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生徒会室
案の定、学園に登校するとウォルフの事で生徒達は少しざわついて居た。
翼とウォルフを突き飛ばした「花京院 薫」は退学処分となり、彼の取り巻きでいた生徒達は数日の謹慎処分。
ウォルフの怪我自体は大した事はなかったが、政財界問わず権力者達の御子息、後継者が通う学園の品位を落とした行為として責任を取る様な形だったが、その決定は異例の速さだった。
「・・・退学。」
掲示板の前で思わず、翼の足が止まる。
確かに、あの先輩のした事を考えたら仕方のない事だとは思うけど・・・。
いざ、こうやって目の当たりにすると、なんとも言えない感情に胸がモヤモヤ。
掲示板の前で固まってしまった翼の周りで、今回の事を噂して居た生徒が何人かいた。
けれど、それも相馬が現れた瞬間に蜘蛛の子を散らすかの如く、その場からいなくなった。
「なんか、相馬って・・・殺虫剤みたいだな。」
隣に立った男の顔を見上げて、思わず言ってしまう。
「・・・せめて、虫除けとかにして欲しいんだけど?」
別に、気にする風でもなくそう答える相馬に、翼も笑ってしまう。
「教室にいなかったから、迎えに来た。」
そう言って、相馬に手を差し出される。
「へ・・・? な、何!! ?」
ドキマギしてる翼の手を取り、教室まで突き進んでいく相馬とは対照的に真っ赤になってしまう
何なに・・・一体、何が・・・???
こんな、色んな人に見られたらまた余計な噂されて、今度が相馬に迷惑が・・・・・・・。
「・・・翼、今 何考えた?」
教室の前で、急に足を止められ相馬の背中に思わずぶつかる。
「うわっ・・・。」
鼻を押さえながら、相馬の方を見る。
「オレは、別に翼といる事で迷惑だと思った事ないからな。」
そう言って、手を離し先に教室に入って行ってしまう。
「・・・あ・・・。また、オレ。。」
昨日、あんな大見得切ったのに・・・、また卑屈な考え方してた。
あとで、ちゃんと言いに行かないとな。
コンコン
ノックの音が響く。
昨日、相馬に言った様に翼は生徒会室に来て居た。
「伊集院先輩。生徒会長の許可を頂きたくて今日は来ました」
机に座って伊集院はこちらを見ていた。
その視線に少し緊張しながら翼は、話しを続けた。
「オレを生徒会役員に入れてもらえませんか?」
「・・・理由は?」
「じ、自分に自信を持ちたいんです。」
「・・・生徒会って、生徒と教師の雑用みたいな事もしなきゃだけど・・・それでもいいの?」
じっと翼を伊集院は見続ける。
「はい! 足手まといになるかも知れませんが、一生懸命にやるのでお願いします!!」
そう言って、翼は勢いよく頭を下げた。
「ふ、っふふ。 話しは、聴いてるよ。君の生徒会入りを僕は歓迎するよ。」
そう言いながら、翼に右手を差し出した。出された、手を一瞬マジマジと見てしまったが、すぐに翼もその手を取り握手をした。
「よろしくお願いします!!」
伊集院の白く美しい手に、思わず翼は嬉しくなりギュッと握ってしまった。
「あはは、佐々木くん僕の手が折れちゃうよ。」
「あ!!! すいません!!つい・・・・」
「ふふ。 綺麗になっただろ?」
「・・・はい。良かったです。」
あの、ガマガエルにつけられた傷は綺麗にないっていた。
痕も残らなくてよかった。
伊集院の手を凝縮してると、相馬達が生徒会室にやってきた。
「・・・翼、何してるの?」
伊集院の手を握ったままの翼に、一緒にやってきた黄瀬に指摘されてパッと離した。
「え!あ、あの・・・その別に疾しいことなんかは・・・」
真っ赤になりながら、しどろもどろに言い訳をしてしまう翼を見て、伊集院が思わず吹き出す。
「ちょ・・・なんか、それ余計に変に思われるよ?」
「そーだぞ!!翼! なんで、そんな赤くなってんだよ!!」
「翼くん。 いくら、伊集院先輩が綺麗だからって・・・」
「ちょ!! みんなして・・・。助けて、相馬〜。」
それまで、何も言わずにいた相馬に思わず、助けを求めると
翼の手を取られ、そのまま指先にキスされる。
「え!?」
(((げ・・・)))
「そんな手じゃなく、オレの手で満足しておけ。」ちゅ
「!!!!」ボンっ
(((ひぃ!!!!!!)))
い、一体何が起きてるんだ???! 頭から湯気が出そうな位 顔が熱い。
さ、3人の視線も痛い〜!!! ひぃぃ・・・・・・・・。
恥ずか死ぬ。
「そ、相馬・・・手離して・・」
なんとか、そう伝えるが相馬は聞いてくれなかった。
「はぁ・・・、全く。そういうのは2人の時にやってくれ。次期、生徒会長殿。」
伊集院がため息混じりにそう言いながら、生徒会室を出ていった。
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