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生徒会室
ふぅ・・・。
最近、翼が足りてない気がする。
生徒会室で、伊集院と書類を作成していた相馬はぼんやりそんな事を考えていた。
せっかく、翼が生徒会に入ってくれたのに、伊集院から引き継ぎをする為殆ど一緒に活動できない。それに、ハルも加わってくれた事で、自分がやっていた仕事を引き継いでいた。
その所為で、中等部の頃の様な噂が出てるのが耳障りだった。
それで無くとも、最近は翼とリョウの距離が近いのが気に触る。
ハルの話では、リョウの事で翼がうなされてたと言っていた。
それ以来、翼は放課後あの幼なじみの紹介で整形外科に行っていると報告を受けていた。
テーピングねぇ・・・。面白くない。
「おい。手を動かさないなら、今日はもう終わりにしようか?」
「あ、ああ・・・悪いな。」
「ふふ・・・。珍しいね。素直じゃん。」
「そういう時もあっていいだろ?」
「確かにね。」
お互い顔に笑みは浮かべて居たが、目は笑っていなかった。
「はぁ…。そんな顔しないで欲しいね。 これでも、悪いと思ってるんだからさ。」
伊集院が、眉を八の字にして申し訳なさそうな表情しながら、ファイルを手渡した。
「これは?」
「多分、君の欲しい情報かな? 」
ファイルの中身を確認すると、そのまま鞄に相馬はしまった。
「礼はする」
「別にいいよ。君たちには、借りがあるからね。 とりあえず、今は急いだら?彼、帰っちゃうよ?」
「ああ。」
そう言って、生徒会室を相馬は出ていった。
ひらひら~っと手を振ってその背中を見送ると、入れ違いに白衣の教師が中に入ってきた。
「もう、今日の業務は終わったのかな?」
「集中力が途切れちゃったみたいでね。切り上げてあげたよ。」
窓の外を眺めながらそう答えた伊集院の傍に、白衣の教師がいつの間にか立っていた。
「あぁ、最近は仔犬同士で居たから…。必死な姿は珍しいな。 」
窓の下に、走ってる相馬の姿を見つけ思わず口元が緩む。
不意に白衣裾を引っ張られ、そのまま口元に柔らかな唇が触れる。
「お前が見るのは僕だけだろ?」
一瞬驚くが、スグにいつもの表情を浮かべ2人の唇は深く重なりあった。
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