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第2話
「やっぱり、玄関は開かねぇか……」
お兄さんが部屋を出て、十分ぐらいか? 玄関の扉と格闘する事、約十分。
玄関だと思われる扉は何をやっても矢張り開かない。
仕方がないか。
何処まで買い物に行ってるかわかんねぇし、取り敢えずは此処で止めておいた方がいいな。
「別に逃げるつもりもないし……」
取り敢えず、この部屋が何処にあるのかぐらい知りたかったけど。
知らんでも生きていけるし、それよりは命の保証の方が大切。
次は部屋の中でも漁るか……、と思いたいけど、この部屋なんもないんだよな。
「ベッド、キッチン、冷蔵庫……。ぐらいだもんなぁ……」
漁り甲斐のない部屋。
「冷蔵庫も宣言通りに水ぐらいしか入ってないし……」
キッチンの戸棚になんか箸は愚かコップすら入っていない。
クローゼットは服のみ。
「うわっ。高そう」
なんか肌触りがヤバい。
あの時着る服みたいな布じゃん。
「この部屋、時計もないしテレビもないじゃん」
ミニマリストって奴?
いや、それにしてはやり過ぎじゃね?
何もないじゃん。
「この部屋はユニットバスね。うん。広いな……」
ここも無駄に広いし。
「あれ? 洗濯機ないじゃん」
どうやって服洗ってんの?
手洗い? 洗濯板? いつの時代だよ。
「マジで何も無いし……。えー。あの人いつ帰ってくんだよ」
時間を潰せるもん何も無いじゃん。
「えー。めっちゃ暇」
もう、寝るしか無いじゃんこれ。
俺は全てを諦めベッドに潜り込む。
「……フルチンでベッドに寝るとか、金持ちみたいだな……」
そう言えば、俺服着てないわ。
ま、あれだけ血みどろになってたしね。服捨てられるわな。
うん。仕方がない。
「……あっ! 服買ってきてって言うの忘れたっ!」
ヤベェ! 犬とか言ってたし、俺ずっとフルチンでここで生活すんの!?
いや、それは流石に凄く嫌だ。
いや、でも服着たいとか言ったらビンタ? マジで? なんて理不尽!?
どうすんだよ。これ。
人としてのHPガリガリ削られるんだけど……。
でも、さ。恥ずかしいから服着たいんですぅー。とか、俺が言い出したらお兄さんの気分次第では、犬はそんな事言わないって怒られて、最悪死が待ってる訳だろ?
最悪過ぎん?
でも、このままフルチンもキツい。体も寒いが、心も寒い。
「でも、死ぬのやだしなー」
まだ、やりたい事、あるもんな。
いくら丼とか、食べたいし。
苺大福も食べたい。
富士山も登ってみたいし、一人暮らしとかもしてみたい。
うさぎさん、もう一回抱っこしたい。
「全部くだらないけど……」
俺の夢なんだよな……。
「てか、男が裸に首輪って本当ヤバくね? 見たい奴いんの? あの人……ぶっ飛んでるからな……、別に気にしないよー。とか、言いそう」
怖っ。
気にしないとかのレベルが違うわ。
「はー……」
でも、まあ、受け皿から犬に進化した訳だ。俺も。いつになったら人間になれるんだろな。
人間のはずなのに。
殴られたら痛いし、刺されたら血が出る。
あ、それは犬も一緒か。
刺されたら……。
「あれ?」
そう言えば。
俺はガバっと起き上がり脇腹を摩る。
「傷、ないじゃん」
一番最初におっさん達に刺された痕が何もない。
て言うか、包帯一つ巻いてないし。
そう言えば。
俺は急いでユニットバスの中にある鏡を見る。
そこには、いつもの顔があった。
「……え? 何で?」
何一ついつもと変わらない顔。
腫れたり、青痣になっているところもない。
流石に、これはおかしくない?
