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結果は・・・

試合は、前半1-0できらめき学園の優勢で後半戦に持ち越した。 けど、後半に入ってすぐに一点相手チームに入れられてしまった。 そのまま、同点・・・と思った矢先、リョウが相手チームの選手に掴まれ転倒した。 「 !! リョウ!!!!」 ベンチで見ていた、朝日奈が思わず立ち上がる。 ファインダー越しに、翼もしっかりと見ていた。 なり響くホイッスルと共に、イエローカードが出された。相手選手のファウルによる、フリーキックが与えられたが・・・。 リョウの様子が少しおかしい気がした。倒れてすぐに起き上がってはいたが、何かがおかしい・・・。 その時はそれ位しか、翼には解らなかった。ベンチで見守るハルの手はずっと組まれたままだった。 結局、フリーキックのチャンスで得点を稼ぐ事が出来ず。延長戦を行うもどちらも点が入らず。 ついにはPK戦になってしまった。 お互いのチームが、5本ずつ蹴ってゴールした数の多い方が勝ちになるのだけど・・・。 コイントスの結果、リョウのチームが後攻。 相手チームは、2失点3得点。 きらめき学園も、今 3得点と1失点・・・・ キッカーにリョウの番が回ってきていた ハルの両手は祈る様に組まれていた、その指先は力が入り過ぎて白くなっていた 翼も、息をするのも忘れるくらい、ファインダーに映るリョウを見ていた。 ファインダー越しに見るリョウは、普段見せる事の無い真剣な眼差しでただ一点だけを見つめていた。このシュートは決まる 漠然と思った瞬間に既にシャッターを切っていた。 気が付いた時は、リョウの蹴ったボールはゴールネットを揺らしていた。 それと同時に、スタジアムが歓声に沸いた!! コートの中でリョウはチームメイトに揉みくちゃにされていた。 「!!!! ・・・・よかったぁ・・・。」 組んでいたハルの手は顔を覆った。 「ハル! リョウ、決めたな!! って・・・ハル、泣いてるのか??!」 「・・ちょ! 翼君!!?」 涙目のハルを思わず激写。 「ハルってば、意外と感動屋なんだ・・・?」 「・・・うっさい。リョウには黙っててよ!」 「了解~。」 画像データーを確認しながら、カメラを片付け始める。 選手達も互いの健闘を称え挨拶を終え、控室へ戻って行っていた。 カメラを片付け、翼と朝比奈も控室へと顔を出した。 「お疲れ~リョウ!! すげーカッコよかったよ!!!」 「だろ!! あ、翼!!この、差し入れサンキュ。」 リョウの片手には、翼の差し入れしたゼリーを持っていた。 リョウの言葉をきっかけに他のチームメイトからも、次々と御礼を言われた。 少し恥ずかしかったが喜んでもらえた様で翼は一安心した。 「けどホント、いつもと顔が違うし!! 流石、1年でレギュラーは伊達じゃないね!!」 「なんだそれ!! 褒めてくれてんのか~??」 「ほめてるんだよ~。」 お互いの拳を合わせて笑いあってた所にハルも、リョウに笑顔と共に声を掛けた。 「ホント、今日のリョウはかっこよかったよ。」 翼と同じ様にリョウに自分の拳を合わせる。 「お、おう。ハルに言われるとなんか・・・うん。サンキュ」 にかっとリョウが笑うと八重歯が見える。 「なんだよ! オレじゃ不満なのかぁ~笑」 肩をぐりぐり 頭をぐりぐり  子犬同士がじゃれてるみたいで、その場の空気が一瞬和んだ事は本人達は気が付いていなかった。 「あはは、そんな事無いって!!」 三人でしばらく話していた所に、翼の携帯のアラームが鳴った。 「あ、オレ、妹と待ち合わせてるから、もう行かないと・・・!」 そう言って、朝日奈の方を見た。 「僕は、リョウ達と帰るから大丈夫だよ。」 ハルがそう言って微笑んだから、何も翼は気が付かなった。 「そっか! そしたらオレ、先行くわ。 今日は、お疲れ様!」 残ってたチームメイトと監督にも挨拶をして、翼は先にスタジアムを出た。 「・・・黄瀬、もう大丈夫か?」 「・・・ハイ。」 監督が黄瀬をベンチから立たせようと肩を持ち上げる。 「・・・リョウ・・・お前やっぱり・・・。」 片側の肩を朝比奈が支える。 「・・・、今日は良く頑張った。 黄瀬、後は任せろ。」 「・・・ハイ。」 無意識に支えていた腕に、力が入ったていたせいで黄瀬の肩を抱くような形になってしまったが、誰も何も言わなかった・・・

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