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花京院(3)
「花京院か・・・。」
先生の顔が苦虫を噛み潰したような顔になった。
「・・・。先生、イケメンが台無しになりますよ?」
そう言いつつも、目の前の男は、あのダサい格好に戻っているのだが・・・、脳内ではさっき見た素顔がそんな顔になったのは、僕の感性にはちょっと・・・
「そうかな? どんな顔でも、俺の事好きだって言う奴はいるけど?」
そう言って、ダサメガネを外して朝比奈にウィンクした。
「!!」
ガッタッ
思わず、黄瀬が立ち上がる。
「ちょ! リョウどうしたんだよ!!」
「さっきから、あんた何なんだよ?」
思わず、黄瀬が先生につかみかかりそうになる。
「悪い悪い、ついお前らが可愛いくて・・・・。揶揄って悪かったな。」
「ほら、リョウ。座って・・・。」
朝比奈に促され、椅子に掛け直す。
さっきより、距離が近い事に黄瀬は気がついてなかった。
「まぁ、花京院なら問題ないだろ。」
「え? けど、さっき先生めっちゃ嫌そうな顔してましたよ?」
「ああ、滅茶苦茶、俺はあの手の人間が大嫌いだからな。」
「「・・・・」」
「・・・何だ? 言いたいことがあるなら言ってもいいぞ?」
もう、メガネは白衣の胸ポケットにひっかけられていた。
「・・・先生って、そっちが素なんですね。」
「何、惚れちゃった?」
テーブルに頬杖を着きながら、朝比奈を見る。
「はぁ?! さっきから、何なんだよ?!」
黄瀬が先生に噛みつく。
「何だろうね? 先生だから、答えよりヒントを上げたいんだけどな。」
「なら、さっさとヒント、寄越せよ。」
「それじゃ、つまらないだろ。」
黄瀬にも黒井先生が微笑む。 その微笑みに一瞬、言葉を失った。
「もし、そうだって言ったら佐々木君は、青桐君と距離を置くのかい?」
先に話始めたのは、伊集院だった。
「・・・距離を置く?」
「・・・つーくん、何も悩むこと無いんじゃない?」
今度はウォルフが口を出す。
伊集院に言われた事を反芻うする様に噛み締める
・・・距離を置く?
何で? 僕が、そんな事を? 相馬と一緒にいるから?
「え? 意味が解らないんだけど?」
「つーくん。そんなの考える事ないでしょ? こんな奴と一緒にいなきゃいんだよ!!」
ウォルフが、翼を抱きしめる。
「ちょ・・・ウォルフ。 苦しいって。」
「・・・オイ、離せよ。」
相馬が、ウォルフの肩を掴む。
『 はっ、冗談だろ? お前の所為で翼に害があるんだろ?』
『なんだと!! お前が、余計な事しなけりゃこんな事になんかなってなかった!』
・・・えぇ。2人とも・・何・・・・。
ウォルフに、抱き締められている状態で、頭上で2人が言い合いを始めた。
その様子を、見ていた伊集院がうんざり気味にため息をついた・・・。
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