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久々の出番です。

「な、なんか・・・休みの間、凄い事になってたんだな・・・。」 「ん〜、まぁ・・・でも、結構すぐ解決したと思う。」 翼がスーパーのカゴに食材を入れていく。カートを黄瀬が押しながら、ついていく。 「そっか、解決したなら良かったな。」 「・・・まぁ・・・。」 「何・・・?どうかした?」 「いや・・・先輩の会社の事とかさ・・・。」 「・・・先輩も、そこは解ってるんじゃないか?」 ぽふぽふ 翼の頭を撫でた 「・・・りょうにぃ〜ちゃ〜ん。」 すりすり 撫でて来た手に、翼からも撫でられにいく。 ニヤッと笑いながら、黄瀬も悪ノリをする。 「お〜、翼くんは甘えん坊でちゅね〜。 あ、オレ、チーズ入れたい!」 「ウザ〜っw チーズね!あ、あとソーセージもいいよな!」 二人で食品売り場を回ってる頃、相馬と朝比奈は別の場所にいた 「ちょっと〜、そのあからさまな顔止めてくれない〜?」 「・・・生まれてこの方ずっと、この顔だが?」 「はいはい〜。あ、これじゃない? 翼くんの言ってたやつ!」 「ああ、これだな。 980円だと???」 「やっす! え・・・二台買っておく?」 「だな。」 爆安ソングの流れる店内で、お坊ちゃん二人の初めてのお使いは無事終わった。 「うわ!! 凄い!!まん丸!!!」 「次、オレもやってみて良い!?」 「あはは、リョウの具入れすぎ!!」 朝比奈、黄瀬は翼が器用に竹串で丸くしていくのをみて自分達もやり始めた。 やっぱ、みんなでワイワイするならタコパだよな〜。 色々な具を中に入れながら、ふと向けられた視線に気がついた。 「相馬どうかした?」 「いや・・・器用に、丸くするな・・と思って。」 「コツさえ掴んだら、誰でもできるって! ほら、相馬もやってみてよ」 使ってない竹串を渡す 「え・・・いや・・・オレは・・・」 一瞬、戸惑った相馬に黄瀬が安い挑発をして来た。 「何なに〜、相馬〜不器用だもんな〜」 「・・・そんな事はない。 翼貸して。」 「お! じゃ、勝負だ〜!」 「え? ちょっと、二人とも!そんなにたこ焼きばっか・・・」 ポン 「諦めて僕達は食べることに集中しよっか・・・」 朝比奈と翼は、出来あがったたこ焼きを持って、テーブルについた。 それと同時に、田中と恭二が飲み物を注いでくれる。 「あ、ありがとうございます。 田中さん達も良かったら食べてくださいね。」 「はい。ありがとうございます。」 「もちろん、恭二さんも食べてくださいね。」 「・・・ありがとうございます」 二人に声を掛けている翼の姿を面白そうに朝比奈は眺めていた。 「・・・ハル・・何?」 「別に〜。 なんか、翼くん吹っ切れた感じするなぁ・・・って思って。 もう、紫苑様はいいのかな?って思ってさ。」 「ちょ!! その呼び方、二人に聞かれたら恥ずかしいから!!」 しー!  思わず、キッチンの方でたこ焼きを作ってる二人をみてしまう。 「けど、先生の事、直接そう呼んじゃってるじゃん。」 「そう言われると、そうなんだけど・・・。」 「・・・伊集院先輩の事、聞いたよ。」 「・・・やっぱ、自分の恋人様付けするやつなんて嫌だよなぁ・・・」 「・・・・・・・・・・・・」 「いや、ほんと二人の姿は神々しいまでにお綺麗で・・・それはそれは本当に・・・」 「・・・翼くん!ストップ。 ここで、推し語りは・・・ね? 」 「あ・・・、またやっちゃうとこだった・・・。」 側にいた、田中と恭二には二人の会話はしっかり聞こえていたが、翼は考えるのをやめた。 「ほら、二人とも! どっちが上手に出来たか食べ比べてみてよ!」 黄瀬と相馬が大皿に山盛りのたこ焼きを持ってテーブルにやってきた。 「うわ! 凄いね〜。 リョウも相馬も、作りすぎじゃない?」 「うわ!本当だ!!」 「・・・で、二人でなに話してたんだ?」 翼の隣に座った相馬が、たこ焼きの山から翼に数個取り分けてくれる 朝比奈に黄瀬が、同じように取り分ける。 テーブルに、ソース・ポン酢・おろし・マヨネーズ・青のり・おかか・九条ネギ が用意されていた。 「あ! チーズだ!」 「こっちは、牛すじかな?」 「ブッブ〜。ハルのは蒟蒻でした〜。」 「ええ??!! そうなの?」 「オレのは普通に蛸だな。」 「ちょ、相馬の普通で面白くないんだけど!」 そう言って、翼が相馬に自分の皿から一つ食べさせる。 「はい! 相馬!!」 「え? つば・・・」モグっ 翼に口に入れられたたこ焼きを食べた瞬間、相馬がむせ始めた。 「そーいや、中にハズレで山葵とタバスコ、辛子の入ったやつが、8個入ってるんだけどさ・・・」 ゴフッツ・・・ 「そ、相馬!?!!!」 「・・・リョウ、一個は相馬が当たったみたいだね。」 「相馬、だ、大丈夫!??」 少し咽せながら、翼に手渡された水を無言で飲み干すと、田中がお代わりを注いだ。 「え・・・ってか、翼のお皿にあったやつって、相馬が用意したんじゃなかったか〜??」 「な!!!」 咽せていた相馬が焦る 「え〜!!相馬、ひで〜」 「うわ〜、相馬〜酷いやつ〜」 「ちょ!! ちが・・」 「プッ・・・相馬が慌てるとか。ロシアンルーレットだろ?解ってるって。」 「ホント、相馬必死すぎ〜」 「あの相馬も、やっぱこれは無理だった・・・・・グハッ!!」 「ちょ! 今度は、リョウかよ〜!!あと、残り6個 か・・・。」 「ってか、二人とも人数に対して外れない多くない???!!」 「あ、それ思った! 相馬とリョウに任せるんじゃなかったね・・・」 机に、俯いたままの二人を横目に翼と朝比奈は笑いながら、残りのたこ焼きを食べ続けた ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ さてさて・・・ 如何なモノでしょう?  せっかく、相馬様達が私達にもと折角頂いたのですが・・・。 先ほどの相馬様と黄瀬様のご様子からすると、結構なお味な物が混ざってるようなんですが・・・・。 「恭二さん? あなた、なんともないんですか?」 テーブルの上にあったたこ焼きは半分に減っていた。 「え? あ、はい・・・。ポン酢とおろしで食べるのも美味しいですよ。」 「・・・そうですか。」 一つ食べてみると・・・ ゲフッ・・・・・・・・・・・・・・・ 「きょ・・・恭二さん。全部よろしければどうぞ。」 「え? いいんですか? 」 「ええ、どうぞ。」 いやはや・・・若い人の味覚とは、恐ろしい物ですね。

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