昨日、俺は刺されて殴られてた訳ですよ? 意識が朦朧とするぐらい。
手だって動かせないと思ったし、息するだけで体中が痛かった。
なのに、だ。
今の俺は普通。何処も痛くないし、怪我もない。
喧嘩は確かにした事ないけど、殴られたりはしてたから殴られた痕がどうなるかぐらいは分かる。確かに、痛みが伴わないものも中にはあった。
けど、こんなにも綺麗に痕が消えるなんてあり得ない。
どうなってるんだ……?
化粧? いや、そんなわけないし、何でそんな事するんだよ。
その瞬間、言いようのない不安がどっと押し寄せる。
あのお兄さん、マフィアとか言ってたけどマフィアだからって出来ることとできん事あるっしょ?
いや、冷静に考えろ。現実考えろ。現実考えない奴は馬鹿しかなかっただろ?
普通に考えれば、嘘を言ってるとか?
傷は治してもらった。刺し傷は縫ってもらった。殴られたのも冷やしてくれた。骨折はしてなかった。
だけど、時間の経過が嘘。
あのお兄さんは昨日拾ってきたって言ったけど、本当は既に一ヶ月ぐらい経ってる? 本当は昨日まで病院にいて、昏睡状態だったとか。
一番それっぽい答え、だな。
でも、何でお兄さんが嘘つくんだ?
その必要あったか?
君、一ヶ月ぐらい昏睡状態で今目を覚ましてんだよ?
あのお兄さんならそれぐらいハキハキ言いそうだけど……。
だって、他人への配慮とか絶対ないでしょ? あったら人間を犬に見立てて飼おうとか、絶対思わんし。
何なら可能性ある?
「……見つかったとか?」
俺が、見つかった? 彼奴らとお兄さんの間に何かあった……?
いやー。一番ありえるけど、一番ないだろ。
それこそ、俺ぐらいなんて捨て吐ときゃ何でもいいもんだし。
「……どうでも良くなってきた。やっぱり寝よ」
起きてると無駄な事ばかり考える。
昔からそうだ。
寝てれば何も考えなくて済む。
神様でも皿でも犬でも。何でも。人間になれなくても。
寝れば何も考えなくて済むんだ。
おやすみ、世界。俺の寝てる間に滅んでくれよ。
俺はベッドの中に潜り込み、いつもみたいに膝を抱えて眠りについた。
「ご主人様が頑張って買い物終わらせてきたと言うのに、この駄犬は寝てるわけ?」
「……おはよ」
「はい、おはよう」
「ごめん。この部屋何もやる事なくて寝てた……」
頭がぼんやりする。
寝過ぎかな。
「あー……。確かに何もないね。でも、家探しぐらいして時間潰してるかと思った」
「十分ぐらいで終わった。何もないもん」
「ははは。確かに」
笑い事じゃねぇー。
「それより起きて起きて。首輪も服も買ってきたし、着てみよ」
「え? 服あんの!?」
お、これは予想外に嬉しい。
「え? 裸でいたかった?」
「いや、服着たいよ。犬だって服着るじゃん」
「そうだよね。私も君の裸でここに住みたいと思ってたら困ってたよ。気が合うね」
「マジで嬉しい」
「そこまで?」
「うん。お兄さん少しぶっ飛んでるから犬は服着ないだろってずっと肌がで生活させられるかと思ってた。良かったー。そこは普通で」
「いや、私へのイメージ最悪じゃん。そこまで鬼じゃないから。ほらほら、着替えて着替えて」
「ざっす」
おー。ボクサーもあるじゃん。普通ー。
「首輪も買ってきたよー。じゃーん。赤色ー」
「普通ー」
「普通がいいんだって。普通の人間になるわけだしね? ほらしてあげるから」
「え? 自分でできるよ?」
「こう言うのはご主人様の特権でしょ? 新しい家族が増える訳だし。いいねー。似合う似合う」
「似合うか? でも、ま、お兄さんが満足出来るように犬として頑張るよ。何か俺の犬としての方針決まった?」
「受け入れるねぇー。いや、全然決まってない。いつも思いつきで生きてるからね。私」
ふーん。それが許される人間って訳ね。
はっ。めっちゃ嫌いなタイプだわ。
そんな奴に碌な人間なんて皆無だったし。
「ビンタされるの俺なんですが?」
「ま、そこは生活の保証の代償にしといてよ。ビンタでは死なんでしょ?」
「じゃあ、優しく叩く練習してね?」
「えー。君で?」
「何でだよ」
こう見ると、普通の人なんだよなぁ。
それにしても、日本語上手いな。日本に来たばっかりって言ってたのに、何でも通じるし。
何処の国の人なんだろ?
