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伊集院カミュ(2)(咲紀視点)
伊集院家は創立以来ずっと人に愛される製薬を社訓に製薬界のトップを走っていたが、外資系の参入、青桐家所有の財団から新薬が続々と出てくる中、シェア3位にまで転落・・・
それでも、信頼のある製薬会社として地域に愛される企業だった。
それが、カミュの祖父の代より外資系企業との提携、新薬開発にも力を入れ始め、父は外資系の製薬会社の令嬢と世間で言う政略結婚をした。
それにより、国内シェアNO・2まで巻き返した矢先・・・・
新薬の副作用による医療事故。薬剤訴訟・・・
それによって、多大な賠償問題。 それらによって、今、事業を縮小しつつ立て直しを図っているところに、副作用を起こした新薬の権利を全て買い取ると申し出た企業が、この救世主様。
それによって、副作用の無い薬剤が開発されれば、救われる命は計り知れない。
もちろん、この申し出は願ってもいないものだったが・・・
相手側の出した条件が、伊集院カミュとの婚姻。
これが、ミューミュ事伊集院カミュ先輩のシナリオの入り・・・。
けど、先輩には心に決めた人が居た
あとは、定番
二人の仲は引き裂かれるんだけど・・・・
その引き裂かれた相手ってのが
私の一推し!! 黒井紫苑様!!
「あーーーーーーん!! 紫苑様とミューミュのラブラブチュッチュなシーンが観れるかもしれないの!!??!! これは、絶対 この婚約破棄させないとでしょ!!!」
「・・・って、いってもねぇ。さーや、それって僕にメリットあるの?」
「・・・メリットねぇ。」
それまで、静かに咲紀の話を聞いてたウォルフが、咲紀に質問する。
「それって僕にメリットは?」
ニッコリ口元は笑ってるのに、目は咲紀をシッカリと見つめている。
・・・、メリットねぇ。あんまり、シナリオの結末を教えるのは良くない気がするんだよねぇ・・・。八月朔日莉緒の時は、おにぃが犯罪に巻き込まれるのを避けたくて、攻略対象外のウォルフを呼んだんだけど、なんかシナリオにイレギュラーが起きてるし・・・。
咲紀もウォルフの目を逸らす事無く見つめる。
「・・・メリットなんかなくても、ウォルフはおにぃの為に動くんでしょ?」
そう、ウォルフはなんだかんだで翼に甘い。
昔から、翼に甘かったイメージだった。
しばらくお互い見つめ合ったまま無言になる
そんな時、いつも先に口火を切るのはウォルフだった
「・・・そうだね。けど、今回は僕よりも青桐相馬が張り切るんじゃない?」
どこか諦めた様な顔で、ウォルフは言ったが、咲紀が返した内容にウォルフは余計に混乱した
「んー、・・・どうかなぁ・・・???」
「なんで、そういうシナリオなんじゃ無いの?」
「あの二人は、サブストーリーだから別におにぃのシナリオには関係無いから・・・。」
「・・・関係無い?」
「そう!! だって、あの婚約者とミューミュが結婚しようが、おにぃは相馬さんとゴールイン出来るから♪ 」
嬉しそうに未来を語る咲紀に、言い様の無い怒りをウォルフは感じたが
次に見せた咲紀の顔にゾクリと心が震えた
「でもね、私おにぃに危害加えてそうな奴は排除したい。」
「ふっふ・・・ さーや、君が望むなら今度は僕は何をしたらい?」
両手をひろげ、今度はちゃんと笑顔でウォルフは咲紀を迎えた
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