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見てしまった・・・・ 花京院(13)

パンッ!! 「やって良い事と悪いことがあるだろ!!!!」 「な!! パパに言って、お前なんか、退学にしてやる!!!!」 そう言って叫びながら、花京院は走って行った。 ウォルフ・・・。 病室のベットに横たわるウォルフの顔を心配そうに咲紀はみた。 ウォルフの手を握る。 いつから・・・、ウォルフはいつからだろう・・・。 大きな手。 いつも、私が泣くと慰めてくれる優しい私の王子様。なのに、私が追い詰めてた。 今回の事も、シナリオには無い。けれど、ウォルフが何かする予感はしていた。 ポロポロと涙が流れ落ちる。 「・・・泣かないで・・・。」 握ってた手が、涙を拭う。 「う、ウォルフ・・・!大丈夫・・・。」 「・・・っつ、大丈夫だよ・・・。つーくんは・・・?」 「おにぃは、何とも無いから・・・。」 ポロポロと涙が止まらない。 「・・・さーや、泣かないで?」 「どれだけ心配したか、わかってる・・・」 ウォルフの手が優しく、頬を撫でる。 その手を握り締めながら、咲紀は泣き続ける・・・。 「あなたは、攻略対象じゃないのよ・・・。」 「さーや・・・それは・・・知ってる。」 「・・・わかってない!! 対象じゃ無いって事は・・・何かあれば、死んじゃうって事なのよ!!! あなたが死んだら・・・私、わたし・・・どうしたら良いのよぉ。」 ポロポロ・・・ その言葉と、行動に驚く。 「さーや・・・。」 目を丸くして咲紀を見る。 「・・・な、何よ。ウォルフ?私が、あなたを心配無いと思ってたの?」 「・・・だって・・・、いつも咲紀は・・・」 「何よ・・・。対象じゃないって言ってるじゃない。」 「それ・・・は・・・。」 「なのに、突っ走って・・・。おにぃは、絶対に死な無いのに・・・」 「僕だって・・・」 「・・・あなたは違うの!!」 ギュッと握られた手を握り返す。 「・・・さーや。 ねぇ・・・僕の事、好き?」 「・・・当たり前でしょ?」 「・・・そっか・・・。」 ウォルフの目に涙が伝う。 ・・・・。滅茶苦茶中に入りにくいぞ!!  病室のドアの隙間から中を伺い見て、固まってしまった。 見たくなかったぁ〜!! 妹のラブシーンとか・・・。 そっと隙間を閉める。

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