いや、今聞くべきじゃない。気分で動く人間は、本当に気分で何でもするからな。機嫌を損ねるワードが今は分かんないから、流石に、ね?
「あ、でも、名前は考えたよ!」
「……名前?」
「そう。名前」
あ、そうね。
人間の名前はないもとするのね。オッケー、オッケー。人権もないもんね。
「どんな名前?」
「ハチ!」
「……ハチ?」
「映画観てさ、それで犬飼たくなったんだよね。私」
「あー。忠犬的な?」
「的な!」
安易ー。
けど、別にいいか。エリザベスとかよりはマシっしょ。
「分かった。じゃあ、俺は今日からハチね」
「物分かり良すぎじゃない?」
「安全保障の代償っ」
人間割り切り割り切り。名前なんてただの文字列。犬が気にする事じゃねぇーんだよ。
「あっ。俺はお兄さんのこと、お兄さんって呼び続けていいの?」
「私? あー。そこは考えてなかったなぁ」
名前を教える気はない、と。
別にいいか。海外の名前とか覚えるの難しそうだし。
「じゃあ、お兄さんのままでいい? それとも、ご主人様とか?」
「ご主人様か……。いやぁ、いいや。それは楽しくないしね。同じ理由でマスターやボスもダメ。お兄さんが一番妥当と言えば妥当だけど、犬感はないよね?」
「じゃ、飼い主さん?」
「それは……、いや、楽しいかもだけど微妙じゃない?」
「えー。知らんて。じゃあ、お兄さん考えといてよ」
我儘かよ。
「オッケー。考えとく」
「了解」
「他に何かある? 聞いておきたいこと」
「あー……。出来れば有耶無耶にしておきたかったけど、トイレとかって好きに使っていいの?」
「え? いいよ。何でそんな……。あー。成る程。うん、流石にトイレシーツはないし、手間掛からないように人間飼う訳だしね。そこら辺はなし。求めてない」
「おっしゃ! お風呂は!?」
「いいよー。好きに使って。あ、でも何か犬洗いたいっ! て、私が思った時は頭ぐらい洗わせてよ」
「いいよいいよ、それぐらい」
「オッケー。あ、ご飯食べる? 何がいいか分からんから牛丼買って来たよ」
「肉じゃん! やったー!」
牛丼食べれるんか。最高じゃん。
「じゃ、お皿に入れるね」
「あ、あのさ、新聞紙とかある?」
無いと思うけど。
「え? ないけど?」
やっぱりなー。
「何で?」
「何でって、四つん這いで犬食いすると床に散らばるし落とすよ? 掃除大変じゃん。下に引いて食べた方が掃除楽だよ?」
「……あー。なにそれ、主婦の知恵?」
「いや、犬の知恵じゃね?」
犬が喋ってる訳だし。
「人間は顔が平面だから皿で犬食いしても水も溢すし、引けるもの引いといた方がいいよ。なるべくこぼさんようにするけど、絶対は無理だから」
「……ふーん。でも、ないんだよね。引くもの」
「だよね。今日は頑張って掃除しようと思うけど……、掃除できるもんこの部屋なくない?」
「あー。ないね」
「詰んでるじゃん」
「てか、四つん這いで食べる気だったの?」
「うん。犬だし」
食べ方間違えてビンタは困る。
吹き出すから。
「そっか。お皿には盛るけどさ、手で持って食べてくれる? 箸あるし。水も」
「別に良いけど……、お兄さんそれで良いの?」
「私も今凄く驚いてるから、質問されても困るよ」
「お兄さんの求める犬像がわからん」
「私は君の人間像が謎すぎるかな」
いや、普通の人間ですけど?
