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頭冷えた?
コンコン
生徒会室の扉がノックされ、紫のリボンで括られたプラチナの髪を揺らしながら、扉の方を振り向いた。
「ああ、公爵様。ようこそ、我が学園に・・・。」
「・・・公爵はやめてほしいな。伊集院 カミュ・・・っと、先輩って呼んだ方がいいのかな?」
机を挟んで対峙する様に立った二人に、後から入ってきた相馬が面倒臭そうに、文句を言った。
「なぁ・・・、こいつの面倒、何でオレが見るんだ?」
「おやおや・・・、青桐君それは生徒会の仕事だからだよ?」
「あはは、僕は別に世話なんかいらないんだけど? つーくんがいるし。」
「・・・何をすればいいんだ?」
「ああ、別に公爵・・・えーと・・・」
伊集院が、ウォルフの呼びあぐねてると、ウォルフ自身が助け舟をだした。
「ウォルフで良いよ。カミュ先輩。」
ニッコリ
「・・・ありがとう。ああ、僕は伊集院で構わないよ。」
お礼を言いつつも、伊集院の目は笑ってない。
随分と良い表情する様に彼もなったな。まぁ、それでも彼には負けるけど。
「オーケー。 伊集院先輩、まぁ君のナイトに殺されたくないしね。」
ウォルフはそう言って、両手を広げて少し戯けて見せた。
「それじゃ、本題に入ろうか・・・?」
相馬がウォルフを連れて、生徒会へ行ったから、初めてこの学園の学食にきたんだけど・・・。
フードコートみたいだな。メニューを選んで食券を持ってカウンターに行ったが、周りの生徒の目が厳しい気がする。
何でだろう・・・?
注文した食事を受け取り、空いている席を探す。
「隣、座っても良いかな?」
「!! あ、ぼ、僕もう食べ終わったんで!!」
「お、オレももう大丈夫!!!」
「あ!オレも!!!」
テーブルに座っていた生徒が、全員退いていった。
「あ、ありがとう・・・。」
ってか、別の席で食べてるじゃんか・・・。
やっぱり、何かが変だ・・・。
今日はやたらと見られてる。 居心地の悪さを感じながら、食事をしていると後ろから声をかけられた。
「あれ? 翼君、1人?」
「っ・・・ハル。ああ、相馬はウォルフを連れて生徒会に行ったよ。」
「そうなんだ。で、翼君は1人で学食?」
「そう、ハルも?」
「あ、リョウも来るよ。」
「ここ、空いてるから座りなよ。」
「お!! 2人とも席取ってくれてたのか?」
「リョウ・・・。いや、なんか・・・」
ドンッ バッシャ!!
翼の肩に水が、かかる。
「あ、ごめん!! ぼ、僕・・・。」
制服の刺繍が自分たちとは違い、赤色。
3年の先輩だと思うけど・・・だ、誰?
水をかけた事の罪悪感からなのか、泣きそうな顔で謝ってきた先輩に翼は気にせず声をかけた
「ああ、気にしないでください。すぐ乾くんで。」
そう翼が声を掛けた。
「なら良かった、まだ残ってるからあげるね。」
ニッコリと笑って、その先輩は手に持っていたコップを振り上げた。
「えっ・・・・?」
頭から、コップに残っていた水をかけられる。
「あはは!! これで、少しは頭冷えたんじゃない?」
2人のを見ていた黄瀬と朝比奈が焦った
「な!!!! ちょっ、先輩!!あんた、何してんだ!!」
「先輩・・・こんな事して、相馬にしられたら・・・!!」
「別に、君達なんか怖くないさ。 これは、忠告だよ佐々木君。」
一体何が、起きたんだ???
頭から、水かけられたんだけど・・・ええ????
クスクスクス
「やっば、さっきのみたか??」
「けど、あのレベルでチヤホヤされ良い気になってるから」
「言えてる。」
クスクスクス
食堂が異様な空気に包まれた。
「つ、翼君。もう、行こう・・・。」
「ああ、そうしよう。」
「え・・・うん。」
トレイを片手に、食堂を3人は後にした。
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