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花京院(1)
「はぁ・・・、さっきの何だったんだ?」
「さぁ・・・。ってか・・・・ここ入ってよかったの?」
食堂から持ってきたトレイを持って3人は、生物準備室に来ていた。
普段の姿しか知らない、朝比奈と黄瀬は恐る恐る中に入る。
準備室のテーブルにトレイを置くと、タオルを持った黒井先生が隣の教室から入ってきた。
「おい、佐々木。これで拭いておけ。」
「あ、ありがとうございます。」
手渡されたタオルで濡れた髪と肩を翼は拭き始めた。
拭いている翼を横目に、黒井先生がアイコンタクトで2人を呼んだ。
準備室横の教室に繋がる扉前で、中の翼に聞こえ無い様3人は声を潜めて話始めた。
「・・・何ですか、黒井先生?」
「あれ、あの坊ちゃんは知ってんのか?」
「どうだろう・・・。今、相馬は生徒会だし・・・。」
「留学生の件か・・・。」
「なんか、その留学生が・・・翼の知り合いぽくて・・。」
「なるほど・・・。お前ら、留学生の素性は知ってるのか?」
「・・・いや。翼からも何も聞いてない。」
ガチャ
タオルを肩にかけたままの翼がドアを開けて顔を出した。
「おーい、ハル、リョウ! 昼飯いいのか?」
3人は一瞬驚いた顔したが、朝比奈がいち早く表情を作って翼の方へ行った。
「うん、食べるよ〜。少し、先生と生物の話してただけだから」
「早くしないと、時間なくなるぞ〜」
「うん。今行く!先生も、またあとで話聞きにきます・・・。」
「ああ・・・。」
3人は結局、生物準備室で食事を終え、教室に戻って行った。
ー3年教室
教室の後ろに、人だかりの中心に翼に水をかけた人物がいた。
「花京院くん、さっきのすごかったね!!」
「スッとした!!」
「さっきの顔、やばかったよね!!!」
「だいたい、相馬くんも見る目がなさ過ぎ!!」
「しかも、あの留学生の彼まで、あんなヘチマみたいなやつ!!!」
「・・・君たち、言葉使い。気をつけなさい。 けど、ホント笑わせてくれたね。」
「けど、花京院君・・・。本当に、青桐くん怒らないかな。」
「生徒会の通達を無視してしまったけど・・・。」
「そもそも、あんな子が生徒会の権力下にいて守られてるのがおかしいんだから。」
バンッ
ウォルフが机に勢いよく両手を叩きつける
「・・・つーくん、ねぇ。何で朝と違う匂いになってるのかな?」
ウォルフの顔が翼に鼻先がかするぐらい近づけてささやく。
教室の空気が冷え始める
「に、匂いって・・オレそんなに臭い?!」
つられて翼も声を潜めながらウォルフに言う
「違う。このコロンの香り、つーくんの趣味じゃ無いよね?」
髪の毛を一掴みすると鼻を近づけて香りを嗅いだ。
「・・・ウォルフ、なんか変態臭いんだけど。」
「で? どうして?」
「・・・帰ったら話す。 とりあえず、席につけよ。」
でないと・・・、この冷気でみんな風邪ひくって・・・。
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