「ま、いいや。取り敢えず盛るね」
「んー。あざっす」
「いいよいいよ。飼い主の特権だし」
今のはワンじゃなくていいんだ。
わからん。ビンタくると思ったとに。本当、謎すぎでしょ?
結局、飯はキッチンで立って食べてし箸も使った。
水も容器に移して飲んだがこぼしても良いようにユニットバスの浴槽の中で飲んだ。
犬って感じは皆無。
「後は適当に過ごして良いよ。私、仕事してるし」
「ん。でも、何もやることないんだよね」
うっすいノートパソコンをカバンから取り出したお兄さんに、俺は提案を持ちかける。
「本とかある? 貸して欲しいんだけど」
「本? あるけど、英語のだよ?」
「いいよ。日本語もあんま読めないし。文字眺めてる」
「何それ。楽しいの?」
「いや、めっちゃつまらんよ? でも、眠く無いし。やる事もないし」
「日本語も読めないの?」
「うん。でも流石にひらがなとカタカナは分かるよ」
漢字も簡単なものなら、なんとか。
「なら、絵本の方がいいね」
「絵本あるの?」
「いや、ないけど。ネットで頼むし」
「じゃ、絵本でお願い。お兄さんは漢字読めるん?」
「読めるよー。大人だもん」
「日本語も上手いよね? どんな本で練習したの?」
何処まで、自然で許されるのか。
「んー。本では練習してないかな。昔、仕事で日本に来た事があって、それで覚えちゃった」
うわ。結構あっさり流されたな。
でも、これ以上深入りするのも此方の利点が何もないし俺も流すのが一番賢い。
「天才じゃん」
「まぁねー。私、天才なんだよねー。だから、少しだけ我が家のワンコにも知恵をあげよう」
「知恵?」
「うん。文字、教えようか? それとも、他にやってみたい事ある? 犬させてる訳だし、少しぐらい福利厚生しちゃうよ?」
「慈善事業だ」
「お、難しい言葉なのに覚えてるね」
アンタが吐いた言葉だろ?
「まぁね。俺も天才かも?」
「いいね。名犬じゃん」
「でも、仕事は?」
「急ぎじゃないしね。家に来たばかりのワンコより優先させる事ではないかな?」
「優しいじゃん」
「知らんかった? ハチのご主人様は最高に優しい男なんだよ?」
「知らんかった。けど、この家マジで何もないよ? 文字教えれるもんあんの?」
「紙とペンぐらいは鞄の中入ってるよ?」
「お兄さん、紙とペン使うん?」
「使う使う。時代はデジタル化目指してるけどねー、それに乗り切れないおっさんも多いんだよ」
「お兄さんは?」
「乗れてる方のおっさん」
「お兄さん若いでしょ?」
「マジで? ハチは優しいね。何歳に見える? 当たったら、ビンタ一回回避券あげるよ?」
「え? マジで?」
「マジマジ」
てか、ビンタすんなよ。
でも、ま、死なないしこれ以上の文句はダメなんだろうな。
そうなると、是が非でもビンタ回避券が欲しい。
マジで欲しい。
なんなら貰ってコピーしまくりたいぐらい欲しい。
年齢?
