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第3話
「便所、どこ?」
達哉を除く2人とテレビゲームしている悠人に尋ねた。
「1階の左行って、端っこ」
俺は階段を降り、トイレへと向かう。
トイレから出てきた小柄な可愛さの中に男の子らしさもある顔立ちの少年とすれ違った。
悠人の言っていた引きこもりの高1の弟だろう。
「こんにちは」
「...こんにちは」
愛想良く挨拶をして小便を済ませ、ドアを開けると先程すれ違った少年が待ち伏せていたかのように立っていた。
「?どうしたの?」
俺をまじまじと見上げる。
「間違いない...」
なんの事かと思っていると、
「サインください!」
「はい!?」
いきなりだった。威勢のいい少年の声と緊張しているような様子にたじろいだ。
「さ、サイン?」
芸能人かなにかと間違われてるのかな、まさかな。
「ここじゃなんですから!」
少年の後を追い、悠人たちの部屋とは若干、離れた2階の部屋へと入る。
シンプルな落ち着いた雰囲気の部屋だ。
少年はベッドの下をゴソゴソとなにかを探し始めた。
「あ、これにサインください!」
渡されたのは俺が写っているゲイビのDVD...
「ちょっと待っててくださいね!サインペン、サインペン...」
暫く忙しく、勉強机を探し、マッキーを渡された。
「あ!パッケージも黒だし、目だたない...」
悔しそうに少年は言うと、手を自分のデニムで拭きまくり、
「握手してください!」
右手を差し出してきた。
呆然となりながら俺も右手を差し出すと、力強く握手された。しっとりと汗ばんでいる。
「はあ...ヤバい、緊張するな...」
少年は真っ赤な顔をして、俯き独り言。
「あ、あの、俺、ハルさんの大ファンで!DVDも動画も頑張って集めてます!」
「そ、そうなの?」
「はい!見てください!」
少年がスマホを開くと、ズラリ、俺の出演したゲイビのタイトルが並んでいる。
「一番、お気に入りなのはですね!」
ベッドの下をまたゴソゴソしたかと思うと、
「あー、面倒くさいや!」
DVDがたくさん入った箱を取り出し、探し始め、
「これ!めっちゃ抜けました!」
以前、出演したDVDを見せつけられる。
ファン感謝デーみたいだな...と思いながら、
「え、えっと君はゲイなの?」
「違います!AV探してたら、偶然、ハルさんを知りました!めっちゃセクシーでエロくって!ハルさんにハマっちゃいました!
他のゲイビの動画も試しに見てみましたが、全然、抜けなかったです!」
嬉しくて早口になっているようだが、俺はかなり複雑だ。
「え、えっと、お兄ちゃんは知ってるの?」
「知りません!知られたくもないので、あんなバカ兄貴」
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