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第10話
ヒロに惹かれていく自分がいます。
だけど、俺は21、ヒロは16、引きこもりとはいえ高校生です。
正直、彼氏の達哉より、紳士的で優しく、なにより自分を好きでいてくれるのを会う度に痛感していきます。
その日はヒロのお母さんと食事の準備をしていました。
「瑞希ちゃん、よかったら、あの子と付き合って貰えないかしら」
俺はとても驚きました。
「で、でも、俺、僕、男ですよ!?」
「大丈夫。瑞希ちゃんはいい子だし、あの子も瑞希ちゃんをとても気に入っているから」
お母さんが優しく微笑みます。
そして、夕飯の時間。
海斗さんは帰ってきておらず、暫くは俺とヒロ、お母さんの3人で頂いていました。
暫く経った頃、海斗さんも大学から帰宅し、お風呂を上がると一緒に夕飯。
俺とヒロはヒロの部屋へと移動しました。
悠人も今日はオフで部屋にいるらしいですが、殆どの部屋は防音な為、静かです。
多分、ゲームでもしているんでしょう。
部屋に入ると直ぐにヒロは、
「ビールでいい?ワインもあるけど、あ、カクテルも」
広い部屋の冷蔵庫を開けて尋ねてきます。
「ビールでいいよ」
「母さんにおつまみ作って貰おうか」
「いいよ、お腹いっぱいだし」
「駄目だよ、なにか食べながら飲まなきゃ体に悪い」
そう言うと、ヒロは一旦、下に降り、カルパスやチーズ、枝豆や生ハム。お母さんが作ってくれたのでしょう、カプレーゼもありました。
大きなトレイに乗せて運んで来ました。
「一緒に食べよ」
ヒロがジュースを飲みながら言います。
「うん」
俺たちは2人、暫くそうして会話を交えながら飲んだり食べたり。
不意に、
「瑞希」
「どした?」
俺を真剣な眼差しで見つめるヒロがいます。
「付き合って欲しい」
「...付き合うって...俺、男だし、ヒロもゲイじゃないだろ?」
突然、俺を背後から抱き締めて来ました。
「そんな言葉遣いしちゃ駄目だよ、瑞希」
「へ?」
「ずっと言おうと思ってたんだ。瑞希は女の子なんだから、俺、とか。あと、男勝りな言葉使っちゃいけないよ」
俺は頭が真っ白になりました。
俺が...女....?
「AVでは抜けてた。ゲイビでは瑞希しか反応しなかった。瑞希が綺麗でセクシーで、俺には女の子にしか思えない」
俺はビールを飲む手が止まっています。
「俺が瑞希をちゃんと女の子にしてあげる、母さんも望んでいるよ、きっと」
「お、女の子にするって、せ、性転換しろ、て意味...?」
怖々と俺はヒロに聞きました。
「まさか。瑞希の綺麗な体にメスなんて入れたくないもん」
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