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第33話 倦怠感
最近酷く疲れる。
飯も食べててむしろ前より食欲があるくらいなのに。
朝は母親が用意してくれてるやつ、昼は学校の購買とか適当に外出てコンビニとかの菓子パンが多い。夜は永遠さんちで適当に作ってくれたのとか、家で母親が作っといてくれたの温めもせずに食べたり。
最近干渉しなくなった母親からも顔色が悪いからと久々に話しかけられ心配された。昔からスポーツが好きで体力もあったはずなのにおかしい。
クラスメイトからも言われた。適当に暇な時つるむ程度の奴ら。上っ面だけで、チャラチャラしてて軽口叩いてくる、そんな連中。
「晴空~、最近顔色わりぃんじゃね?寝不足?はたまたヤりすぎか?」
心配してんならその肩に乗せてきた腕に力いれんじゃねーよ、重いなと思いながら。
「ヤりすぎてて絶好調だぜ」
と返しておく。
クラス内の少し離れた場所から女子達が「やだぁ」「あいつら下品だよね~」などと言っているのが聴こえた。その中には小学生の時から一緒の、知った女子の顔もあった。確か凪に飼ってたうさぎの事を当てられたみきだ。
これ以上この場にいて同じ話題を続けるのも、彼女の写真見せろよとか、めんどくさい流れになりそうだったから「しょんべん」だけ言って廊下に出た。
廊下を一応トイレの方へ歩いてると後ろから声をかけられた。
「晴空くん!」
「あ?あぁ、みき」
「晴空くん本当に最近顔色悪いよ?不良みたいになっちゃったのも心配だし。凪くんがいた時はこんなじゃなかったのに…」
この女は地雷とまでは言わないが、俺に言っちゃいけない事を言った。凪のせいで俺が変わったとかいうのは聞きたくない。
みきの腕を掴んで、普段使われてない空き教室に連れ込んだ。使われず机置き場になってる教室の、埃が被った机に押し倒した。
「いたっ!なに?次の授業始まっちゃうよ?」
「お前、俺のこと気になんの?」
「えっ、やめてよ、小学生から一緒だから気になっただけで…」
「確か中学の時、バレンタインでイニシャルしか書いてないチョコが下駄箱に入ってたんだけど、もしかしてMってお前?」
みきは口をパクパクさせて顔を赤らめている。自分だって吐いたようなもんだ。
押し倒したまま、ブラウスとキャミソールをスカートから引き抜き、胸を揉みしだくと、すぐに乳首が立ってきた。永遠さんとは違うボリュームのある女の乳房。
抵抗して腕を振り回してるものの力の差があるから押さえつけとくのは簡単だった。それに本気で嫌だったら股間とか急所蹴りあげてでも逃げるもんじゃないのか。
ここは学校、廊下にでれば誰かしら助けは呼べるんだ。
みきのあそこは最初から湿ってた。男とは違う凪とは違う永遠さんとも違う自覚はちゃんとしていた。行為に慣れてきていた下半身は、また入れるのかと条件反射のように勃起した。『やだ、いや』『痛い』と泣き叫んでたみきの口は手で塞いだ。くぐもって聴こえる悲鳴はいつしか悲鳴ではなく色を含んだものになっていった。背中に足を絡ませられ、合意の末の行為のようだった。
達しそうになる前に膣から出し、みきの素肌の腹に出す。みきの股から一筋の赤い血が流れた。そうするのが当然のように人差し指で一掬い。
「違う……」
「晴空くん…?何が違うの?」
みきが、胸を隠すかのように起き上がる。
「何でもねーよ」
「私たち、付き合うの?」
「はっ?付き合いたいのかよ?」
「う、ん…」
馬鹿だと思った。俺がこうなっても、みきの中では昔の晴空のままなのかもしれない。昔の俺の面影を捨てきれてないんだ。スポーツが出来てみんなの中心にいた頃の晴空。そんなものはとうにいなくなったんだ。
「俺、こんなに変わったからさ。その気持ちは勘違いだろ。じゃぁな」
「勘違いなんかじゃないから!私晴空くんがここの学校受けたからここ受けたんだし……」
「ふぅん…。考えとく」
身だしなみを整えてるみきを置いて先に空き教室を出る。
あの血は違う。疲れは益々酷くなっていき、体が重たく感じる。
まだ授業は残っていたがサボって永遠さんのとこに行かなきゃと思った。
この疲れは何なんだ。
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