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グルグル

「話は聞いてるよ。佐々木くんだね?」 「はい!宜しくお願いします!」 少しでも、黄瀬の足の為になればとテーピング技術や応急処置の仕方を教えて貰うため、昨日紹介してもらった場所へ翼は来ていた。 相馬に直接相談したら、きっと良いんだろうけど・・・ 大事になっても、説明出来ないしなぁ・・・。 まっ、相馬に使えるテーピング方法も折角だし、教えてもらっとこう〜。 「うん! バッチリだね! 簡単な固定とかなら大丈夫だと思うよ!!あとは、練習して素早くできる様になると良いかもね。」 「はい! ありがとうございました!!」 「けど、あくまで応急処置だから何か有ればすぐに病院にくる事。テーピングの練習もいつでも来てくれて良いからね。」 昼過ぎまでみっちりと指導して貰った甲斐があって何とかテーピングの仕方と応急処置の方法は習得できた。 「今日は、ご指導頂きありがとうございます。」 エントランスまで見送って貰い、挨拶をしてると見覚えのある白衣を着た人が通り過ぎた。 「あ、あれ・・・あの人・・・。」 「ん? ああ、うちの病院長だよ。あれでいて結構すごい人なんだよ」 「そうなんですか・・・。」 「まぁ、見た目はそうは見えないかもだけど・・・。」 確かに、見た目は冴えないおじさん。 けど、あの人昨日・・・あれ? なんで、朝比奈が・・・?  気がついたら、そのままタクシーで自宅へ戻っていた。 確か、ノートに・・・。 あ、あった!! あれ?オレ、こんな事、書いたっけ?? 記憶を思い出した頃に書いた、ゲームの内容を読み返したが、自分が書いた内容が今では思い出せなくなっていた。自分が書いたはずなのに・・・。 それに、ゲームで知っていた内容から少しずつタイミングやシナリオが違っている気がする・・・。 やっぱり、オレの所為なのか? ♪♪♪ !! びっくりして、画面を確認しないで通話ボタンを押してしまった。 「もしもし・・・翼? 今どこ?」 「・・あ・・・相馬? 今 自分の部屋の換気に来てるけど・・・」 「そう。 なら、そっちに迎えに行くよ。」 「え? あれ、用事は??」 「さっき、終わって帰るとこ。あと1時間位かかるけど・・・」 「そうなんだ・・・、あ! なら、前に行ったスーパーに迎えに来てもらってもいい?」 「・・・わかった。じゃあ、後で。」 ふぅ・・ 急に鳴った携帯にびっくりして閉じてしまったノートを引き出しに入れ鍵を閉めた。 スーパーで、お目当てのものを選んでいると足元に見覚えのある子が真剣な顔でお菓子を選んでいた。 「あれ? あかねちゃん?」 「!! つーくんだ〜!! つーくんもお菓子選んでるの?」 人懐っこい笑顔を見せたあかねにつられて、翼も笑顔を見せた。 「あかねー? 決めたか・・・っと、翼?」 「りょーくん!! あかねこれにする〜!!」 「はいはい。カゴに入れて。あ、卵 持ってきてくれる? 」 「うん!!」 「走るなよ〜。」 「相変わらず、お兄ちゃんしてるね!りょーくん。」 「まぁな。で、つーくんはここで何してるんだ?」 「「プッ」」 「やめやめ、あかねだから許せるけど。お前が言うなって。」 「そっちこそ。」 「けど、翼・・・なんでこんな所に?」 「え、ああ。アイス食べたくて・・・」 「いやいや・・・そんなの相馬のとこなら、良いアイス食えるじゃん?」 「いやー、やっぱ風呂上がりにはこれかなぁ・・・・って思って。」 そう言って、カゴから一つアイスを取り出して見せた。 「・・・確かに・・・これは、田中さんでも作れないな・・・。」 「だろ?」 かき氷をアイスキャンディーで包んだ、棒の付いた有名なアイスを見て黄瀬も納得した。 ソーダー味とコーラ味。 贅沢なアイスも美味しいけど・・・やっぱ、風呂上がりにはこのアイスも食べたくなるんだよなぁ・・・。  「・・ってか、翼一人なのか?」 その事に気がついて、黄瀬の顔が一瞬曇る。 「え? ああ。一人だけど? 」 「え・・・、喧嘩とか・・・??」 「? え〜、誰とだよ。」 「いや・・・相馬のとこにいるのに、一人だから・・・・・」 「あ〜、今日ちょっと用事あって。相馬も家の用で出かけてるし・・・。」 「そっか!」 あからさまにホッとした顔をする黄瀬に気付く事なく、翼はアイスをカゴに入れていった。 「りょーくん、卵持ってきたよ〜♪」 「おー、あかね。サンキュー」 「あかねちゃん、りょーくん。この後用事ある?」 「ちょ、それやめろって。」 「ないよ〜。帰るだけだよね!りょーくん!」 「ああ。夕飯の材料買いに来ただけだから。」 「じゃー、これ食おうぜ〜。」 2個セットになっている、ボトル型のアイスを見せる。 スーパーの駐車場にあるベンチに座りながら、アイスを分けた。 コーヒー味とホワイトサワー味 あかねちゃんと黄瀬はホワイトサワー。 翼は、コーヒー味。 「片割れどうすんだよ?」 「ん〜、もうすぐ相馬来ると思うから大丈夫。」 「あっそ。」 「・・・そういや・・・試合残念だったな。」 「あ〜、それなぁ!! 翼の予言通りになったよなぁ〜。」 「えぇ・・・オレのせい?」 「はは、な訳ないじゃん! 相手が強かっただけだし!!けど、相馬は優勝したんだろ?」 「メダル持って、現れた時はびっくりした。」 「何それ!! 詳しく聞きたいわ〜。」 「なんだよそれ。聞いても面白くね〜よ。」 「いやいや、お前らの話聞いてるの楽しいから・・・。」 「・・・リョウ?」 翼が声を掛けようとしたのと同時に、車がクラクションを鳴らして駐車場へ入ってきた 「ほら、迎えきたぞ!! プール楽しみだな!!」 車から、田中が降りてきてドアの前で待つ。 「え、あ・・うん。 あかねちゃんも、またね。」 「うん! つーくん、アイスありがと!! バイバイ〜」 最後の黄瀬の様子に少し引っかかったが、田中を待たせるにもいかず車へ乗り込んだ。

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