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犬猿なのかな?
『紫苑様とやっっぱ、二人の対照的なビジュアルは本当、最高すぎるんだけど!!!』
『僕も、この二人は絶対ニコイチじゃなきゃ嫌かも!!!』
『誠もそう思うでしょ!! 攻略対象だけど、普通に攻略するよりもニコイチの方がキュンキュンするの!!公式の罠だわ!!』
『本当、ねぇちゃんはあの二人好きだよね〜。』
ねぇちゃん・・・
「・・・目が覚めた? 寝言言ってたよ。」
気がつくと、さっきまで色々な検査をされていた病室のベットの上だった。
違うといえば、そこにいたのが相馬では無くウォルフだった事。
「・・・ウォルフ?? え・・・寝言」
「ねぇちゃん・・・って、今のは誠かな?」
病室の椅子に腰をかける
「さーやに連絡もらってね。たまたまここの近くにいたから、僕がきたんだけど・・・」
「!! そ、相馬は?」
「大丈夫、彼はここにはいないよ。」
「そっか・・・。なぁ、ウォルフ、オレに力を貸してくれないか?」
「・・・僕でいいのかな?」
「・・・オレじゃ、その人達は救えないから・・・だから・・・」
「なんか、面白い話してるね? 翼、それは俺じゃ駄目なのかな?」
「相馬・・・いつから・・・」
「翼、気分はどう? 検査の結果は特に異常は無かったみたいだけど・・・。」
ベットのそばにきて、翼の顔を撫でる
ち、近い!!
「そ、相馬・・心配かけてごめん。」
「で、翼・・・彼にお願いして俺には出来ないのかな?」
頬を撫でるその手に力が入ってるのが伝わってくる
「相馬・・・。」
『はっ、余裕の無いガキは嫌われるぞ。』
『・・・よく吠える犬が、躾がなってないんじゃ無いか?』
「??? 相馬? ウォルフと何、話してるんだ?? 」
相馬の手を握り返すと、相馬の視線が翼に向けられる
「翼・・・それで、お願いって何かな?」
あ、これ詰んだ。
ウォルフの方を見ると、面白そうな顔してるし・・・
・・・ここは、前世やゲームの話はしないで話すしかないか・・・。
「伊集院先輩の婚約を無かったことにしたい?!」
「・・・伊集院?」
ああ、二人の顔が、ポカンとしてる・・・。そりゃ、そうだよね。ウォルフにしたら知らない人の婚約破棄の手伝い頼まれてるんだもんな・・・。
けど、おねぇなら絶対、あんなカエルみたいなのと伊集院先輩をくっ付けない!!!
それに、オレもあんな人の為に、先輩に不幸になってもらいたくない。
「・・・やっぱ・・・無理かな・・・。」
しょんぼりした翼の姿に二人が黙ってしまった。
先に、口を開いたのは相馬だった
「・・・出来なくもないけど、それは本人が望む事なんじゃないのかな?」
「・・・そうだけど・・・。でも、あの人・・・オレ嫌だ・・・。」
さっき触られた感触を意図せず思い出してしまった。
触られた場所を無意識にさすってしまったのを、相馬は見逃さなかった
「・・・そういえば、さっき翼の事、あいつベタベタ触っていたよね・・・。他にも触られたのか?」
「え・・・あ・・・。触られたと言うか・・・品定めされたと言うか・・・」
空気が一瞬 ピリついた
『・・・どう言う事だ? 翼は普通に倒れたんじゃないのか?』
『あのガマガエル・・・。』
「いや・・・だから、二人とも何話して・・・」
『確か、伊集院カミュだったか? 』
『・・・ああ、昨年の損失を今回の婚約で補填する予定だったはずだ。』
『ふーん。補填ねぇ・・・』
「ちょっと・・・え・・・二人とも???」
怖っ。イケメンの悪巧み顔って怖!!
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