172 / 208
ウォルフ学校へ行く。
あぁ・・・。こんなに気が重い朝なんて初めてなんだけど・・・。
実は夢でした。って事はないのかなぁ・・・。
ないよなぁ・・・。
ガチャ
「あ、つーくん、おはよ〜。もう少ししたら起こしに入ろうかと思ってたトコだよ。」
ドアの前でウォルフが立っていた。
「それは、やめて。 って、髪濡れてる?」
「あぁ、少しランニングしてきて、汗流したからね。」
「夏とはいえ、洗ったんなら、ちゃんと乾かしておけよ。」
「え〜、ならつーくん乾かしてよ。」
そう言って、タオルを手渡されたが、そのままウォルフへ返す。
「自分でやれ。 オレは、朝食の用意する。」
「えー、ケチ〜。 折角、朝食買ってきたのに〜。」
ダイニングテーブルの上に、紙袋が置かれていた。
「あ、ここ。駅の方のパン屋?」
「ん〜? なんか並んでたから、並んじゃった。」
「そこ、焼きたてパンのモーニングセット有名なんだけど、すぐ売り切れちゃうんだよ!!」
「そーなんだ、なら、つーくんはラッキ〜だね。」
「だな。 ウーが走ってなきゃ食べれなかったしな♪ サンキュー。」
「じゃー、乾かしてくれる〜?」
「はぁ・・・。良いよ、貸して。」
ソファーまで移動して、ウォルフを座らせ髪の毛をタオルで拭きながらドライヤーを当てる。
「そういえば、お前制服は? あっちの学校の持ってきたのか?」
「あぁ、あっちではもう卒業してるから、こっちの制服用意してもらったよ。」
「ふーん・・・ん? 卒業って?」
「あぁ、向こうは飛び級できるからね。 もう乾いたから良いよ。 つーくん、ありがと。」
「え?」
タオルとドライヤーを持って、ウォルフは片付けに行ってしまった。
「・・卒業したって・・・アイツ。」
テーブルの上の紙袋を開けると、クロワッサンのバターの香りがフワッと香る。
香りに刺激された、翼のお腹が鳴った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「・・・新学期ってさ、確かに休み前と違う事があるけどさ・・・。」
「一つ言えるのは、この状況はオレらにも影響が出るよな・・・。」
「そうだね・・・。これは良くない・・・。」
学校に着くと、昨日 ホテルに来た男の話題で持ちきりだった。
ヒソヒソ
あの子、蒼の王子と二股?
ってか、あんなのどこが良いわけ?
ヒソヒソ・・
金髪の彼「公爵」らしいよ!!
まだ、15歳って本当か??
ヒソヒソ・・・
さっき、車で登校してきたんだけど・・・
まじ!前に蒼の王子に送り迎えされてたんじゃん。
「なぁ・・・ハル。オレ、今日は学食でいいかなぁ。」
「・・・奇遇だね。僕も学食にするつもりだよ。」
思わず、ため息が二人から漏れた・・・。
ーその頃
「えー、皆さん。今日から1ヶ月このクラスに交換留学生として、姉妹校から来たエゼルウルフ・アーサー・エッツォさ・・・君だ。彼の身分等はここの学園の者なら、知っているかも知れなが・・・。」
先生を遮り、ウォルフがクラスメイトの前に立つ。
「先生、僕からいいですか? 皆さん、はじめまして。エゼルウルフ・アーサー・エッツォです。けど、長いから、ここにいる間は、好きに呼んでもらっても構わない。ここでは皆さんと同じ学生なので。よろしく。」
ニッコリ
ま、眩しい・・・。
ウォルフの用意した車で登校した時、アイツ同じクラスって言わなかったから違うのかと思ったけど。
しかし・・・・
何この空気?? ウォルフのキラキラした空気と相馬の方から・・・な・・なんか、冷たい空気が・・・。先生の顔、半分青いよ?!
「あ、青桐くん。彼の世話役は生徒会でお願いね。」
ビッシッ!!!!
ひぃ!!!空気が・・・。これから1ヶ月大丈夫なのかな・・・。
ともだちにシェアしよう!