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伊集院カミュ(ラスト)
バン!!
「逃しただと? 手負い一人満足に捕まえられないのか?」
「も、申し訳ありません。」
研究室の一室で、市内で伊集院を追いかけていた黒服達がガマガエルに膝を付き報告をしていた
「御託はいい!! なんとしてでも、あいつを探すんだ!!」
クソ!!あのガキ!!
「は、はい!!」
「そうだ、あの時のガキを餌にでもしたら良い。 後輩だとか言っていたしな・・・」
「し、しかし。。。」
ヒュン パッシッ
黒服の顔に、赤く細い線が入る
「口答えするのか?」
「・・・か、かしこまりました・・・。」
「フン! さっさと言う通りにしろ!! ああ、あの後輩もコレクションに入れるのも良いかもしれないな・・・。」
「・・・後輩って、翼の事かな?」
いつの間にか入ってきていた男の姿に血の気がひいていく
男の従者に、怪我をさせられた黒服が連れて行かれる
「あ、あなたは・・・な、なんでここに・・・」
「なんで? 愚問だな!」
その言葉をきっかけに、ガマガエルは拘束された
その頃 〜 相馬達と言うと・・・
「諦めるか・・・。」
そう呟くと、何かを決意した顔で椅子に掛けていた相馬を、伊集院が見た。
ゆっくりと、ベットから降りて相馬の前に立った
「・・・青桐、僕に力を貸してくれないだろうか・・・」
その言葉に、思わず笑みが浮かんだ
ああ、これできっと上手くいく。
はぁぁ・・・。疲れた・・・。相馬もウォルフも本当凄いわ・・・。
さっきから入れ替わり立ち代わりで、色々な人達が二人に挨拶してる。
オレはと言うと・・・例の如く、中庭に避難して夕涼み中
「佐々木くん。こんな所にいたんだね。」
「あ、先輩。こっちに来て良いんですか?」
グラス片手に、翼の隣に座った。
「ああ、もう僕には関係の無い人達だからね・・・。」
「・・・先輩。」
あの後、驚く程の早さであの婚約者は逮捕され
同時に、伊集院先輩の婚約は白紙戻った。
「佐々木くん、君が青桐達に頼んでくれたんでしょ?」
「・・・オレは何もしてませんよ・・・。」
本当に、オレは何もして無い。ただ、自分の我がままをあの二人に言ってしまっただけ。
「それでも・・・」彼が動いたのには変わりないんだけど・・・
そんな顔されたら、言えないな。
「なんか、僕より君の方が傷ついてるみたいだね・・・」
「え? そ、そんな・・・。」
「ほら! また、なんか暗いんですけど〜? 言っておくけど、僕の方が君より色々傷ついてるんだからね!! せめて、笑顔くらい見せてくれてもいいんじゃないの?」
月明かりに照らされたプラチナブロンドがキラキラと輝く
「・・・ファ・・・」
「ファ?」
翼が漏らした単語を繰り返しつつ、小首を傾げる姿は・・・
そう!
ファンタスティック!!!!!!!!うあぁあ・・・月明かりに照らされてまるで、月の女神・・・
って・・・あ、危ない。 脳内暴走するところだった。
「・・・佐々木くん?だ、大丈夫かい?」
「だ、大丈夫です・・・。あ、流れ星!」
「なら良かった。 ああ、流星群の残りかな・・・。」
「流星群・・・。」
そうだった、先輩は・・・・
あの日・・・・
教会で先生にあった時
「先生・・・先輩はここには来れません。」
「・・・来れない? 来れないって、あいつに何かあったのか!?!!」
「・・・先生・・・先生は、どうせ諦めるんですよね? それなら、会わない方が二人の為なんじゃないんですか?」
「・・・佐々木お前。」
「生きてれば、オレはそれだけで幸せだと思います。」
「!!! オイ!!佐々木、生きてればって・・・カミュは、無事なのか!!!」
思わず紫苑につかみ掛かられてしまう
「ちょ・・・先生・・・か、顔が近い!! ってか・・・苦し・・。」
掴んできた手を思わずタップする
「あ、ああ、悪い。」
ケホっ
「そんな掴みかかるくらいなら、諦めなきゃ良いのに・・・。紫苑様、オレね・・・・。未来がわかるんです。だから、二人は絶対大丈夫。 だから諦めないでください。」
「お前・・・。」
♪♪♪
「あ、迎えがきたみたいなんで!!」
グシャ
「あ、オイ!! 佐々木!」
紫苑の手に、メモを握らせ教会を後にした
あの日、教会で落ち合う約束をしていた二人は駆け落ちをするつもりだった。
けれど、その後すぐに見つかり、先生は・・・。伊集院先輩も、精神を病んじゃう・・・そんな結末。けれど、あの婚約者ももういない。
横目で、伊集院先輩を伺い見る
「・・・先輩、これからどうするんですか?」
「・・・・そうだなぁ・・・。」
夜空を見上げてる顔は憂を帯びていた
「・・・先輩、オレ・・・紫苑様の顔と声好きなんです。」
「・・・佐々木・・・くん?」
「けど、紫苑様の隣にはニコイチで絶対に外せない人がいるんです・・・。」
急に、訳のわからない事を翼が言い出したせいで伊集院の視線が翼の方に向いた。
「でも、その人が紫苑様を諦めるんだったら、オレが紫苑様貰っても良いのかな・・・って」
「・・・何が言いたいの?」
「先輩、諦めるならオレが貰っても良いですか?」
「・・・・ふふ。君、面白いこと言うね。」
顔色がどんどん変わっていく
「けど、オレなら夢を諦めさせたりしないし、自分の夢も諦めない・・・」
そんな見えすいた安い挑発
けれど、今の伊集院には聞き逃せられない事だった
思わず立ち上がって翼に怒鳴るように言った
「!! な、僕だって諦めないし!!! それに、紫苑の夢は僕の夢でもあるんだから・・・」
その時、大きな腕がカミュを抱きしめた
「カミュ!!」
「・・・え・・」
「済まなかった。・・・オレも、お前の夢がオレの夢でもあるんだ。」
「! 紫苑!! 」
おおおおおおお!!!!!!
ここ、これは!!!!!!!!!!!!!! 星降る夜のシンメトリースチル絵の再現!!!!!!!
会場は、空に突然流星群が現れた事で誰も、二人の邪魔をする様なのはいなかった
って、オレお邪魔だな。
翼は静かにその場を後にした。
「・・・もう、話は終わったのか?」
「相馬・・・。そっちも、もう挨拶はいいのか?」
「ああ、後はあいつに任せた。」
奥の方で、未だに色々な人に囲まれているウォルフがいた。
「星、綺麗だな。」
「え・・・ああ。」
って・・・
えええええ・・・・。ここにも神スチルですか!??!
星空と相馬とか・・・え? なにこれ、オレ死んじゃう。
供給過多だから〜!!!!!!!!!!!!!
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