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翼とウォルフ。時々恭二
「・・・な、何これ。」
「何って、僕の荷物〜。1ヶ月よろしくね、つーくん♪」
家に戻ると、ウォルフの荷物は、使って居なかった親の部屋に運び込まれていた。
その事に翼は驚いた。
「え?? ど、どう言う・・・。」
「つーくん、はい!」
そう言って携帯が手渡される。
「もしもし・・・。」
『あ、翼? ごめんごめん、ママ言うの忘れてたわ〜。うーちゃん留学の間、うちですごしてもらう事にしたから仲良くするのよ〜。それに、あなた1人だと、心配だもの。』
「・・・うん、わかった。」
通話を終えて、携帯をウォルフに返す。
「つーくん、1ヶ月よろしくね。」
「はぁ・・・。わかったよ。んで、ウォルフのお付きの人もうちに1ヶ月いるわけ?」
「ああ、彼はここの下に部屋借りてるから。
「はぁ? だったら、ウォルフもそっちで良いじゃん。」
「あはは、何言ってるの? 何度も倒れてる君を1人になんて出来ない。」
「・・・・。」
「それに、言っただろ? 君の運命の相手は僕だって。」
「・・・またそれ? そしたら、オレも言ったよな? ガチ恋夢系男子になるって。」
「「・・・・。」」
プッ
お互いが言った言葉に思わず笑ってしまった。
「折角だし、相馬のトコから貰ったお肉でも今日は食べようか?」
「翼が作るなら、僕はなんでも良いよ。」
「いやいや・・・、お前も手伝うんだよ!」
「え〜、僕、包丁なんて持った事ないよ〜。」
「大丈夫、オレが教えるって。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ホテルから自分が戻ると、部屋の空気がものすごく重い。
相馬様もですが・・・、あの感情を表に出さない田中さんまで、なんだか纏う空気が重いんですが・・・。
しかも、背後に気のせいでしょうか?
仁王像が見えるのですが???
相馬様にお仕えする様になって、こんな事は初めてで私にはどうしたら良いのか・・・。
「あ、あの・・・。佐々木様は、本日もお泊まりになられ・・・・ひっ!!」
田中さんの仁王像がこっちを見た!!!
「も、申し訳ありません・・。」
「いえ・・・、あなたにはまだ伝えていませんでしたね。翼様はご自宅へ戻られました。」
「そ、そうなんですね・・・。 そしたら、お部屋は如何なさいますか?そのまますぐ、ご利用できる様に整えておきましょうか?」
すっ・・・
!!!!!!!!!
き、消えた!?
「そうですね。恭二さん、お部屋はそのままいつでもご利用できるよにしておきましょうね。 とりあえず、翼様の宿題とお持ち頂いた下着類だけ、まとめてご自宅に持っていきましょうか。
」
「は、はい。」
田中さんの仁王像が消えて、部屋の空気が少し軽くなったと思ったけど・・・
相馬様のご様子は変わらず、ピリピリしている様ですが・・・
「あ、あれ? 田中さん、佐々木様の事、お名前でお呼びしてましたか・・?」
「おや・・・?確かに、いつの間にかそうお呼びしてましたね。ですが、翼様はすでに家族の様なものですので。」
「はぁ・・。」
名前呼びが家族って・・・え!? あ、そう言う事か!!!
え?けど・・・それなのに、なんでこんな事に???
その日の恭二の謎は深まるばかりだった・・・。
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