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第31話 妖艶

 まるでショーを観ているようだった。  シャワーの音が止むと、バスローブを羽織った永遠さんがゆっくりゆっくりベッドに向かって歩いていった。途中俺のソファーの前を通り過ぎる時はちらりと俺を一瞥して一瞬目を合わせていった。  いつもビールを飲みながら笑いながら話を聴いてくれる永遠さんではなく、妖艶な雰囲気を醸し出していた。妖艶という俺の中で最大にエロい言葉しか浮かんでこなかった。そのままソファーに固まって二人が絡みあってるのを、ミリも動けずに見ていた。動きがあるのは唾液が出ては飲み込んでる喉と、膨らんでくる股間のモノだけ。ズボンが痛くて、チャックを開いてオナニーして出してしまいたかったけど、永遠さん達から全身反らしたくなかった。  見ているうちに永遠さんは凪になっていき、青田さんは自分になっていた。俺の下で乱れる凪。もっと突いてとお尻を高く掲げ、誘うように腰を揺らす凪。その角度おかしくなりそうと涎を涙を流しながらシーツを握りしめて前へ逃れようとする凪の腰を掴み深く深く貫くと、結腸の入口が開いてしまい、凪の息が止まり太股は痙攣し、意味をなさない言葉で甲高く啼くのだった。  そんな自分たちに重ねて見ていたら、股間のモノは弾けて下着をびちゃびちゃに濡らしていた。気持ち悪いけれど、触りもしないで射精した事が恥ずかしく、未だ続いている二人の情事から目を反らさず、凪と自分に変換する時間を過ごした。青田さんが俺なのか、永遠さんが凪なのか、それが徐々に本当のように思えてきて、俺は高揚感と、自然に涙も流していた。  一通り満足したらしい青田さんがシャワールームに向かい、永遠さんはぐったりとベッドに突っ伏していた。お水でも持っていってあげるべきなのか…。 「晴空、少し水持ってきて」 呪縛が解かれたように立ち上がり無言で、備え付けの冷蔵庫からペットボトルの水を持っていき渡した。  乾いた喉を潤すゴクゴクという音を聞きながら隣に突っ立ってその様を見ていた。 「どうだった?」 サイドテーブルにペットボトルを置いた永遠さんが目を合わせて聞いてくる。 「どうって…」 「晴空いっぱい出たみたいだね。股間の辺りズボンまで染みてきてるよ」 やっぱり気づかれた羞恥心に何て答えようか考えてるうちに、ズボンとバンツを下げられ濡れてるそれを永遠さんの口に含まれ舐められた。これがお掃除…というやつだろうか…。 「おっ、永遠。始めるのか?」 シャワーから出てきた青田さんはさっきまでしていた相手が他のモノを、咥えている所を見たのに何故か楽しそうだった。 「っんく、沢山出たんだね。晴空、経験ないでしょ?」 「なっ……」 「いいんだよ恥ずかしがらなくて。誰でも最初は童貞なんだから。おいで」 おいでと手を出しながら言ってくれた永遠さんに導かれるように、俺は永遠さんの上に股がった。永遠さんの中に凪を見ながら。  全て導かれるままの行為は呆気なく終わった。青田さんはニヤニヤしながら見ていたように思う。 「初めてだからこんなもんだよ~。青田さん嗤わないであげて」 「そうだな、そうだよな、みんな最初は童貞だ!晴空くんだったね、よくやったね!」 なんで誉められてるんだか分からずボーっとしてるうちに永遠さんが腹や股間を拭いて綺麗にしてくれていた。俺が抱いていたのは永遠さんだったのか、凪だったのか。

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