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第32話 永遠さんの中の凪
あれ以来、永遠さんのとこにお邪魔する度にセックスもするようになった。
体の関係を持ったら二人の関係が何か変わるのかと不安になったが、相変わらず永遠さんはマイペースに俺の面倒を見たがったし、俺は俺で何度話したか分からない凪の話を繰り返した。
永遠さんは毎回俺が出したモノを美味しそうに飲み込む。そんなモノ美味しいのか疑問だったから、一度永遠さんが出したのを少しだけ指で掬って舐めてみたけれど、青臭くて苦くて全く美味しいモノじゃなかった。
「美味しくないじゃん…」
「そう?晴空の味がして美味しいよ?まだまだ若い子の味。弟くんが大好きで僕の中に弟くんを見ながらセックスして少しだけ罪悪感持ってる味」
「ごめんなさい…。永遠さんは仕事でエッチをしてて、しかも指名料金高いような人なのに、俺毎回ただで…」
「なぁに、晴空そんな事思ってたの」
永遠さんは凪に似た雰囲気の癖に豪快に笑う。
「だって…」
「いいんだよ、晴空は僕が見つけたんだから。僕が気に入っているんだから。でなきゃヤラセないって。だからそこ気にするなよ。弟くん重ねて見てようがいいよ。僕は晴空とヤれて満足してるんだから」
「俺まだ下手くそで、永遠さんにリードしてもらってばかりなのに」
「若さじゃん?そんながむしゃらなのも若い内だけだから、それはそれで今しか出来ないセックスだからいいんじゃないかな」
そんなもんなのかなと思った。仕事で回数重ねてきた永遠さんが言うんだから、そうなんだろう。
永遠さんは最初はお金が無くて始めた仕事だって言ってた。早くに親を亡くしたっぽいから苦労したんだろうな。
きっと、最初は仕事嫌な時とか、大変な時もあったんだと思う。それでも頑張って、今では指名するのに高い程の腕前なんだから相当努力したんだろうなぁ…本人飄々としてて、そんなの感じさせないけど。セックスって腕前って言うのかな?永遠さんに訊いたらまた笑われそうだからやめとこう。
「何考えてんだよ~。晴空今日は一回でいいのか?」
ベッドの上に座ったまま考えてた俺に永遠さんが後ろから抱きついてきた。少し体を捩らせふざけた口調の永遠さんを押し倒す。
儚げに見えたのは最初だけだった。それでも俺はこの人の中に凪を見るんだ。
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