169 / 208
朝比奈(7)
オレが生徒会・・・?
そんな、シナリオあったっけ・・・????
それとも、僕が知らないだけで、佐々木翼は生徒会の仕事もしてたのかな?
推しである、相馬の側に居れるなら僕にはご褒美でしかないのだけど・・・。
ちらりと横に座ってる相馬を見る
あ・・・この顔は・・。
やっぱり、僕じゃ力不足だよなぁ・・・。
ゲームの画面で見てた時の青桐相馬は、冷静沈着、クールで何事にも動じない。無表情。そんな孤高の狼が主人公の前だけは色々な表情を見せるのだけど・・・
この世界の青桐相馬は、無表情と言う程でもない。
今も、黄瀬が言った事に何かしらの不満があったんだろうなぁ。
それに、生徒会に入るのは相馬ルートに入った主人公が二年生になった時に、相馬自身がスカウトするはず・・・。そしたら、相馬ルート確定であとは、ノーマルエンドかハッピーエンドになるだけ。けど、今ここで朝比奈が生徒会に入ったらどうなるんだろう?
「翼君? どうかした? 急に静かになったから・・・。」
朝比奈に肩を揺すられ驚いて、思わず口調が誠の時と同じになってしまう。
「あ・・いや・・・。僕が、生徒会なんて力不足かな・・・って。」
「・・・僕?」
「え?あ・・オレだよ!オレ!! 相馬の聞き間違いだろ?」
耳ざとい!! つい、考えごとしてると誠の時の感情に引き摺られるのか・・・
一人称が「僕」になっちゃうんだよなぁ・・・。気をつけよ。
「まぁ、生徒会もだけど、新学期になると留学生が来るからさ・・・。」
「・・留学生?」
「そうだよ。毎年、二学期の1ヶ月だけだけど、姉妹校から来るんだけど。翼君は高等部からだもんね・・・。 いつも、三学期末のテストで交換留学生候補を決めるんだけど・・・。」
「あー、うちらの学年は希望にしたんだっけ?」
「・・・なんで?」
「そりゃ、成績で決めたら、毎回相馬になるからだよ。」
朝比奈と黄瀬がそろって相馬の方を指差す
「人に指を刺すなって・・・。」
「けど、こっちに来る人間もう、わかってるんだろ?」
「・・・ああ、生徒会でそいつの面倒見ないといけないからな。」
そう言って、相馬の眉間にしわが寄った。
「相馬が嫌そうにするの珍しいね・・・。知り合いなのか?」
翼がそう言うと、さらに眉間のシワが深くなる。
「あ、あの・・・申し訳ありません。相馬様、お話中失礼いたします、あちらに・・・」
恭二の示した先に、ホテルの支配人が立ってた。
「・・・ああ。 そろそろ、オレらも帰るか。 翼は、どうする?」
「相馬と帰るよ?」
「そっか。 恭二、車二台で。」
「かしこまりました。」
「翼はそこで待ってて。少し挨拶してくるから。」
相馬と田中が支配人の方へ行き、恭二は車の手配にロビーへ向かった
少し、振り返った相馬に翼は、手を振る。
「はーい。待ってるよ。」
ヒラヒラ〜と手を振って見送る
「・・・翼って、怖いもの知らずなとこあるよな・・・。」
「え? 何が・・・?」
「・・・そう言うところだと思うよ。翼君。」
ともだちにシェアしよう!