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朝比奈(3)(黄瀬&相馬→翼&朝比奈)

「・・・リョウ、もう怪我はいいのか?」 「ああ、来月から練習にも参加できるって。」 「そうか・・・。」 「相馬、オレは大丈夫だよ。」 「・・・そうか。ならいい。」 あ・・この感じ。 また、あの夢だ・・・。場所はスタジアム。 自分の脇を走って擦り抜けていく黄瀬の姿を目で追う。 そんなに走ったら・・・ それ以上は・・・もう・・・ また、目の前で黄瀬が倒れる。 いつもは、その痛みで目が醒めるのに・・・ 黄瀬に駆け寄って来た人物の姿が見えた。 「 ・・・翼君!! 大丈夫!?」 「・・・え・・・あ、ハル・・・?」 「・・・大丈夫? うなされてたよ?」 そう言って水の入ったグラスを手渡してくれた。 「あ、あぁ・・・ありがとう。」 「・・・ねぇ・・・。どんな夢見てたの?」 「え?・・・なんで?」   「・・・寝言、言ってたから・・・。」 「えっ・・・。オレ、なんて・・・」 掛け布団を思わず握りしめてしまう。 ・・・どうしよう。 けど・・・、さっき最後に見えた顔は・・・。 「・・・翼君。この事、あいつは知ってるの?」 握りしめた手に朝比奈が自分の手を重ねて聞いて来た。 「今日が初めてじゃないよね?」 手を重ねられたまま、力強い眼差しを向けられる 「・・・ハル。・・・この事は言わないで欲しい。」 「わかった・・・。 言わないから安心して良いよ。」 そう言って、ハルは得意のエンジェルスマイルを翼に見せた。 元々、寝付きは良いが、眠りは浅かったが・・・。 まさか、友人の寝言で起こされるとは思わなかった。 「・・・だ、だめ。 そんな・・・は・・しちゃ・・・」 だんだんと荒くなる呼吸に、漏れ出てる寝言 ・・・・一体、どんな夢を見てるんだ?? 相馬の夢でも観てんのかな?? 隣のベットで寝ている彼の方を向き、様子を見る。 どうせ、夢でもあんな風にしてるんじゃ・・・ 自分達が見せられた様な想像をした えっ? ・・・泣いてる? 自分の想像した様な表情とは真逆の苦痛に耐える様な顔で、閉じられた目尻から涙が伝っていた。 「そ、それ以上・・・走っちゃ・・・だめ・・・」 「え・・?」 「だ、ダメだ・・・リョウ・・・。」 「つ、翼君!!!」 思わず、苦しそうにしてる翼の体を揺すって起こしてしまう。 今、リョウの名前・・・。翼君、君は一体どんな夢を見てたの? 一体、君を泣かせる理由って・・・ キッズモデルの頃に培った、笑顔を見せると安心したのか少しずつ話始めた・・・・ 「・・・信じてもらえないかもしれないけど・・・。」 「うん・・・ゆっくりで、いいよ。」 翼君の話は、確かに信じられない内容だった。 「ええっと・・・翼君の言う事が本当だったら・・・・。リョウの足は・・・。」 「・・・。」 何も言えないのか、そのまま俯いてしまった姿が嘘や冗談を言っている様には見えなかった。 ・・・やっぱり、あいつ。 「翼君、話してくれてありがとう・・・。 何かあったら僕も翼君に報告するよ。」 「う、うん。 そ、それで、この事は・・・。」 「安心して、あいつにはこの事は言わないよ。」

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