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ハルと翼(2)

「けど・・翼くん、僕が生徒会の手伝いをする事と、リョウの怪我に意味があるの?」 その問いの答えは、翼自身もわからなかった。 相馬にスカウトされ、生徒会に入る事で朝比奈は相馬とのルートに入るが・・・、相馬からスカウトを生徒会で既に断っている。 それが、どう関係してくるのか、もうわからない。 けれど・・・、その前に見たあの夢の様にしたくない。 それには、朝比奈と一緒にいる時間を増やさないと・・・。 でも、いつ起こるかもわからない事を説明することが出来ない。 朝比奈の足の事、黄瀬の怪我の事はウォルフの病院だったから、説明できた。 黄瀬のルートだと、朝比奈が試合前にテーピングをするだけでいいのだけど・・・。 テーピングできなければ、黄瀬は試合中に足の怪我で途中棄権する事になる。 それには、黄瀬との好感度も高くないと、足の状態を隠させれてしまう。 きっと、相馬や僕じゃ黄瀬は足をみせてくれない。 でも、朝比奈には見せる。それは同じ痛みを知っているから・・・。 その朝比奈がもし、試合を見に行けなかったら? 「・・・夢が関係あるのかな?」 「・・・・・。」 「わかった。生徒会の手伝いするよ。」 「良いの?」 「良いよ。けど・・・手術はしたくないんだ。それでも良いかな?」 「手術は僕が決めることじゃ無いから・・・。」 「そっか・・・。ねぇ、この事2人には?」 「ハルにだけだよ。」 「なら、そのまま言わないでほしい。」 「分かった。約束するよ。」 「僕も翼くんの事、言わないから安心して。」 「ありがとう。」 何度目かの朝比奈の笑顔が、やっと本物に見えた。 「今日は、ご馳走になってごめんね。」 「いや、こっちこそ肉食べてもらえて助かったよ。」 エントランスまで見送りに出ると、朝比奈を迎えに来た車が止まっていた。 「それじゃ、また明日学校で! 生徒会、頑張ろうね〜。」 「ああ、引き受けてくれてありがとう。 また、明日!」 バックミラー越しに、翼が手を振っていたのが見えなくなると、朝比奈は携帯を取りだした。 数回のコールで相手はすぐに電話にでた 「・・・ああ、僕だけど・・・、僕の知らない事を教えてほしい。」 翼くんは、まだ何か隠してる。 彼が話している時、口調が変わった。きっと、あっちが彼の本来の姿なんだろうな・・・。 窓ガラスに反射して自分の顔が映る。 エンジェルスマイルと言われた顔とはとても言えなかった。

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