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伊集院カミュ(4)

店を出ると店の前を行き交う人達がチラチラと見ながら通っているのが目に入った。 ただ、立ってるだけだけなんだけどなぁ・・・。ほんと・・・カッコいい。 って、見惚れてる場合じゃ無いか・・・。 「そーま!お待たせ・・・・え」 ドンっ 後ろから人がぶつかってきて思わずよろけた所を相馬に支えられる。 「大丈夫か?」 「え・・・あ、うん。」 さっきの人・・・ 走って行った人を追いかける様に、黒服をきた男達が走って行った。 「・・・相馬。さっきのってもしかしたら、先輩だった?」 「・・・追ってみるか?」 ・・・・・・・・ はぁ、はぁ・・・ 本当、あいつらしつこい!! 物影に隠れながら、呼吸を整える さっき、青桐達が居た気がするけど・・・、今は何とかしてあそこに行かないと・・・。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 二手に分かれて追う事に渋る相馬を何とか説得して、翼は見覚えのある教会前まで来ていた。 教会のドアを開けて中に入ると、1番前に座っていた男が立ち上がり振り返った。その姿に思わず声を失った。 学園見かける姿とは異なり、髪はセットされいつもは野暮ったいメガネに隠されているアメジストの様な瞳も隠される事なく出されていた。 その姿に翼が、なんとか絞り出した言葉は 「!!!!! か・・・・・・・・・・・・っこいい!!!!!!」 は!!しまった・・・ つい、感想が・・・って、開口一番になんでそんな事言っちゃうかな・・・ 恐る恐る、男の顔色を伺うと、呆然していた 「・・・し、紫苑様?」 はぁぁぁ 盛大なため息をつかれる 「・・・いい、何もお前は言うな。」 「・・・はい。」 「お前、オレが誰だかわっかてるんだな・・・」 「はい。紫苑様は今日はいつも格好じゃないんですね!カッコいいです!」 「・・・お世辞でも喜ぶとこかな?」 「お世辞じゃありません!! って、紫苑様、まだ一人ですか?」 「ああ、オレ一人だが・・・佐々木、お前・・・」 まだ・・・そう今、コイツは言ったか・・? 隣に座った生徒の顔を伺い見る 夏休み前に少し懐いてきた生徒。確か両親が・・・ああ、この国だったのか。 「・・・オレ、先生の授業受けるの楽しみなんです。」 は? コイツは何を急に・・・。 真っ直ぐ前を見て淡々と話す翼に、内心戸惑い始める・・・ まさか、何か知っているのか? 今日、ここでオレが何をしようとしているか・・・。 「オレがきっと何を言ったところで、紫苑様達のシナリオが変わるとは思えないけど・・・・。それでも、何かが変わって欲しいと思って・・・先輩を追いかけてきました。」 「・・・お前。」 「オレは、伊集院先輩の婚約者があんな男なのは嫌です。」 翼が真剣な顔で、紫苑の方を見る その瞳は、嘘や冗談で言っている様には見えなかった 「・・・金も権力もないオレには、できる事なんて何もないよ。」 「けど、夢諦める程・・・大事なんですよね?」 「!! お前・・・どこまで・・・」 「オレ、先生達には諦めないで欲しいんです。」 「・・・何を知った様な!!!」 思わず、声を荒げてしまう。 お前に何がわかるんだ! 金も権力者もないこのオレの気持ちなんて・・・ あいつが幸せになれるなら、オレはそれでいい。 あいつの邪魔になるなら、オレはいなくなっても構わない。 だから、最後の場所にこの思い出の教会を選んだのに・・・。 沈黙してしまった二人の間に、無機質な着信音が響いた PPPP 「・・・はい。・・・うん。わかった・・・。」 翼は、通話中も紫苑から視線を逸らす事はなかった その態度に、何もかもが見透かされている様に紫苑は感じていた

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