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お年頃ですから(相馬 視点)
・・・、寝てるか・・・。
少し、残念に思いながらも相馬はベットに入った
夏休み前に莉緒の件が片付いたのは良かったな・・・。
恭一が翼にした事は許せないが・・・
見慣れない天井を見ながら、この数ヶ月の事を思い返していた。
翼とは、高等部からの付き合いなのに・・・、翼が他の人間を仲良くする事に心がざわめく。
自惚れでは無いと思う、自分を見つめる瞳の強さが他へ向けられるのも我慢できないと思った。
あの目が映すのは自分であって欲しい。
そう、強く思わせたのは恭一に翼が襲われそうになった時だった。
どこか、色恋事に照れていた翼に、あの男は莉緒を凌辱し、恭一に翼を襲わせた。
間に合ったから良かったが・・・。もし、あの時・・・・
最悪な状況を想像してしまう。
「・・・・やっぱ、この世から消して仕舞えばよかったか・・・・?」
寝返りを打ちながら
そう、思わず口に出してしまう。
「・・・ついでにあの幼なじみも消してしまいたいな・・・。」
その実相馬は、翼の幼馴染として、現れた人物に内心焦っていた。
翼の幼馴染み・・・ウォルフと呼ばれた男は、エゼルウルフ・アーサー・エッツォ。アーサー侯爵の孫で王位継承権を末端とはいえ持ち、国外の製薬のシェア上位に君臨している。いわば、青桐とはライバルでもある。そんな男が、翼の幼馴染み・・・。
それも、頬にキスを許す程、親しい仲・・・。
いくら、家族ぐるみの付き合いとは言え、自分の前で何度も・・・・面白くない。
莉緒の件、伊集院の件と立て続けにあいつとの関わりが深くなった事も面白くない。
何より、自分よりもあいつを翼が頼った事が、面白く無い。
翼に、誰よりも先に頼って貰いたい。
翼のあのエメラルドの瞳に映るのは、誰でも無い自分だけであって欲しい。
莉緒の事件のあと、本当は何かしらの理由をつけても翼を手元に置いておきたかった。
自分の目の届かない所で、翼が汚されるのは死んでも御免だった。
せめて・・・汚すのは自分でなければ・・・。
「相馬様、私から一つ。相馬様へ宿題でございます。」
「宿題・・・?」
「はい。佐々木様のご家族からこの度は、大事な息子さんをお預かりする事になり・・・。こちらの部屋を片付けた際に佐々木様のご使用になる部屋の中扉が壊れているようだったので、佐々木様の部屋から鍵を付け直させて貰いました。」
「・・・。」
「ですので、相馬様は佐々木様より了承を頂くか、招き入れて貰って下さいませ。」
「・・・」ッチ
元々、ここは兄の大学通学用に住んでいた所で、相馬の今寝ている部屋と翼のいる部屋は一つの部屋だったのを書斎と寝室に別けた名残で中扉に鍵が付いていたのだが・・・姉達が通学用に使った時に壊し、そのまま相馬へ引き継いだのだが・・・・
直されたか。
寝顔がいつでも見れると思ったのにな。残念だ。
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