年齢ってめっちゃ微妙だよな……。
若すぎても歳取りすぎても角立つし、実年齢に近ければ近い程不機嫌度数も上がるじゃん。そんな命の綱渡りあるか? って感じ。
でも、出来ればここでスリーポイントシュートを決めたい。
見た目は……、俺よりは年上だよな? 背高いし。別に俺も低くないけど。俺の頭が肩少し下ぐらいか? 髪の毛は黒い。白髪もない。禿げてるところもなさそう。
「んー。ヒントは?」
「欲しいの?」
「ニアピン賞でも貰えるならいらんけど?」
「ピタリ賞のみだねー」
「じゃ、ヒント!」
「そうだね。意外に歳食ってるかも」
「え、全然ヒントじゃなくない?」
「あー。じゃあ、キリがいい年齢だよ?」
「キリがいいねぇ……」
となると……。二十歳、二十五歳、三十歳、ぐらいかな?
歳食ってるって言ってるし、二十歳はなさそう。
となると、二十五か三十。
意外と、と自分で言ってるぐらいだし、三十? でもなー。ここで実は二十五となると、そんなに老けて見えるかな? と、下らない茶番の末に殺される危険もある。
え、でも、欲しくない?
ビンタ回避券。
だって、今の時点ではビンタ回避不可じゃん。基準も全然わからんし。
でも、ここで綱渡りする必要性だよなー。
死ぬ危険性を孕んだ綱渡りよりビンタの方が良くね?
「めっちゃ悩んでるじゃん?」
「ビンタ回避券、絶対欲しいもん」
「あははは。必死ー。間違えても殺さないから大丈夫だよ?」
ん?
「本当に?」
「本当に本当」
この人、俺がその可能性で遠慮してたの知ってたな?
「じゃあ、三十!」
「ファイナルアンサー?」
「ファイナルアンサー??」
「凄い。絶対わからず繰り返しただけなのに最高のタイミングと使い所じゃん」
お兄さんはケラケラ笑うと俺の頭を掴む。
え?
笑顔なのに?
あ、これ。
しくったやつ?
「残念っ。ふせーかーい。殺さないけど、床にキスしよっか?」
「ひ、ひょぇー……」
マジでしくったやつじゃん!
床にキスするって何!?
「私、そんなに老けて見える?」
「だ、だってお兄さんが意外とって自分で言ったんじゃんか! 見えんよ! 二十でも通じるって!」
「確かに言ったねー。それに引っ張られちゃったかー。ま、でも間違ってるは間違ってるからね。ノーリスクハイリターンは何事もないわけよ」
「何だそれ。はぁ。床にただキスするだけで許すとかのサービスってないよね? 自分からするから叩きつけんで欲しいんだけど」
あったら嬉しいんだけど。
「……それより、顔床に叩きつけられた方が良くない? 自分からとかキツイでしょ?」
「え、ヤダよ。痛いじゃん。それに俺、犬よ? 四つん這いで床舐めるの出来るよ?」
お兄さんさ信じられないものを見る目で俺を見るが、俺的にはお兄さんの発想の方が怖いよ?
実年齢当てれないだけで、床に顔叩きつけられるわけでしょ? 普通に怖くない?
「ハチは、自尊心とか死んでるタイプ?」
「犬として飼われるって言ってんのに、自尊心いらんでしょ……」
何言ってんだ、コイツ。
「ありゃ。じゃ、私のせいか」
「そだよ?」
「段々可哀想になってきちゃったよね……。悲しきモンスター作っちゃった感じ? 自分を犬だと信じて疑わない人の成れの果てみたいな……」
「いや、信じて疑わなくはないよ? 疑う前の問題ね。それに、お兄さんが犬飼いたいから俺で代用って言ったんでしょ? 悲しきとか言わんでよ」
「ごめんごめん。でも、ま、これも飼い主の役目って奴で、自尊心を育てる為に私がするね?」
「うきゃー! やだー! 絶対痛いって!」
「痛くない痛くない。さん、はいっ!」
お兄さんは勢いよく俺の頭を押さえ込む。
何でこうも俺の人生ハードモードなんだよっ!
今日も絶対ついてない!
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