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すき焼き食べたい

「・・・そうか。わかった。」 通話を終えた相馬のところに、翼が迎えにきた。 「あ、あれ? 咲紀ちゃんは?」 「あ、寮の門限があるから・・先に帰った。」 「そっか。 翼は、もうお見舞いいいの?」 「うん。あ、あのさ・・・。オレ、相馬に話があるんだけど・・・。」 この選択が、今後どうなるのかわからないけど、自分に自信を持ちたい。 相馬の隣にいられる様に、自分が変わらないと・・・。 病室で、咲紀が帰った後ウォルフにも同じ事を伝えた。 案の定、ウォルフには心配されたけど・・・ 「つーくんが決めたんだったら、良いんじゃないかな? それが、シナリオと違ってもさ・・・。僕は、つーくんの味方なのは変わらないよ。」 「ウォルフ・・・。」 「あーあ、僕のモノにしたかったのになぁ。残念!!」 「バーカ。 ってか、おまえ咲紀にベタ惚れなんだから、いい加減にしろよ。」 「・・・だって、さーやは僕を見てくれ無かったんだもん。」 「オレも、ウォルフが怪我したり死んだりするのは嫌だからな・・・。無茶はするなよ。」 「ふふ・・・、つーくんお兄さんだね。約束するよ。お詫びじゃないけど・・・、つーくんに一つ教えてあげるね。」 そう言って、ウォルフは翼に耳打ちをした。 「・・・え。ウォルフ、それって。」 にこっ 「後は、つーくん次第。 頑張って。」 何度と見た、ウォルフのプリンススマイル。 あの顔の時は、何を聞いても無駄か・・・。 「・・・じゃ、また明日来るから。」 「うん。楽しみにしてる。」 病室を出たときのウォルフの顔に後ろ髪惹かれつつ、相馬のところへ向かったのだけど・・・。 おかしい・・・。 さっき、話があるって言ったはずなのに・・・。 何で、目の前にすき焼きが???? 「翼様、どうぞたくさん召し上がってください。」 「は、はい。 ありがとうございます。」 生き生きと、田中がお肉を入れてくる。 すき焼きなのに、わんこそば状態に翼の胃が悲鳴を上げ始める。 「田中・・、翼の腹がはち切れるぞ・・・。」 「!!! これはこれは・・・今、お茶をお持ちします。」 席を外した田中さんの代わりに今度は、相馬が翼のお椀に肉を入れる。 「ちょ・・・相馬!! もう、食べれないって!!!」 「あ、ごめん。」 さっきからずっと、相馬の顔がニコニコご機嫌で調子が狂う。 「あ、あのさ・・・、相馬。オレ、生徒会に入りたい!」 「・・・えっ? ・・・それは、どうして?」 「・・・オレ、今回の事で思ったんだ。釣り合う、釣り合わないじゃないけど・・・、相馬の友達として自分に自信を持ちたい。それに、相馬の隣にいても文句を言われない男になりたいって・・・。」 「・・・翼。」 「っても、オレにできる事なんて限られてるとは思うんだけどさ・・・。」 「そんな事ないよ。翼が生徒会に入ってくれるなら、オレは嬉しい。」 「それなら・・・よかった。明日、伊集院先輩に話してくる。」 「なら、明日は3人でまた昼食べれるな。」 「そうだね。やっとゆっくり、お昼食べれるの嬉しいかも・・・。」 昼食の話をしていたら、食欲が復活したのか残りのすき焼きも完食した。 コンコン 「失礼します。 相馬様、よろしければ、こちらをどうぞ。」 PCの前にいた相馬に声をかけ、部屋のテーブルに田中が水と錠剤を持ってきた。 「・・・。あれは、作りすぎだ。」 「・・・申し訳ありません。つい・・・。」 申し訳なさそうな表情など一切していない田中の顔を見たら、それ以上は何も相馬は言わずに、持ってきた薬を飲んだ。

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