171 / 208

翼とウォルフ。時々恭二

「・・・な、何これ。」 「何って、僕の荷物〜。1ヶ月よろしくね、つーくん♪」 家に戻ると、ウォルフの荷物は、使って居なかった親の部屋に運び込まれていた。 その事に翼は驚いた。 「え?? ど、どう言う・・・。」 「つーくん、はい!」 そう言って携帯が手渡される。 「もしもし・・・。」 『あ、翼? ごめんごめん、ママ言うの忘れてたわ〜。うーちゃん留学の間、うちですごしてもらう事にしたから仲良くするのよ〜。それに、あなた1人だと、心配だもの。』 「・・・うん、わかった。」 通話を終えて、携帯をウォルフに返す。 「つーくん、1ヶ月よろしくね。」 「はぁ・・・。わかったよ。んで、ウォルフのお付きの人もうちに1ヶ月いるわけ?」 「ああ、彼はここの下に部屋借りてるから。 「はぁ? だったら、ウォルフもそっちで良いじゃん。」 「あはは、何言ってるの? 何度も倒れてる君を1人になんて出来ない。」 「・・・・。」 「それに、言っただろ? 君の運命の相手は僕だって。」 「・・・またそれ? そしたら、オレも言ったよな? ガチ恋夢系男子になるって。」 「「・・・・。」」 プッ お互いが言った言葉に思わず笑ってしまった。 「折角だし、相馬のトコから貰ったお肉でも今日は食べようか?」 「翼が作るなら、僕はなんでも良いよ。」 「いやいや・・・、お前も手伝うんだよ!」 「え〜、僕、包丁なんて持った事ないよ〜。」 「大丈夫、オレが教えるって。」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ホテルから自分が戻ると、部屋の空気がものすごく重い。 相馬様もですが・・・、あの感情を表に出さない田中さんまで、なんだか纏う空気が重いんですが・・・。 しかも、背後に気のせいでしょうか? 仁王像が見えるのですが??? 相馬様にお仕えする様になって、こんな事は初めてで私にはどうしたら良いのか・・・。 「あ、あの・・・。佐々木様は、本日もお泊まりになられ・・・・ひっ!!」 田中さんの仁王像がこっちを見た!!! 「も、申し訳ありません・・。」 「いえ・・・、あなたにはまだ伝えていませんでしたね。翼様はご自宅へ戻られました。」 「そ、そうなんですね・・・。 そしたら、お部屋は如何なさいますか?そのまますぐ、ご利用できる様に整えておきましょうか?」 すっ・・・ !!!!!!!!! き、消えた!?  「そうですね。恭二さん、お部屋はそのままいつでもご利用できるよにしておきましょうね。 とりあえず、翼様の宿題とお持ち頂いた下着類だけ、まとめてご自宅に持っていきましょうか。 」 「は、はい。」 田中さんの仁王像が消えて、部屋の空気が少し軽くなったと思ったけど・・・ 相馬様のご様子は変わらず、ピリピリしている様ですが・・・ 「あ、あれ? 田中さん、佐々木様の事、お名前でお呼びしてましたか・・?」 「おや・・・?確かに、いつの間にかそうお呼びしてましたね。ですが、翼様はすでに家族の様なものですので。」 「はぁ・・。」 名前呼びが家族って・・・え!? あ、そう言う事か!!! え?けど・・・それなのに、なんでこんな事に???  その日の恭二の謎は深まるばかりだった・・・。

ともだちにシェアしよう!