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第11話
ヒロは続けます。
「うちってほら、男ばかり3兄弟じゃん?母さんも女の子が欲しかった、て以前言ってたし」
「そ、そうなんだ...」
...どうしよう、俺は別に女装癖もないし願望もない、性転換したいとも思わない、男が好きなただのゲイだ。
「好きなんだ、瑞希」
後ろから優しく抱き締められる。
ヒロは年齢よりも男らしい...。
俺は覚悟を決め、頷きました。
「彼女になってくれるの!?瑞希」
「か、彼女、て、よくわからないけど、俺もヒロが好きだよ」
俺が躊躇いながらそう言うと、大丈夫、と囁き、俺の背中越しから耳元にキスをされました。
とても優しく暖かいキスにうっとりする自分がいました。
俺は達哉とは別れました。
ご両親も了承の元、俺とヒロはヒロの実家で共に過ごすことになったのです。
付き合い始めたお祝いをお母さんから頂きました。
たくさんの紙袋です。
「こんなにたくさん...申し訳ないです」
「心配しないで。あなた、瑞希ちゃんにきっと似合うと思って、開けてみて」
優しいお母さんの笑みに、俺も笑顔になります。
1つの紙袋を開けて、中身を取り出した俺は呆然となりました。
「サイズは大丈夫だと思うわ。気に入ってくれるといいのだけど...」
広げてびっくり女性用?のワンピースです。
隣でヒロも、
「母さん、センスがいいね、似合いそう」
胸元や裾にリボンやフリルが付いています。
他の袋も唆され、恐る恐る開けて見ると、たくさんの女性用?のトップスやスカート。
ヒールまであります。
増してや女性用の下着やウィッグまで。
「きっと似合うわ、ヒロ、ちょっとごめんなさいね、お母さん、瑞希ちゃんをお借りしたいわ」
「女同士だもんね、母さん、瑞希を可愛くしてあげてね」
お母さんは、もちろん、と、にっこりヒロに微笑みます。
俺は全裸にされ、まず、女性用の下着を身につけました。
胸がないので、お母さんはパットとかいうのをいれてます。
初めてのブラジャー...かなり苦しい。小さな下着からうっかりすると、ちんぽがはみ出しそうです。
てか、金玉も亀頭もちょっとはみ出ています。
一通り、服も女性ものになり、毛先に緩いウェーブのかかったウィッグを付けられました。
お母さんは俺を暫く見て、うーん、と唸り、俺を姿見に連れていきました。
鏡にはすっぴんの背の高い女がいます。
「違和感はそうね、素顔も可愛らしいけど、メイクを忘れていたわ」
お母さんは慌てたようにまた袋を漁ります。
俺はまるで顔をキャンパスにされたみたいに呆然として固まっています。
「うん!素敵!完璧ね!」
お母さんは頷き、もう一度、姿見に俺を映しました。
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