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いわゆる・・・
「それじゃ、おにぃ! 私は、先に寮に帰るね!!」
「本当に送らなくていいのか?」
「大丈夫だって! むしろ、おにぃが気をつけてよ!!」
「ああ、わかった・・・。無理はしないって。」
「絶対だよ!!」
空港から直結の改札で咲紀を見送ってると、背後からかけられる
「咲紀ちゃん、僕が付いているから安心してくれていいよ。」
翼の肩に手を置きながら、咲紀に答えた。
一瞬驚いた顔をしたが、すぐに笑顔で咲紀も答えた
「・・・相馬さん・・・兄をよろしくお願いします。」
「着いたら、連絡しろよ!」
「うん! おにぃもね」
咲紀を見送り、相馬の車で連れてこられたのは・・・
「・・・ホテル????」
「いや、普通のマンションだよ。ここの最上階だから」
「最上階・・・・」
遥か上空を見上げる
ってか、ここの最上階って・・・。雲しか見えないんだけど・・・。
「はい、これ。」
カードタイプの鍵を相馬に渡される。
「え・・・、これ?」
「エレベーターのここにタッチして。どのエレベーターでも、直通になるから。」
相馬が実際にやって見せてくれる。
20・・・30・・・40・・・45階
エレベーターから降りると、恭二が出迎えてくれた。
「相馬様、佐々木様おかえりなさいませ。」
「あ・・・よろしくお願いします。」
恭二が出迎えた事に少し驚いたが、こないだの様な恐怖感はもう翼には無かった。
「翼、こっち来て。」
「お荷物お持ちしますので、相馬様の方へ行ってあげてください。」
「えぁ、はい。ありがとうございます!」
リビングダイニング、キッチン、バスルーム、トイレ・・・
「あと、ここが翼が使う部屋。あんまり広く無いんだけど・・・。」
「え・・・いや、十分だよ!! ってか、自分の部屋より広いかも?!」
「そう? 一応、翼の好きそうな感じにしたんだけど・・・。」
「え?」
そう言われて、部屋の中を見渡すと、確かに自分の好みの感じのインテリアや色味かも知れない・・・けど、オレ相馬にそんな話した事あったかなぁ???
ってか、普通にセンスいいよなぁ・・・。
「・・・気に入らなかったら、違うの用意するけど・・・」
「え!! あ、センスいいなって思って・・・。」
「そう? なら良かった。」
すでに、荷物は部屋に入れられていた。
「そういえば、相馬のご家族は?」
「ああ、両親達は今の時期は避暑地に行ってるから・・・」
「そっか・・・お世話になるから、挨拶したかったんだけどなぁ・・・。」
少し、ホッとした様な・・・ちょっと残念な様な・・・。
コンコン
「相馬様、佐々木様。お食事の用意が出来ました。」
「田中さん! 今日から、しばらくよろしくお願いします。」
「はい、こちらこそ。どうぞよろしくお願いします。」
さっき案内されたダイニングに昼食が用意されていた。
「凄い!! え、ここで作ったんですか??」
本格的なイタリアンのコースがテーブルにセッティングされていた。
「いいえ、こちらのは近隣のホテルからのケータリングとなります。佐々木様がご希望でしたら、こちらのキッチンにシェフをお呼びする事もできますが・・・」
「えぇ!!!?? そんな・・・、あ!!それなら、田中さん、あれの作り方教えてほしいです!!」
「あれ・・・とは、お弁当のでしょうか?」
「はい! 自分でも作ってみたいんで。」
翼にそう言われ、田中は少し困った様に相馬の方を見た。
「いいんじゃないか? 翼の食べたいものがあれば、ケータリングでもシェフでも呼んでいいし、田中と作ってもいいと思うよ。」
「やった!! そしたらさ、相馬〜! オレが食事作っても良いか?」
「ああ、構わないよ。そしたら、買い物とか一緒に行こうか。」
「良いね! 行こう!! それなら、ハルとリョウも呼んで・・・って、相馬の家に迷惑か。」
「いや、あの二人にも連絡しようか。」
「良いのか? 親御さんいないのに・・・」
グラスに水を注ぐ手を田中が一瞬止めた。
「ああ、田中がいるから大丈夫だよ。だろ?」
ニッコリと微笑み田中に相馬が声をかけると、動きを止めていた田中もグラスに水を注ぎ相馬に渡した。
「・・・はい。朝比奈様と黄瀬様なら旦那様も問題無いかと思いますので・・・。」
「やった!! あ、そうだ!! 相馬にお土産あるからあとで渡すよ!」
「本当に? それは嬉しいな。」
「あ〜!そんな期待はしないでくれよ? オレの小遣いで買ったんだからさ〜。」
「あはは、翼からならなんだって嬉しいけど?」
「そ、それなら良いけど・・・。」
ってか、なんだ???この、激甘空間は・・・
いや、ここに親御さんがいない時点でもうすでに、キャパオーバーなんですけど??
本当、田中さんと恭二さんが居なかったら、心臓が破裂しちゃってたよ?
案内された部屋も相馬の隣だし・・・。先に、田中さん達の部屋教えてもらって安心したけどさ。
あとで、ハルとリョウにも来てもらおう。
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