
その事で条件に祖父にもいくつかの事を約束させた。
祖父に対してそう言った交換条件を本来なら出すものは居ないが、相馬はその祖父が認めた次期後継者候補という事なのだ。
まぁ、今回の件に関して、相馬が言わなくても青桐家の名の元、周りが動いていた事だろう。
相馬が、今回駆り出されたのはあの事件が絡んでいたからだった。あの事件の首謀者とあの男がまた、八月朔日家の近くで目撃される様になった事と時同じくして、相馬の弓の師でもある男が倒れたのだ。
其処に、莉緒の継母の妊娠の知らせ・・・
色々とタイミングが重なり過ぎている
まるで、何かを狙っているかの様に・・・。
それとも、本当にタイミングが重なっただけなのか・・・。
ふぅ・・・
重い溜息を一つ吐き出し
ワゴンに載せてあった紅茶に口を付けた。
そして、幼馴染へとメールを打ったのだった。
そのメールの返信が来たのを確認し、相馬は八月朔日家と出向いた。
それからしばらくは、師の容態が回復するまでリオと行動を共にしていたのだった。
師の常用していた薬がすり替えられ、微量の毒物が検出されたのだ。
それも、あの時と同じものが・・・
莉緒の継母が妊娠中、体調が悪くなった時に使われていた薬物と同じ成分。
あの時、糸を引いていたのは莉緒の伯父に当たる男だった。
そして、あの事件を起こした須藤という男。
その二人が、八月朔日家の周囲にまた姿を見せた?
その情報に、相馬は少し疑問があったが真相がまだわからない今、警戒に越したことは無かった。その為、自分の周囲の人間。特に、親しい人間は悟られたくは無かった。
そんな中、駅で翼と遭遇してしまった。
それも、リオと一緒に居る所を見られた。
翼との約束も守らないまま、八月朔日に来てしまった事
目が合ったのに逸らしてしまった事・・・
それら全てを言い訳したい位、相馬の中で翼の存在は特別になっていた。
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