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花京院(2)

な、何でこうなったんだ??? あの後の授業は最悪。新学期初日だから、5限までだったのが幸いだったけど・・・。 クラスの雰囲気は異様な空気になるし。相馬もだけど・・・ウォルフの機嫌もめちゃくちゃ悪い。 授業が終わると翼はウォルフに腕を掴まれ、問答無用に、生徒会室に連れてこられた。 なぜか、相馬、ウォルフの他に伊集院先輩がそこにいた。 「で、つーくん何があったのか説明してくれるよね?」 ウォルフが、掴んでた腕を引っ張る。 「ちょ・・・ウォルフ。痛いって。」 「おい、乱暴はよせ。」 相馬がウォルフと翼の間に割って入る。 なんか、2人の後ろに狼と獅子が見えるんだけど・・・ 「ちょ、相馬・・・。オレは大丈夫だから。」 掴んできた相馬の手を握る。 「つーくん、僕の話聞いてるの?」 「ねぇ! 僕もいるんだけど〜。 紫苑に聞いたけど、食堂で水掛けられたんだって?」 生徒会室の机の上に座って、伊集院がそう言うと2人の視線が翼に向く。 「・・・まぁ。先輩にうっかり?」 「で、どんな奴?」 「翼、オレも聞きたい。」 ひぃいいい。話すから、後ろのやつ仕舞ってくれぇ・・・。 コトッ 暖かい紅茶が翼の目の前に置かれた。次にウォルフ。相馬は自分で用意していた。 「今朝、君達が一緒に登校した事で、式の最中も随分賑わっていたけど・・・。」 「え? オレと、ウォルフ?」 「そうだけど・・・気がつかなかったの?」 「はい・・・。」 「つーくん、どう言う事?」 「オレにもわからない。」 「はぁ、青桐君。君のせいでもあるんじゃないかな?」 「・・・・・。」 そう言われて、相馬はそっぽを向いた。 「・・・どう言う事だ。」 ウォルフが相馬を見る。つられて翼も相馬をみた。 「一学期中、君と青桐君はどれだけべったりだと思ってたわけ?」 伊集院がうんざりした様子で紅茶を飲む。 「へぇ〜、それが何でこんな事になってるのかな?」 ウォルフが相馬の方を見る。 「・・・お前が、翼と登校するからだろ。」 「へー、僕の所為って言いたい訳?」 「そうだろ。翼にくっつきすぎだ。公爵様。」 「・・・なぁ。一つ聞いていいか? オレが、相馬と居たからこんな事になったのか?」 その言葉に、3人の動きが止まった。 コンコン 「ああ、入れ。」 準備室のドアをノックし、中に入ると見慣れない白衣の男性に一瞬言葉を失う。 「「!!」」 「何だ? 中に入れ。人に見られる。」 「え、あ・・・はい。」 「・・・黒井先生・・・?」 紫の瞳に頭上にあげられたメガネ。昼休みにみた白衣の格好。間違いなく、あの生物教師。 「ああ、そんなに驚く事か?」 そう言って頭上のメガネをかけると、見覚えのある顔になった。 「え・・・あ、はい。」 驚きすぎて思わず敬語になる黄瀬に、朝比奈は翼の言っていた言葉を思い出す。 「紫苑様って・・・そう言う事・・・。」 「その呼び方はちょっと恥ずかしいんだけど?」 朝比奈の顔を先生の指先がなぞる 「先生、それセクハラっすよ。」 黄瀬が朝比奈を引き寄せる。 先生は両手を上げた。 「はいはい。彼は真っ赤になって可愛かったんだけどね。君達は面白くないね。」 そのまま、小さな冷蔵庫からジュースを二本取り出して、2人に渡した。 「それで、誰に彼はやられたんだ?」 2人は椅子に座ってジュースを飲み始めた。朝比奈の近くに黒井先生が腰をかけようとすると、黄瀬は無意識に朝比奈の事を引き寄せた。 「・・ちょ、リョウ。何?」 引っ張られた朝比奈が、黄瀬に肩がぶつかった。その肩を抱きながら黄瀬が答えた。 「多分、三年の花京院薫先輩だと思う。」

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